【UFC】Fight&Life#116。世界戦敗北から3カ月、平良達郎「ボクシングにのめり込み過ぎたとは思います」
【写真】取材後のインタビューで笑顔を見せたのは、愛犬の話題と――これからの方法性を見出されたから……か (C)MMAPLANET
24日(月)に発売されるFight&Life#116に、5月9日のUFC世界フライ級選手権試合で5R TKO負けを喫して以来、専門メディアでは沈黙を守っていた平良達郎のインタビューが掲載されている。
Text by Manabu Takashima
J-MMA界の悲願達成へ、大きな期待を背にジョシュア・ヴァンに挑戦した世界でさえ、強くなりたい――理想のMMAファイターに近づく過程という感覚が試合前から感じられていた平良。そして、その気持ちが打撃でも負けないという想いを強くしたようにも見えた。
ジョシュア・ヴァン戦、その後の心境と、韓国一人旅。練習再開後の気持ちのあり方等々、9705文字に渡るロングインタビューから、ここでは冒頭の2580文字を紹介したい。
相手の打撃に退いちゃダメだと、間違いなく思っていました
――UFC世界フライ級王座に挑戦し、4RにTKO負け。あれから3カ月が過ぎました。この3カ月、どのような気持ちで平良選手は過ごしてきたのでしょうか。
「まず、精神的には落ちましたね。勝てると思っていたし、UFCの世界チャンピオンになるのには、まだまだ力不足だったのかって。僕が負けた後、フライ級は頻繁に動きが見られて。そういう試合や選手を見ていると、なんか置いていかれそうだっていう気持ちにもなります」
――負けてなお、厳しい状況を盛り返して「良い試合だった」、「頑張った」という声も多かったと思います。
「そういう声があることは有難いですが、見ている人達に楽しんでもらえた……それは、仕事はしたなっていうぐらいの感覚ですね。選手として、気持ちぐらいしか見せることができなかった試合です」
――見ている側からすると、気持ちを見せてもらうことは凄く大切になってきますが、それが目的で戦っているわけではないと?
「チャンピオンになるためだと言い聞かせて、辛い練習でも頑張ることができたので。米国での追い込み期間も長くて、当たり前ですけど、世界戦なので賭けているモノは多かったです。
――4月にインタビューをさせてもらった時に「絶対に勝ちたい」という言葉の裏に『チャンピオンになって、さらに強いMMAファイターになりたい』という気持ちが強く感じられました。最強のMMAファイター平良達郎になるために、UFC世界王座もそのプロセスにあると。
「間違いなく、そうでした。タイトルマッチだけでなく、試合は自分が強くなるためのツールというか……そういう感覚があって。タイトルマッチであっても、ジョシュア・ヴァンを倒してチャンピオンになるのと、自分が強くなることが目的でした。それを実施しているのが、ジョシュア・ヴァンだとも思っていましたし。本当に今、言われたような気持ちでいました」
――超結果論として、その気持ち、向上心が強すぎて、打撃勝負を強く意識し過ぎたのではなかったでしょうか。初回の残り5秒でケージを背負ったヴァンから離れ、パンチを出した。そこは今のMMAに則していて合理的だったと思います。
「ハイ」
――ただし、平良選手のコントロールにブーイングが大きくなっていった2R、残り30秒でがぶるとヴァンが尻餅をついた。ここでスタンドに戻って、ローに右を合わされダウンを喫しました。
「そうですね」
――ライブ中継を視ている時は思わなかったのですが、あとから見直した時に、勝利が絶対ならスタンドに戻る必要はなかったでは?という疑問が浮かびました。寝技だけでなく、打撃でも負けない。それが最高のMMAファイターだという意識が、働いていたのではないかと。
「少し前までは、打撃をする時間を少なくして戦うという考えが絶対的にありました。でも、今回は相手の打撃に退いちゃダメだと、間違いなく思っていました。上に行くんだったら、スタンドに戻っても相手が戦いづらい動きをしないといけない。スクランブルでスタンドに戻った時も、自分から手を出そうというイメージを創っていたので……」
――スタンドでも負けない。その打撃は米国で練習をするとボクシングになるのでしょうか。
「いえ、それこそコーリー・サンドハーゲンのジムで練習をしていたので、サンドハーゲンはメチャクチャ蹴りも上手かったですし。でも、僕がパンチに拘り過ぎたというか。松根さんには、試合の前から『もっと蹴ろう』と言われていました。それがなぜか、ある時から蹴り辛くなっていました。スタンスの問題なのか……。あとはテイクダウンにつなげるには、顔の方を殴るほうが混ぜやすい。だからパンチを頑張ろうという気持ちも強くなって、ファイトの幅を狭くしてしまっていました。僕もそう思いますし、岡田(遼)さんや松根さんも同じです」
――打撃の強化を取り組むのは、絶対に間違っていないと思います。それに平良選手は組みの強さをスポイルすることなく、パンチが上達したと感じていました。その話をしたとあるキックボクシング関係の方が「平良選手はセンスが良くて、ボクシングができるからのめり込む。自分はできなくて、ハマることがなかった。ボクシングは本当に奥が深いから、センスが良くて努力家はハマる」と話してくれました。
「う~ん、まぁ……センスはないんですけど、自分がダメ出しされるのが好きというか(笑)。そうやって教えてもらえると、強くなれる。『こうすれば強くなれる』って感じで、ボクシングを究めたいと思いました。全然できていない時から、少しできるようになる時って、成長を実感しやすいじゃないですか」
――ハイ、その通りだと思います。
「それが面白かったのでしょうね。そういう形で、ボクシングにのめり込み過ぎたとは思います。知り合いのトレーナーさんが岡田さんに『平良をボクサーにするなよ』と話していて。岡田さん伝手に『ハマっているけど、ボクシングにかぶれるなよ』と世界戦の2カ月ぐらい前に言われていたんですよ。試合が終わって岡田さんは、そのトレーナーさんから『ほら、言ったじゃん』って言われたそうです(苦笑)。僕はその言葉の真意も、すぐに理解できなかったです」
――試合に負けた後も、ボクシングにかぶれるなという言葉の意味が分からなかった?
「ハイ。マインド自体が組み勝負に行って、パンチで負けたという感覚だったので。ジョシュア・ヴァンのプレッシャーをどう回避するのかという点でも、自分の武器が両手しかないイメージがあって。それでヴァンの土俵で、戦っていました。実は危ないのは、パンチの打ち終わりを狙われることだと思っていたんです。
だから、あんな風にヴァンから動いて打ってくるパンチを被弾するとは……。ああいう風にパンチを受けた状況を最後まで改善できなかったです。結果、自分では気づいていなくてもダメージも蓄積していただろうし」
――流れを修正できず、ダメージも蓄積していったわけですね。
「試合を見返して、『カーフも蹴っていたんだ』と気づいたぐらいです。試合中はカーフを効かせて、ダメージを与えるというイメージも一切なかったです。ミット打ちもパンチばかりでしたし。そうやってあの日のことを思い返してみて、『ボクシングにかぶれるな』という言葉の意味が理解できたような感じでした。
※ジョシュア・ヴァン戦の振り返りから、この間を如何に過ごしてきたか。タイ、横浜でのムエタイとボクシング練習をするなかで、「苦しかったのは、皆が褒めてくれることでした。絶対にそんなことないのに、そういう言葉が上辺だけに感じられてしまって……(苦笑)」、「これまで楽しんでやってきたけど、このままじゃいけないという気持ちが大きくなっています。この気持ちの整理はまだできていない。それが正直なところです」等、肉声というべき平良の言葉が聞かれたインタビューが掲載されたFight&Life#116は24日(月)発売です。

















