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【2026 Asian Games】アジア大会で初めて行われたMMA―01―「プロかアマでなく、プロか五輪」

【写真】プロのMMA大会、そしてプロになるためのアマMMA大会とは雰囲気が相当に違うアジア大会=AMMAのMMAだった (C)MMAPLANET

現在、愛知県下で開催中の20th Asian Games Aichi-Nagoya2026=2026 Asian Games =第20回アジア競技大会でMMAが初採用・実施された。9月20日から22日までの3日間、名古屋市港区の稲永スポーツセンターで行われたアジア・オリンピック評議会(OCA)に採用された――オリンピックスポーツとしての――MMA。既に1週間が過ぎたが、専門メディアとして準決勝と決勝を取材した印象を纏めておきたい。
Text by Manabu Takashima

アジア大会のMMAの競技運営を一任されているのは、2022年に設立されたAMMA(Asian Mixed Martial Arts Association)というOCAの公認を受けた唯一のMMA団体だ。OCA加盟国はそれぞれの国でこのAMMA配下の連盟が発足され、日本でもJAMMAが設立されている。

ケージやリングでなくマット使用、道着着用のトラディショナル・ルールとモダン・ルールの2種類がある。それぐらいの知識しか持たずに、会場に向かった。実は毎週末ばかりか平日に2度、さらに州の中日の祭日にまでMMA及びキック大会が続いた9月、シルバーウィークの合間にスケジューリングされた今大会を取材する予定はなかったからだ。

9月に入り、AMMAの広報から人を介して「取材をしてみない?」という連絡を貰った時も、固辞するつもりだった。しかし、その広報の方がかつてONEでロジスティックを担当していた人物で、非常にお世話になっていたという人間関係もあり、取材申請も終わっているアジア競技会に、ゲストパスを発行してもらい2日間、マットサイドで撮影をさせもらった。


21日(月)、日の丸、太極旗、シンガポール、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタンなどの国旗が振られ、声援はあってもブーイングはない観客に囲まれた場内。

それでいて入場ではライトが落とされ、なぜかJ-POPをBGMにファイターが入賞するなど、ショーアップされた一面も見られるなか、大会2日目は始まった。準決勝第1試合からモダン60キロ、キルギスとウズベキスタン人選手が、非常にレベルの高い攻防を繰り広げられていた。レスリング、テイクダウン及びテイクバックという流れには目を見張るモノがある。

ただし、これは想定内だ。中央アジア諸国は国や有力企業がファイターをバックアップしており、ファイトマネーが出ない試合でも生活はできているケースが多い。いえば日本の多くのプロ選手よりも、MMAという競技に従事できる。そのような環境が中央アジアや中東では整っている。

とはいえ続く71キロ級準決勝でエルデュカルディ・ドゥイシェフの姿を目にした時には驚きを通して、お口あんぐり状態に陥ってしまった。ドゥイシェフはキャリア13戦13勝0敗&11のフィニッシュ勝利を挙げるキルギス・フェザー級の猛者中の猛者だ。

昨年12月には原口伸を破り、Road FCフェザー級王座に就いている。そのドゥイシェフがテイクダウン&バックで試合を優勢に進めながらも、タジキスタンのベフルズ・フルシェドゾダにバックマウントを取られてしまう。

ここは懸命に胸を合わせて難を逃れたドウィシェフは、延長判定で辛くも勝利を収めた(※試合後にタジキスタン陣営が、1000ドルを支払いプロテスト。結果、勝敗が覆りドゥイシェフは準決勝敗退。翌日のメダルセレモニーに姿を見せず、他の選手がメダルを手にしていた!! AMMAの大会では試合後の抗議は1000ドルが必要で、抗議が通らない場合はこの1000ドルは戻ってこないそうだ)。

ドゥイシェフの登場と苦戦――ここでようやく準決勝12試合のラインナップに目を通すと、彼ばかりか道着着用ルールにオタベク・ラジャポフ……暫定フェザー級・キング・オブ・パンクラスの名前が確認できた。

さらにはRIZIN出場経験もある韓国のイ・ボミ、RIZINだけでなくDEEP JEWELSミクロ級王座にも就いているタイのアム・ザ・ロケットことカンジュタ・パッタラブーンソーン。ONEで世界ストロー級王座挑戦経験があり、三浦彩佳に勝っているシンガポールのフイフーン・テオことティファニー・テオ。

プロMMAデビュー戦となったプロ修斗公式戦で、岡田遼と対戦している現ONEファイターのジアンクラウド・サクレッグと日本で馴染み、あるいはMMAPLANETでプロ選手としてインタビューが掲載されているファイターの名前がぞろぞろと見られた。

AMMAの大会では、ファイトマネーは出ない。ただし、プロも出場できる。そういう規定であることが、分かった。日本のファンが容易に認識可能なプロ選手以外にも、セミファイナリストは大半がプロ経験のある選手で占められていた。

女子モダン54キロ級準決勝でイ・ボミの肩を小手投げで負傷させ、決勝進出を決めたジアナ・ポゴジアンはロシアのプロMMAファイターで戦績は3勝0敗。カラテコンバットでは、元UFCファイターから勝利を収めている。

なぜ、ロシアのプロファイターがアジア大会に出場できるのか。それは彼女がロシア(ダゲスタン)、ブラジルからの帰化MMAファイターが多く活躍するバーレーン国籍を取得しているからだ。

そのポゴジアンを決勝で下したアム・ザ・ロケットが、同階級で金メダルを獲得している。さらにティファニー・テオと女子トラディショナル60キロ級決勝を戦い、判定負けを喫したウズベキスタン人のヒロラ・ソリロワもBRAVE CF参戦経験のある列記としたプロファイターだ。

決勝進出ファイターでプロ経験のない選手は男子モダン60キロ級のウズベキスタン人選手=フィルダウス・アタムラトフ、男子77キロ級のバーレーン国籍を持つダゲスタン人ファイターのムハンマド・ナビエフの2人だけだった。

判定がひっくり返ってドゥイシェフに勝利したベフルズ・フルシェドゾダは、中国のJCKなどプロMMA大会で3勝0敗を記録している。しかしながら、フルシェドゾダは決勝で敗れ銀メダル獲得に終わった。

男子モダン71キロ級を制したカザフスタンのカディルベク・シンハバエフは、IMMAFでも活躍した後、今年5月にBRAVE CFとAlash PRIDEの共同大会でプロデビューし勝利を飾っている。つまりプロ1勝0敗のファイターが、プロ3勝のフルシェドゾダ、13勝0敗のドゥイシェフを上回る結果を出した。今後プロとして活躍してく上で、大きなセールスポイントをシンハバエフは手にしたと言えるだろう。

またサクレッグと同様に、フィリピンのチームラカイから今大会に挑んだカーロス・アルバレスはプロ戦績6勝2敗(5勝2敗という戦績のONEで、昨年の5月に――この10月4日にパンクラスに来日するモンゴルのマチン・サットに敗れているのが直近の試合だ)。

そのアルバレスとトラディショナル77キロ級準決勝で対戦し、ハイキックからパウンドアウトしたカザフのイェルキンガリ・ブルクタリンは、トーナメント初戦でRoad FCウェルター級王者ユン・テユンにも勝っている。結果的に同階級を制したブルクタリンのプロ戦績2勝1敗、NAIZAやAlash PRIDEをベースとしている。

これだけプロとして戦い、成果を挙げている選手が揃っている状況下で、純粋にアマファイターで挑んだ台湾やサウジアラビア――プロ戦績1、2戦とピュア・アマながら準決勝に進み、銅メダルを手にして村山大介という陣容で臨んだ日本勢では、地力が違って然りだ。

サウジアラビア・チームを率いた元UFCファイターのホアン・ジュカオン・カルネイロは「このハイレベルなトーナメントで、アマの選手だけで挑むことは間違っている。これで自分の指導力を疑われるようなことがあったらたまらない」と、その胸中を吐露していた。

3日間開催、毎日の計量。多くの選手がプロで戦うより重い階級で(女子は選択肢が非常に限られている)戦うなか、65キロという前日計量のプロと同じクラスで戦ったラジャポフは、本来はバンタム級(ONEでは66キロ)のジアンクラウド・サクレッグの左フックでダウンを喫するというピンチを切り抜け、判定勝ちでトラディショナル65キロ級のゴールドメダリストに輝き、控室でタジキスタンと回線が繋がれた取材を延々と受けていた。

アジア大会や五輪がアマの祭典という認識は、AMMMAにはない。「プロとアマをしっかり線引きしている」IMMAFに対し、AMMAの認識は「プロがオリンピック競技」という点にある。そしてプロを受け入れ、ルールはプロと数多くの相違点が見られる。いうと別競技という風に捉えることもできる。

当初は取材予定はなく、いうと興味があったわけではない。それが縁と道義で取材をしたことで、ここが理解できた。結果、AMMAへの興味は大きくなり、日本のMMAにとってもポジティブになるであろういくつかの点が明確に見えてきた。

<この項、続く>


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