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【2026 Asian Games】アジア大会で初めて行われたMMA―02―「日本人選手の新たなモチベーションに?!」

【写真】アジア大会のメダルは、世間に通じるという言い方をすると語弊があるが……やはり別格の価値があるかと。そして、その価値をもっと高くなっていってほしい (C)MMAPLANET

2026 Asian Games =第20回アジア競技大会で初めて正式競技として採用されたMMA。OCAの認可を受けたAMMAが運営したMMAトーナメントは、マット使用でルールも普段目にしてきたMMAとはあまりも違う。そのなかで多くのプロMMAファイターが出場し、結果を残していた。プロフェッショナルとアマチュアという線引きでなく、プロフェッショナルとオリンピック・スポーツという線引きをしているAMMAのトーナメントを取材し、そこで感じたことを改めて書き記しておきたい。
Text by Manabu Takashima
<アジア大会MMAレポートPart.01はコチラから>

「MMAじゃないみたい」、「あのルールはMMAと呼んで良いのか……」という声を大会前、大会期間中、そして大会後にも聞かれた。自分も、実際にトーナメントを取材するまでは圧倒的にこれらの意見に同意していた。MMAとはケージとユニファイドが軸、リングや独自のルールセットは興行的視点から、独自性を持つという部分で採り入れられているという理解でいる。それは今も変わらない。

同じアマMMAでもIMMAFは、その中心軸にヒールフックやスタンドでも顔面へのヒザ蹴りを禁止するなどアマチュア競技として安全面を考慮したアレンジを加えている。対してAMMAは、打・投・倒・抑・極をスタンド、グラウンドともに駆使できるという共通点はあっても、ルールも視覚的にもMMAをガラリと変えた。


競技的には準決勝までは3分×2R、決勝は5分×2Rというラウンド制が敷かれるトーナメント方式。決着がつかなかった場合は1分間の延長戦が行われる。KOやTKO、一本という決着方法以外にジャッジのスコアによる判定決着が用いられる。

グラウンドで場外は、スタンドで再開される

その裁定だが、10点減点法が用いられている一方で有効な打撃に1P、テイクダウン後コントロールできた投げには1P、相手が完全に防御態勢になった攻撃には2P。サブミッションのニアフィニッシュに2Pという風に細かく細分化されており、ラウンド内の合計ポイント差が10P以内だと、裁定は10-9。10P以上20P以内だと10-8、20P以上だと10-7いう基準が設けられている。

スタンドの攻防で外に出た場合はOoBと宣告される

またスタンド、グラウンドともに場外に出る行為も細かく規定されており、ラウンド内で3度試合場の外に出る行為=アウト・オブ・バウンズが見られると失格となる。OoBはラウンド間を跨ぐことなく、次のラウンドには持ち越されない。

グラウンドは動きが続けば流すが、クローズドガードを取ると20秒のタイム制限が設けているように見られた(が、定義は正確ではないです。スミマセン。確認をするようにします)。

興味深いのは空中で相手を一回転させるような投げ技、ジャンプして体を回転させた有効な打撃には2Pが与えられる点だ。つまり見栄えのある攻撃の評価が高い。

技術は同じでも、これらの裁定基準が存在していると使い方は違ってくる。結果、ケージの中、リングの上で行われているプロMMAとは乖離があり、別モノという意見も納得できる。AMMA、その上位にあるFIMMAの目指すところは、このルールのMMAを五輪の正式競技にすること。そのために創られたルールだ。

翻って柔道やレスリングを始め、多くのオリンピック・スポーツが五輪という4年に1度のスポーツの祭典で正式競技として認められるために、五輪中継枠に適合させたルールを採用し、競技の中身も変化を続けてきた。

コンバット・スポーツ、格闘技が五輪で視やすい、楽しまれやすい、一般層が喜ぶためのルール変遷を当然のように繰り返すことに対して、非常に懐疑的になっている自分としてはプロMMAのルール変更はなく、「このルールは五輪用なんです」と打って出ているAMMAの姿勢を歓迎したい。

その範疇で格闘技として改善でなく、改悪が見られても全く構わない。コレはコレという区別ができた方が、よほど五輪階級が存在するレスリング、試合時間もルールも、物心ついた頃に見て、学校授業で習ったモノと違うようになった柔道よりも、よほどスッキリする。

道着着用のMMA=トラディショナル・ルールをどのように捉えるのか。「アレはMMAじゃないでしょ」という意見は当然のようにある。そして、これも100パーセント理解できる。実際、MMAPLANETではROMANコンバット=道着MMAをMMAの試合結果に加えるべきではない。道着MMAはあくまでも道着を着たMMAルールで、MMAとは一線を画すという空気感でいる。逆に道着を着たファイターと、ノーギのファイターが素手でVale Tudoを戦った場合はMMAという意識であり、もうこれは感覚的なモノでしかない。

閑話休題。

自分がトラディショナル・ルールに肯定的なのは、これも五輪競技を目指しているからだ。五輪やアジア大会などを見ていると、3位決定戦のある競技とそうでない競技がある。サッカーが強い国、バスケが強い国はたった3つのメダルを争う。その一方で体操競技は個人、団体、種目別まである。最高のプレイヤーはいくつもメダルを狙うことができる。そういうなかで、一つの種目に特化してメダル獲得を目指すスペシャリストも存在している。

モダンとトラディショナルがあることで、MMAのメダルの数が増える。MMAがオリンピック・スポーツとして普及するには、メダルを獲得できる可能性が高い方が良い。そういうことだ。

アジア各国のMMA事情は違う。日本のように毎週末、どこかでプロ興行が行われている国の方が稀だ。同じように練習の日々を過ごしても、プロ興行が行われない国がある。プロ興行など、年に数えるほどしか開かれない国がアジアの場合はほとんどだ。それらの国の選手が、MMAを続けることができる。

面倒くさいことを書いてしまっているが、プロが参加できるという点において、AMMAの競技会が日本のMMAファイターにとって新たな目標、あるいはモチベーションになる可能性がある点に惹かれた。ここが今回の取材での一番の収穫だった。

エルデュカルディ・ドゥイシェフ、オタベク・ラジャポフのような世界レベルの強豪と―団体の壁云々など関係なく――言い方は悪いが、手っ取り早く戦う。名前はなくても、中央アジアの未知強と肌を合わせ、拳を交える。勝てば記憶に残り、負けてもプロレコードは傷つかない。現状突破の腕試しの場にもなるだろう。

前編で書き記した中央アジア勢や中東勢は、アマのコンペティションに出ることで生活が成り立つケースがある。対して、日本のMMAファイターはプロ興行でファイトマネーを手にしても、それで生計が成り立つケースは今も圧倒的に少ない。

それだけ幅の広いプロ活動が選択できるのは、この国のMMAの長所であるかもしれないが、ある程度の強さを身に着けた選手でもRIZINで戦うか、UFCと契約するか。あるいはスポンサーさんのお世話にならないと他に仕事を持つ必要がある。

単刀直入に「それだけでは食っていけないファイトマネーを手にする」ために、彼らは戦っているわけではないだろう。食っていけるようになるために、我慢の時を過ごしている。あるいは割り切って競技者生活を続けている。

他に生業を持った選手が、AMMMAのコンペティション――今回のようなアジア大会でメダルを目指す。そんな選択があっても良いはずだ。OCAによるアジア大会の銅メダルは、今大会でいえば卓球団体の張本智和選手が首に掛かったのと同じ価値を持つ。

村山大介はそういうメダルを手にしたのだ。正直、MMAを取り扱う記者として村山選手を個別取材し、言葉を交したことがある人間は決して多くないと思う。その経験がある一個の人間として、彼が日の丸を振った観客の声援を受ける姿にウルッと来た。

彼のように純粋なアマ競技者でなくても、いうとDEEPや修斗、パンクラスのチャンピオンやランカー、いやあらゆるプロ団体で試合をしたことがあるMMA選手が、アジア・オリンピック評議会が認めた競技のメダルを目指すことができる。食うためではない、MMAを通して人生を豊かにするため。その手段が増え、AMMAのメダルは目標となり得る可能性を持っている。

現状、RIZIN以外のほとんどのMMAプロモーションは選手個人の応援団の集合体でチケットを売り、会場に足を運んでもらっている状況にある。よって応援する友人の試合が終われば、その先の試合に興味を持たない事例は多々見られる。

アジア大会に出ている日本人選手を応援していたのは出場選手の個人的な知人、友人に違いない。ただし、これが不思議なモノで友人の試合が終わっても、国の代表となった選手たちと個人的な繋がりなくても、声を出し、手を叩き、日の丸を振って応援を続けている。唯一2日目に残った村山選手は、普段のアマの試合、そしてアマとして出たプロ興行には存在しない声援、応援のなかでMMAを戦うことができた。

これって、MMAを続けてきた結果として、本当に素晴らしいことではないだろうか。

なぜ、ここまでハードなことに向き合っているのか。その見返りが金銭でなく、個人の達成感という選手のなかから、国の代表となったことで声援の数が増える。そんな将来が実現するなら、自分はAMMAの競技会はMMAであり、その発展を望んでやまない。それが素直なAMMAへの想いだ。そこに政治的な絡みがいくら存在しようが、あの舞台で戦うMMA選手の悔しさ、喜びをケージの中、リングの上で戦う選手たちと同じようにレンズ越しに追ってみたい――そう思った次第だ。


2026 Asian Games MMA Day1 Part.01はコチラから

2026 Asian Games MMA Day1 Part.02はコチラから

2026 Asian Games MMA Day2 Semi Finalはコチラから

2026 Asian Games MMA Day3 Finalはコチラから

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