【UFC329】展望 地に堕ちた天才マクレガーが、不撓不屈の心で戦いを重ねたホロウェイに奇跡を起こすか
【写真】ホロウェイ勝利でないと、おかしいだろう――という想いがあるなかで、マクレガーなら何かをやってしまうかもと考えてしまう(C)Zuffa/UFC
11日(土・現地時間)、ネバダ州ラスベガス近郊のパラダイスのT-モバイルアリーナにて、UFC 329「McGregor vs. Holloway 2」 が行われる。パディ・ピンブレットとベノワ・サンドニのライト級ランカー対決をコメインとするこの日のメインは、2021年以来はじめて試合を行うコナー・マクレガーを、前BMF王者マックス・ホロウェイが迎え撃つウェルター級ノンタイトル戦だ。
Text by Isamu Horiuchi
ホロウェイは、世界中のファンや選手たちからリスペクトを集めるレジェンドだ。しかしこの試合に関して言えば、マクレガーが5年ぶりの復帰戦にていかなるパフォーマンスを見せるか、に世間の関心が集中している。
コナー・マクレガーは、MMA史上最大のメガスターだ。その頂点への駆け上がり方は壮観きわまりないものだったが、そこからの転落ぶりもまた、常軌を逸したものだった。
2013年のUFCデビュー時から(正確にはそれ以前のケージ・ウォリアーズ時代から)高級スーツを纏って記者会見に現われ、自信満々の様子で試合前から相手を煽ると、KO勝利を予告しては、実際にその通りに倒してみせる。圧巻のカリスマ性と戦闘能力──驚くべき正確さで相手の顎を撃ち抜く、神から授かった左拳──を持ち合わせたマクレガーは、短いフレーズで人心を鷲掴みにする突出した言語運用能力も持ち合わせていた。
「精度は力に勝り、タイミングはスピードに勝る」(マクレガー)
2014年7月のUFCダブリン大会。ディエゴ・ブランダオンを1Rで打ち倒した後、地元の大観衆に向けて叫んだ。
「We’re not here to take part, we’re here to take over!」(俺たちは参加しに来たんじゃない、乗っ取りに来たんだ!)。
このフレーズは、小国アイルランドから現れた英雄が大群衆を率いて、強固な世界秩序を揺るがさんとするが如き──グローバル・スポーツが呼び起こすナショナリズムの熱狂を丸ごと凝縮した言葉として、10年経った現在も鮮明に記憶されている。
さらに2015年末、当時の絶対王者ジョゼ・アルドを僅か13秒で左ストレートで沈めてフェザー級王座に就いた際に放った「Precision beats power, and timing beats speed.」(精度は力に勝り、タイミングはスピードに勝る)という言葉は、身体能力に頼らず技術の精緻な運用を追求する──格闘技の極意を射抜いた至言として、世界中のファンを魅了した。
その後も2016年11月にライト級王者のエディ・アルバレスを倒してUFC史上初の二階級同時王座に就き、さらに翌2017年8月には世界5階級制覇のボクサー、フロイド・メイウェザー・ジュニアとボクシングマッチを敢行。10RTKOにて敗れたものの、この試合は6億ドル(当時の価格で600億円以上)というプロスポーツ史上2位の総収益を上げ、本人も1試合で100億円を超える収入を得た。
この試合をもって、マクレガーは自身の出自であるMMAという競技(及びUFCというブランド)の知名度を、世界的メジャースポーツのそれに匹敵するところまで引き上げたと言える。
2018年にはUFCに復帰し、自らが返上したライト級王座に就いていたカビブ・ヌルマゴメドフに挑戦。総合格闘技史上最高のPPV売り上げ(約240万件)を記録したこの試合は、4Rチョークで敗れた。その後2020年にドナルド・セローニを僅か40秒で沈めて復帰するも、翌2021年にはダスティン・ポイエーに2連続TKO負け。特に2敗目は、バックステップの際に不自然な形で着地した左脚が、重心を支えきれずグニャリと折れ曲がってしまう大怪我を負ってのもので、翌日の緊急手術において脛骨(すねの骨)の空洞部分に太いチタン製の棒を通して固定しなくてはならないほどだった。
それ以来、マクレガーはここまでの5年間戦っていない。
2021年には、自ら立ち上げたウィスキーブランドの株式売却で巨額の富を得たことで、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウド、レブロン・ジェームズら錚々たるメンバーを抑えて「年間で世界1稼いだアスリート」という称号まで獲得したマクレガー。が、果てしなき富と名声は理性を狂わせるのか、これまで様々な問題行動を起こしている。
「どん底に落ちた」と認める状態にあったマクレガーが、魂の再生の旅
最も有名なものは、2018年4月にヌルマゴメドフの乗ったバスを仲間と襲い、台車を投げつけて窓ガラスを粉砕した事件だろう。これにより二人の選手が負傷して3日後の試合の欠場を余儀なくされ、本人は翌日警察に出頭し逮捕された。が、格闘技と関係のない日常においても、マクレガーは数々の一般人への暴行や危険運転、性的暴行の容疑を持たれている。
薬物乱用が疑われるような言動も多い。特に2021年のポイエー戦で大怪我を負った後、マクレガーは深夜にさまざまな暴言や不気味な笑い声、同じフレーズ(「ツイッター史上最高の権力だ!」等)を奇妙な声で延々と繰り返す音声をSNSに投稿しては、翌朝に削除するという奇行を繰り返した。
その後2023年の春に行われたTUF収録(マイケル・チャンドラーとのコーチ対決)ではエンターテイナーぶりを発揮していたものの、その後のチャンドラー戦はマクレガーが10月まで検査リストに再登録しなかったため(欠場中に打っていたステロイドが抜けていなかったからという説が有力だ)、一年以上日程が決まらず。翌年3月、出演した映画の宣伝インタビューを受けた際には、うまく言葉が出ないばかりか身体も制御できず突発的に不自然な痙攣を繰り返し、心身ともに健全からはほど遠い状況にあることが容易に見てとれた。
それでも同年6月にやっとチャンドラー戦が決まったが、試合直前で足の指を骨折してしまい、これもキャンセル。さらにその後ドーピング検査のための居場所の提出を3度にわたって怠り、結果的に一年半の出場停止処分を受けることとなった。
なおその年の11月には、2018年にダブリンで女性に性的暴行したとして訴えられた件で不法行為が認定され(ちなみにこの時法廷で、マクレガーは当時コカインを摂取していたことを認めている)、約4000万円の賠償金の支払いを命じられた。これを受けて売却後も自ら宣伝していたウイスキーブランドがマクレガーの起用を取りやめ、さらに地元ダブリンの各種店舗にてマクレガー関連の商品が撤去される等、評判を大きく落とすこととなった。
昨年には上記裁判について控訴するも棄却され、最終的な敗訴が決定。また同年の春、マクレガーはなんとアイルランド大統領選への出馬を宣言した。ホワイトハウスにドナルド・トランプ米大統領を表敬訪問し、彼に倣って移民排斥を主張し「移民のせいで地方ではアイルランド人が少数派になった」等と放言しポピュリズムに訴えようとしたマクレガー。が、この発言は即座にミホル・マーティン首相により悪質な偽情報として批判された。
その後もイーロン・マスク氏の支持を取り付ける等、SNS上の影響力を用いた運動を試みたマクレガーだったが、かつてオクタゴンにて祖国の大群衆を結集・熱狂させたその言葉に人を動かす力はもはや宿らず、国民の支持を得られないまま結局出馬を断念した。
こうして精神の安定も社会的信用も人を魅了する言霊も失い、本人も「どん底に落ちた」と認める状態にあったマクレガーだが、魂の再生の旅はそこからはじまる。
「私は救われたのだ! 私の脳。私の心。私の魂。全ては癒された!」(マクレガー)
昨年末、久々にSNSに投稿したマクレガーは、スタンフォード大学の医師たちの薦めを受けて、メキシコのティファナにて「イボガイン治療」を受けたことを明かした。イボガインは西アフリカ原産の低木イボガの根皮に多く含まれる幻覚剤で、コカイン等の薬物依存や脳損傷、うつ病等さまざまな精神疾患の治療薬として研究が進んでいるという。同時に心臓の電気信号に影響して不整脈や心停止等の死に至る症状を引き起こしうることから、米国ではその使用は違法とされている。
そこでメキシコまで飛んでこの治療を受けたマクレガーは、36時間に及ぶその過程を「信じられないくらい素晴らしく、強烈で、新しい発見を与えてくれた」、「人生において最も啓発され、心奪われた」体験だったと形容した。そこでマクレガーは、幽体離脱したかのように棺桶に収められた自分の姿を上から眺め「起こるはずだった自分の死、それがどれだけ間近に迫っていたか、私の子供たちにどんな影響を及ぼすか」を見せられたと綴ると――。
さらには「神が聖なる三位一体として私の前に現れたのだ。神は全能だ! その子、イエス。その母、マリア。大天使たち。皆が天国に存在している。私は光を示されたんだ。イエスは天国の白い大理石の階段を降りてきて、私に冠を授けてくださった。私は救われたのだ! 私の脳。私の心。私の魂。全ては癒された!」と続けた。
「衝撃的な形で、UFC史上最大のカムバックを遂げることとなる」(マクレガー)
見方によっては治療で妄想が悪化してしまったかのようにも捉えられかねないが、マクレガーは「この治療は値千金だ。すごく過酷なものだったけど、私の命を救ってくれた。そして私の家族も救ってくれたんだ」と語り、高らかに復活を宣言した。実際その後マクレガーが以前のような異常行動を見せることはなく、今年になってホロウェイとの復帰戦にサインした。
この試合に向けてのプロモーション活動にも精力的なマクレガーは、各メディアに登場してはエネルギーに溢れた様子で思いの丈を語っている。
「確かに私は一度、神が与えてくださった立場を汚した。でもそんな自分を許すことができたんだ。落ちるところまで落ちて、様々なことを学んだよ。回復(recovery)の過程は、すなわち自己発見(discovery)だ。毎日自分の内面と向き合い、綱渡りをするように精神を保っているよ」
「戻ってきたのは、何よりも戦うことが好きだからだ。入場して、強い男と戦い、ファンの情熱に火を灯し、戦いの生態系を揺るがす。そこに大いなる喜びとスリルを感じるんだ」
「マックスはいい選手だが、スピードもパワーもIQもフィットネスもヘルスもフレッシュネスも、全ての面で私とはレベルが違う。当日私は衝撃的な形で、UFC史上最大のカムバックを遂げることとなる。人々は格闘技の真のマスターの姿を目撃することになるよ」
全てを得て、失い、信仰とともに自己を再発見したマクレガーの拳に、かつての神懸かった力は再び宿るのか?
屈の意志で常に戦い続けてきた男が、栄光と薬物に溺れて放縦三昧を尽くしてきた男を迎え撃つ戦い
そんなマクレガーとはきわめて対照的な生きざまを長年魅せているのが、マックス・ホロウェイだ。栄華の究め方も転落ぶりも、精神の乱高下ぶりも全てが極端すぎるマクレガーとは正反対に、ホロウェイは頂点を極めても決して奢らず、敗れても腐ることなく、変わらぬ不屈の精神を貫き戦いに挑み続けてきた。
マクレガーがライト級に転向した後の2017年から2年間、フェザー級絶対王者として君臨したホロウェイ。その後宿敵のアレクサンダー・ヴォルカノフスキーに王座を奪われ、二度のリマッチも惜敗。が、3連敗の屈辱にもめげず自分の可能性を模索し戦い続けたホロウェイは、横の動きや攻撃のアングルを多様化させて進化を遂げ、連勝街道に復帰した。
2023年5月、筆者はそんなホロウェイが灘高校での講演のため来日した際、インタビューをする機会を持った。その時も彼は「よく若い選手たちと話すんだけど、連中は僕のことをすごい年寄りだと思っているんだよ。40才とか50才とか。まだ31才なんだけど、まったくあいつらは何考えているんだか。僕はまだヤングガイだよ! まだまだ学ぶべきことがたくさんあるってことだ」、「(ヴォルカノフスキーとの4戦目をやりたいかとの質問に)もちろんだ! 4度目の戦いはありえないなんて言っている奴は誰だ? MMAではもっとクレイジーなことがいろいろ起きている。僕らはフェザー級で4度目の試合をした後、ライト級でまた戦うかもしれないよ」と、他人の言葉に囚われず自分を貫き、戦い続ける意志を言葉にしてくれた。
そして2024年4月。戦い続けるホロウェイは、本人すら全く想像できなかったような、究極の「もっとクレイジーなこと」を起こしてみせる。
階級上のBMF(最高にヤバい奴)王者ジャスティン・ゲイジーを終始圧倒したホロウェイは、残り10秒の時点でリング中央を指差し「俺と打ち合え!」と絶叫。それに応じたゲイジーの強打を顔面で受け止め目にも止まらぬ連打でマットに沈めた。こうして──マクレガーvsアルド戦をも凌駕するかのような──UFC史上最高のKOシーンを創り出したホロウェイは、BMFを超えた超BMF王者として大復活を遂げた。
しかし半年後の10月には、イリャ・トプリアの強打の前に初のKO負けを喫し、またしてもフェザー級王座奪還に失敗。が、巷に流れる限界説を吹き飛ばすようにホロウェイはすぐにライト級転向を宣言した。そして翌年7月には、地元で引退の花道を飾らんとしたダスティン・ポイエーを相手にBMF防衛戦へ。ここでも試合を優勢に進めたホロウェイは、最後の10秒でまたしても打ち合いを挑み、連打で圧倒してポイエーにクリンチを余儀なくさせた上で完勝した。
続く2026年3月には、シャーウス・オリヴェイラ相手に二度目のBMF戦に臨むも、オリヴェイラのテイクダウンの前に動きを封じられて完敗。それでも当然ホロウェイの闘志は衰えず、マクレガー戦のオファーを受けると、自らにとって初めてとなるウェルター級戦であるにもかかわらず快諾した。
「毎日が戦いなんだ。いい時も悪い時もある。僕は感情もあるし、ロボットじゃない」(ホロウェイ)
「新たなチャレンジは大歓迎さ。コナーは僕をウェイトブリー(体格差でゴリ押し)しようとするだろうね。でも僕にはたくさんの武器がある。相手が派手なKOを狙ってくるのは分かっているよ。でもこちらが深海に引き摺り込んでやるよ」と、大舞台に向けていつもと変わらぬ覇気を漲らせている。
冒頭で述べたように、この試合の注目は「マクレガーが、5年ぶりのオクタゴンでどのような戦いを見せるか」に集中している。しかしホロウェイの足跡に照らして考えると、もう一つのテーマが見えてくる。つまりこの試合は、数々の敗北を乗り越え不屈の意志で常に戦い続けてきた男が、栄光と薬物に溺れて放縦三昧を尽くしてきた男を迎え撃つ戦いでもあるのだ。
マクレガーの「精度は力に勝り、タイミングはスピードに勝る」という名言は、確かに格闘家が目指すべき理想の境地を見事に捉えている。しかしホロウェイの生き様は、そんなマクレガーが実践できなかった格闘技のもう一つの重要な教訓を体現している。すなわち、どんな壁にぶつかろうが、不屈の意志と信念をもって鍛錬を続け、戦い続けること。もちろんこれは格闘技に限らず、あらゆる人々のあらゆる営為に通ずることだろう。
上記のインタビューにて、日本の高校生たちに「自分を信じる心」の大切さを伝えに来てくれたというホロウェイに対し、筆者は「あなたはこれまで、そんな自信が揺らぐことはなかったのですか?」と尋ねた。
その時彼は即座に「もちろんあるさ! 毎日だ。特定の一回を挙げることなどできないほどだ。僕は人間だ。多くのファンは僕は何があっても揺るがないスーパーヒーローかなんかだと思ってくれるけど…ノー、みんなと同じ人間だよ。毎日が戦いなんだ。ある時『俺は大丈夫だ』って思えたからって、いつだって大丈夫なわけがない。いい時も悪い時もある。僕は感情もあるし、ロボットじゃないんだ」と、答えてくれた。
それでも内なる自分との戦いに勝ち続けるホロウェイの生き様こそ、マクレガーのような桁外れの才能を持ち合わせていない、我々一般人が日々を生きる上での道標になるだろう。「マクレガーの帰還」に注目が集まるこの試合だが、より多くの人々に勇気を与えるのは、ホロウェイの勝利なのかもしれない。
試合の下馬評はホロウェイが有利と出ているが、これは至極当然だ。
※マクレガーが戦いから遠ざかっていた5年間、ホロウェイは実に8試合をこなしている。その全てが5R戦で、なんと合計2時間51分56秒もの時間を、オクタゴン内で世界の強豪たちと対峙し過ごしてきた。そこで培った試合勘と経験、練り上げた戦略と自己鍛錬に費やした時間、幾度も5分5Rの激闘を戦い切っているスタミナと、さまざまな面でホロウェイは圧倒的優位にある。
※※両者は2013年8月に一度フェザー級で戦っており、その時は序盤打撃で主導権を握ったマクレガーが、2Rに膝の靭帯を負傷するとテイクダウン狙いに戦法を変更。3Rも上を奪ってコントロールして判定3-0で完勝している。が、これはほぼ13年も前の出来事だ。当時21歳のホロウェイはランキングにも入っておらず、今回の試合を占う上ではほぼ参考にならないだろう。
逆にマクレガーが勝つための道筋となると、序盤に打撃でホロウェイに莫大なダメージを与えること以外、想像することが難しい。
故にこの試合でもっとも注視すべきは、最初の1Rということになる。
全盛期のマクレガーを天才たらしめたのは、相手の攻撃を寸分の距離で見切ってかわしつつ放つ、左の一撃だ。歩幅の広いサウスポーにて軽やかにステップを踏み、右手を前に出して距離を測り、変幻自在の蹴りを交えて威嚇しながらプレッシャーをかけるマクレガーは、堪らず相手が拳を振ってきところに、神懸かったタイミングと精度で左のカウンターを命中させる。
試合で培った勘、実戦で練り上げた正確きわまる身体の運用、そして瞬時の反応が重要と思われるこの一撃を、数日後に38歳の誕生日を迎えるマクレガーが、5年ぶりの実戦にて、しかも百戦錬磨のホロウェイに炸裂させることができるのか? もしそんな光景がオクタゴンに出現したならば、その時我々はまさに、本人が予告する「史上最大のカムバック」──これまでに彼が見せてきたKO劇のどれをも凌駕するような奇跡を目の当たりにすることとなる。
当然ホロウェイは、マクレガーの左についてはあらゆる角度から解析して対策済みだろう。いかにマクレガーの誘いに乗らず、左を貰わず序盤を戦うか。強烈な左を持つサウスポー相手の定番の戦略は、自ら左側に周り相手の右足の外を取り続けることだ。が、全盛期のマクレガーは──かつてエディ・アルバレスを圧倒した試合に象徴されるように──オーソの相手に容易に左に回らせず、相手の突進を誘発する魔法の如き術を持っていた。
前手(右手)を伸ばして相手の前手を触り続けることで、距離を測るとともに相手が自分の右手の側に周り辛くする。常に自ら相手の前足の外側を取る。前手で相手に触れつつ上半身は顎を上げたアップライトで構えることで、相手の中に、あたかも前に打って出れば当たりそうだという「距離の錯覚」を作り出す…全盛期から10年近く経った現在も、マクレガーは魔法の使い手なのか。以前よりはるかに立体的なフットワークを使い多彩な蹴りも駆使するホロウェイは、いかにこれらの武器を用いて「マクレガーの現在」を探り、突破口を切り開くのか。
2021年のポイエーとの2戦でも顕著だったが、マクレガーはひとたび序盤の攻撃を凌がれて相手の反撃を許すと、そのまま失速し挽回できぬまま仕留められてしまう傾向がある。試合が長引けば長引くだけ、スタミナと長丁場の試合経験で圧倒的に勝るホロウェイ有利に試合は傾いていくだろう。
地に堕ちた天才が再び起こす人智を超えた奇跡と、不撓不屈の心で戦いを重ねた者のみが到達できる頂。オクタゴンの神は、我々にどちらを見せてくれるのだろうか。
■視聴方法(予定)
7月12日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC FIGHT PASS
午前5時30分~U-NEXT
■UFC329対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
コナー・マクレガー(アイルランド)
マックス・ホロウェイ(米国)
<ライト級/5分3R>
ベノワ・サンドニ(フランス)
パディ・ピンブレット(英国)
<バンタム級/5分3R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
マリオ・バウティスタ(米国)
<フライ級/5分3R>
ブランドン・ロイヴァル(米国)
ロナー・カヴァナ(英国)
<ライト級/5分3R>
キング・グリーン(米国)
トレンス・マッキニー(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ロバート・ウィティカー(豪州)
ニキータ・クリロフ(ウクライナ)
<ヘビー級/5分3R>
ゲイブル・スティーブソン(米国)
ヤーソラフ・アモソフ(ウクライナ)
<バンタム級/5分3R>
コディ・ガーブラント(米国)
エイドリアン・ヤネツ(米国)
<フェザー級/5分3R>
カイ・カマカ3世(米国)
ルーク・ライリー(英国)
<女子フライ級/5分3R>
トレイシー・コーテズ(米国)
ワン・ソン(中国)
<ミドル級/5分3R>
デミアン・ピナス(アルバ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
ファリド・バシャラット(アフガニスタン)
ジョン・ガルザ(米国)
<ミドル級/5分3R>
ライアン・ガンドラ(米国)
ザック・リース(米国)
<フライ級/5分3R>
コディ・ダーデン(米国)
アレッサンドロ・コスタ(ブラジル)























