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【ONE FN12】若松佑弥と対戦、リアル嵩山少林寺MMA戦士シェ・ウェイ「新しい面を見てもらえる」

【写真】 後列右端がシェ・ウェイ。左から2人目はONE世界フェザー級王者タン・カイ。ジムごと、タイに移動。そりゃあ強くなっているだろう……(C)ONE

15日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムでONE FN12「Superlek vs Khalilov」が開催され、シェ・ウェイが若松佑弥と対戦する。

両者は昨年9月に戦うことが決まっていたが、シェの負傷で若松の対戦相手はワン・シュオに変更され──しかも体重オーバーで試合は流れた。若松はその後、11月大会で韓国のウ・ソンフンに敗れる波乱が起こり、9カ月振りの再起戦でシェ・ウェイと拳を交えることになった。

そのシェ・ウェイは実現しなかった若松戦以前に、リース・マクラーレンにRNCで敗れるなど、絶対的な打撃の強さの裏に絶対的に組み技が弱点であった。しかし、今の彼はレスリングとグラップリングにも相当な自信を持っている。その要因を尋ねると、まさに躍進中国MMAの経済力を見せつけるような事実が垣間見られた。

同時に中国武術の伝統の象徴といえる嵩山少林寺での修行経験があるなど、今はタイ在住のシェ・ウェイは伝統と経済力を兼ね備えた──C-MMAファイターの怖さが集約されているといっても過言でないファイターだ。


──インタビューを受けてくれてありがとうございます。

「自分の方こそ、インタビューをしてくれて感謝しています」

──来週の土曜日に若松佑弥選手と対戦します。今の気持ちを教えてください。

「しっかりと準備できているから、凄く楽しみだよ」

──若松選手とは昨年9月に対戦予定でしたが、欠場となりました。

「試合のための練習中にケガをしてしまって。だから、1年も試合ができなかった。ケガをしたのはタイでの練習中で、それから中国に戻って半年間治療に専念していたんだ。今年の初めになって、ようやくトレーニングを再開したよ」

──シェ・ウェイ選手に関して、以前から一つ気になっていたことがありました。ONEでは少林ファイターという紹介もされていて、修行僧の恰好をした写真も見ました。あれは嵩山少林寺で修行をしていたということですか。

「そうだよ。撮影のためとかでなく、本当に嵩山少林寺(ソンシャン・シャオリン・スー)で修行をしていた時のもので。自分は少林寺で4年間過ごしていたんだ」

──!!! 4年も少林寺で修行をしていたのですか。

「修行は最初の3年間で、最後の1年は指導をしていた」

──少林寺のデモンストレーションをパリで観たことがあったのですが、もの凄くアクロバチックなショーであって、ファイトと共通点があるとは思えなかったです。

少林寺武術ショーは少林寺の商業的な活動で、世界各地で公演が行われている。

「あれは一つの側面で。実際にあのような動きを身に着けることで自分の体の機能をよく理解し、より思ったように動かせるようになるんだ」

──つまりはコーディネーションですね。

「そう。それに少林寺では伝統的な武術(ウーシュウ)の稽古だけでなく、散打の練習もしっかりとやっている。この2つを続けてきたことで、ボディ・コーディネーションという面は絶対的に成長できた。

MMAはあらゆるスタイルの競技が融合されている。そのなかで武術の業が生きるケースも当然ある。加えて少林寺での経験により、心が鍛えられた。少林寺では1日に4度の修行の時間があるからね。まず朝の5時に最初の修行が始まり、山中を駆け回るんだ。

嵩山は一つの山でなく、山岳群で3つの高峰の一つである小室山の麓に少林寺はあり、小室山は小室36峰と呼ばれている。古代より道教、仏教、儒教の聖地とされている。

そして午後からは技術や動きの修行が2度行われている。あの修行の日々は自分の心身を鍛え上げ、当然のようにMMAに必要な一つ一つのテクニックに生かされている。少林寺の修行で自分は、ずっとタフになれたよ」

──もの凄く興味深い話です。では、若松選手の印象を教えてもらえないでしょうか。

「ユウヤは既にタイトル挑戦経験のある優れた選手だ。それに自分は弱い相手とは試合をしたくない。それでも、ユウヤの弱点は見つけているよ」

──これまで常にKOパワーのある打撃を見せてきましたが、正直なところをいえば過去に敗れた試合では組み技という面で課題が見られたと思います。若松選手は今やテイクダウン能力の高い総合的なファイターですが、その辺りをどのように考えていますか。

「自分がケガをした後、シンジャン・ファイトジムのオーナーがジムをチンタオからタイに移すことを決め、パタヤに新しいジムを創ったんだ。そしてロシア人コーチを招聘してくれて、自分のレスリングとグラップリングの技術力は凄く伸びている。だから、次の試合では新しい面を対戦相手だけでなく、ファンにも見てもらえることになるだろう。

もともと打撃に関してはユウヤよりも、自分の方が上だと思っている。そこにレスリングとグラップリングが成長した。試合がどうなるのか、楽しみにしてほしい」

──若松選手に勝つ自信は、十分にあるようですね。

「100パーセントだ」

──では、若松選手との試合ではどのような姿を見せたいと思っていますか。

「自分にはレスリングとグラップリングという弱点があった。その2つの局面で自分が如何に強くなっているかを皆に見て欲しい。ユウヤは素晴らしいファイターなので、きっと良い試合になるから楽しみにしてほしい。楽しめる試合になるよ。もちろん、日本の皆にとってもね」

──押忍。ありがとうございました。

「自分の方こそ、日本のファンに知ってもらえる機会を与えてもらって凄く嬉しい。ありがとう」

■放送予定
7月15日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

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