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【Special】アジアの今:モンゴル(01)ダギースレン・チャグナードルジ「子供の頃、家畜と格闘していた」

【写真】ニャムジャルガルはMGL-1FCフライ級王者。テムーレンはバンタム級挑戦者決定戦で勝利。そしてダギースレンはフェザー級王者……(C)MMAPLANET

2023年に入り、J-MMA界で顕著になりつつある現象がある。韓国、モンゴル、フィリピン、そしてキルギスとアジア諸国からフィジカルに優れ、打撃に強く、組み技の技術も習得している選手が来日し、日本人ファイターにとって脅威になりつつある。

そんなアジアの今──とはいっても昨年12月から今年の1月にかけて取材した──を、フィリピン、韓国、モンゴルからインタビュー形式で紹介していく。

第1回は26日(日)のGladiator021に来日した2選手が、衝撃的な勝利を収めたモンゴルからMGL-1FCフェザー級王者ダギースレン・チャグナードルジの登場だ。

1月28日(土・現地時間)にウランバートルのクロカス・イベントホールで開催されたMGL-1 FC19のメインで、トゥルバヤル・フレルバートルをパウンドアウトしベルトを巻いた直後に訊いたダギースレンの言葉をお届けしたい。


──おめでとうございます。チャンピオンになった気持ちを教えてください。

「ありがとうございます。長い時間、この試合に向けて練習してきたので本当に嬉しいです」

──前王者で同門のエンフオンギル・バートルフー選手がRoad to ONE Mongoliaに出場して優勝。同じ階級でジムメイトの活躍を眺めていないといけなかった時はどのような気持ちでしたか。

「チームメイトなので、もちろん頑張ってほしいという気持ちはありました。エンフオンギル選手がRoad to ONEで優勝してベルトを返上したことで、自分はタイトルマッチを戦えました。まず順序としてモンゴルでチャンピオンになることです。ですから、このような形でチャンピオンになれたことを凄く嬉しく思っています」

──シャンダスMMAを訪れた時、師匠のジャダンバ・ナラントンガラグが「今後モンゴルで一番期待できるのは、ダギースレンだ」と言っていました。

「素晴らしい先生から、そのように言ってもらえたことは今後の励みになります。ただ、その言葉は自分が必死に練習していることを踏まえてのことだと思うので、これからも今まで以上に頑張って練習していきたいです」

──初めてモンゴルでMMAジムを回らせてもらったのですが、自分たちからすればモンゴル人選手のフィジカルは頭抜けていて、気持ちも強いと感じます。ただ、関係者の多く人が「ウランバートルの人間は弱い。力があり、バランス感覚に優れた遊牧民の選手たちこそ、モンゴルの未来になる」と言われていました。そしてダギースレン選手の家族は遊牧民だと聞きています。

「ハイ。自分の家は山岳地帯にある遊牧民の家庭です。今日も父親は家畜の世話があるので会場に来ることができず、母だけが応援しにきてくれました。遊牧民の子供は小さい頃から、当然のように家畜と触れっているので、体は強いと言われています。自分の場合は標高の高いところで生まれ育ったので、ウランバートルと違い空気が綺麗でした。そこで家畜と一緒で育ってきたので、肺活量が高いと思います。スタミナがあって、疲れない体質です。そういうことを自分の利点として理解した上で、MMAの技術を習得していけばMMAファイターとして大きな成功を収めることは可能でないかと思っています」

──遊牧民として、強さの源は空気なのですね。

「空気も重要です。それと自分は遺伝も関係しているのではないかと思っています。父親がモンゴル相撲の力士で、凄く強かった。その血を自分は受け継いでいます」

──ダギースレン選手自身もモンゴル相撲をやっていたのですか。

「実はそんなにやっていないです(笑)。子供のころは家畜と格闘していました」

──素晴らしい話です。実は師匠のトンガー(ナラントンガラグ)にモンゴル人の強さの秘密を尋ねると、岩塩と馬のアキレス腱を食べることだと言っていたので……この質問をしたのですが、モンゴルの食生活も変わったのかもしれないですね。

「……。そうですね、先生とは時代の違いがあるかもしれないです(苦笑)」

──アハハハハ。さきほど名前の出たエンフオンギル選手はONEと契約し、トンガーのレガシーを継ぎます。ダギースレン選手は今後のキャリアをどのように考えていますか。

「今日、MGL-1FCというモンゴルのチャンピオンになることができましたが、世界的に見れば小さな団体のチャンピオンです。今後は大きな大会で試合をしたいので、その前には海外の大会で経験を積みたいと思っています」

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