【Gladiator020】竹本啓哉とコンバット柔術=江木伸也─02─「寝技も掌底でも仕留める自信があります」
【写真】鬼気迫る表情で、かつ淡々と掌底を落とす江木は正直怖い(C)MMAPLANET
22日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator020で、PROGRESSコンバット柔術ルールで竹本啓哉と対戦する江木伸成のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
幼少期から現在まで、空手~柔道~テコンドー~MMA~柔術と様々な格闘技を経験してきた江木にとって、今回の竹本戦はプロMMA出場に向けた最後のテストマッチとなるだろう。強くなるための道を歩み続けてきた男の、ファイター人生第二章が始まる。
<江木伸成インタビューPart.01はコチラから>
――パッとハマった柔術の魅力とは何だったのでしょうか。
「柔術のゲーム性と、これをやれば強くなれるなっていう印象でした。当時はまだ白帯で、初めて柔術の試合に出たのは2016年です。そこから2019年に、藤田先生から黒帯を頂きました」
――初めて試合に出たのが2016年で、3年で黒帯を巻くのは早いほうではないですか。
「一般的に見れば早いほうだと思います。とにかく仕事がない時は毎日練習に行って、たくさん試合にも出続けました。藤田先生は――特に若い人間に対しては――試合で実績を残さないと帯も昇格させないタイプの方で。僕も強くなって、より上の帯を頂くために柔術にのめり込んだんです」
――紫帯時代に全日本を制し、茶帯になってからアジア選手権で3位になっています。黒帯に昇格してから、ムンジアルなど柔術で世界を目指そうとは考えなかったのでしょうか。
「もちろん目指したい気持ちはありましたが、消防士というシフト勤務の仕事をしていた関係で、滞在期間や自分の実力もふまえて『海外の大会に出るべきではない』と思いました」
――消防士ということは、24時間勤務の翌日はお休みで、次の日はまた24時間勤務という体制だったのですか。
「そうです。なんとか勤務を調整して連休を取ることはできます。でもムンジアルの場合は1週間前から現地に入ったりしますし、そうなると仕事を休むのは難しくて……。それと紫帯で全日本優勝したあと、またパッとMMAをやりたい気持ちが降ってきたんです」
――何か新しいことにチャレンジする時は、常に『パッと』気持ちが降ってくるのですね。
「アハハハ。なぜそんな気持ちになったのか、自分でも分からないままで(笑)。まずグラップリングを鍛えてからMMAをやろうと思って、佐々木信治さんと藤井惠さんにお会いして、BURSTで練習させていただくようになりました。
地元が福山市であったことと、僕が修斗グラップリングに出た時、同じ大会でBURSTの選手が活躍していたのが印象に残っていたんです。でも仕事も忙しくなって、なかなかBURSTにも行くことができずにいた時、筋トレをして体を鍛えようと思いまして。MMAをやるためには筋トレも必要ですし。それで通い始めたトレーニングジムに、ボディビルダーの方がいまして。その方と筋トレの話をしていたら、ボディビルも面白いのではないかと――パッと頭に降ってきました」
――今度はボディビルですか!
「そこから筋トレにハマり、2017年から2018年はボディビルを極めてやろうと思っていました。大会にも出たのですが、広島県大会は予選落ちで……。それでもボディビルを続け、柔術と両立させようと考えていたんです。でもボディビルのために鍛えていた体で柔術をやると、何か動きが変なんですよね(苦笑)。
『昔の動きと違うな』と思い始めて――そうこうしているうちに黒帯に昇格し、柔術に専念することしたら頭の中からボディビルのことは頭から消えていまして。でも黒帯に昇格したら今度はMMAをやりたくなり、アマチュアパンクラスに出ました(2020年2月、腕十字で勝利)」
――ということは江木選手にとって現在、柔術はインストラクターを務める仕事であり、それ以外の競技に挑戦したいというスタンスなのでしょうか。
「正直、コロナ禍もあったので『このままインストラクターとして、のんびりやっていこうか』と考えていました。でもプログレスでコンバット柔術のオファーを頂いて、自分の心に火がついてしまったんです。やっぱり競技者として戦っていきたい。だから消防士の仕事は辞めて、プロの試合に出てファイトマネーをもらっても良い仕事に転職しました」
――えっ!?
「コンバット柔術のオファーを頂いた時、やっぱりパッと降ってきたんです(笑)MMAをやりたい、柔術もやりたい――その2つの気持ちが合わさったようなルールがある。自分にとっては、良いとこ取りのルールです。当時はすでにレオス柔術アカデミーで、藤田章大先生のMMAクラスに参加していました。コンバット柔術をやることはMMAに生きる、これは絶対にやらないといけないと即決しましたね」
――江木選手のコンバット柔術初戦は、昨年5月のHEATで生田誠選手と対戦しました。
「まずMMAをやりたいと思っていた人間として、ケージに入ることができて嬉しかったです。それに生田さんは憧れている柔術家で。僕は生田ガードが大好きで、今でもよく使っています。生田さんのセミナーに参加したことがある人から教わったり、生田さんの動画を視て勉強していました。
その生田さんと柔術でも対戦したことがないのに、コンバット柔術で――しかもケージで向かい合うとは複雑な気持ちもありました。自分でも何がどうなっているか分かっていなくて(笑)。でも、とにかく嬉しかったです」
――その生田戦では、江木選手が生田選手の足を掌底で叩いてガードを外そうとするシーンが印象的でした。まさにコンバット柔術ならではの攻防といえるでしょう。
「あれは藤井先生から言われました。『掌底でカーフを叩いたら、メチャメチャ痛いけぇ』と――完全に作戦通りでしたね。顔面、ボディ、そして足と掌底を散らしていく。MMAファイターだからこそ思いつくことだったと思います」
――現在の江木選手にとって、プロMMAとは一度経験したいものでしょうか。それとも今後はMMAファイターとして、さらに上を目指していこうと考えているのですか。
「僕は今32歳で、時間は限られています。でも、やるかぎりは上を目指したいです。そしてMMAをやる舞台は、グラジエイターしか考えていません。
だから今回の試合は、絶好のアピールになると思っています。何といっても元グラジエイター王者で、グラップラーであり柔術茶帯の竹本選手とコンバット柔術で戦う。自分がプロMMAで戦うための最後のテストマッチとして、これ以上の試合はありませんから。最初はMMAのオファーを頂きながら、最終的にコンバット柔術の試合になりましたけど、これが自分にとって必要な試合だったんだなと思っています」
――では竹本選手の印象を教えてください。
「MMAの試合では組みがねちっこくて強い。ケージレスリングもできるし、柔術の寝技もできる。組みが強いMMAファイターです。ケージレスリングについては、僕もずっと練習してきました。今は壁際の練習やケージレスリングが大好きで、さらに寝技も掌底でも仕留める自信があります」
――これまで様々な格闘競技を経験してきた江木選手です。果たして現在は柔術家なのか、それともコンバット柔術家なのか、あるいはMMAファイターになりたいということなのか。ご自分で自身の肩書は何だと思いますか。
「うーん、難しいですけど……僕はファイターです。どんなルールでも戦うことができて、どんなルールでも強い。それが僕の目指しているものです」
■視聴方法(予定)
1月22日(日)
午後2時20分~THE 1 TV YouTube
■ Gladiator020対戦カード
<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
陸虎(日本)
<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
秋田良隆(日本)
<ウェルター級/5分2R>
藤田大(日本)
スティーブン・ギレスピ(英国)
<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R>
中川皓貴(日本)
チョ・ソンビン(韓国)
<Gladiatorライト級選手権試合/5分3R>
[王者]キ・ウォンビン(韓国)
[挑戦者]グスタボ・ウーリッツァー(ブラジル)
<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座決定戦/5分3R>
森戸新士(日本)
ジョセフ・チェン(台湾)
<フライ級/5分3R>
宮城友一(日本)
久保健太(日本)
<バンタム級/5分3R>
笹晋久(日本)
ジョン・オリニド(フィリピン)
<キック・ウェルター級/3分3R>
璃久(日本)
イゴール・シルバ(ブラジル)
<バンタム級/5分2R>
溝口司(日本)
ガッツ天斗(日本)
<ヘビー級/5分2R>
大場慎之助(日本)
チョン・ホチョル(韓国)
<Progressフォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
山田崇太郎(日本)
井上啓太(日本)
<Progressコンバット柔術バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
江木伸成(日本)
<アマMMA女子アトム級/3分2R>
住村斉明里(日本)
MIYU(日本)