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【Breakthrough Combat04】竹本啓哉と対戦、日本で柔術を始めたガドウィン・ランバヤン「最高のテスト」

【写真】尾張旭にある自動車部品会社で働いていたことがあるというランバヤン。MMA戦績は6勝1敗で、UGBバンタム級王者。フィニッシュ率は100パーセントだ(C)MMAPLANET

14日(水)に開催されるBreakthrough Combat04で、竹本啓哉と対戦するガドウィン・ランバヤン。恐らくは日本では全く無名のフィリピン人グラップラーは、Progress実行委員の長谷川賢が、Gladiatorのタレントリレーションの役に就いた際に、人材発掘視察を行いイの一番にオファーをかけたファイターだった。
text by Manabu Takashima

当時は空軍に勤務し来日は叶わなかったが、今回待望の初来日──いや、再来日を果たす。チームラカイで散打の経験があったランバヤンは2010年代中盤に来日し、尾張旭市で働いていた時期ある。そのときに柔術に出会い、帰国後は同国を代表するグラップラーとして、柔術、グラップリング、MMA、そしてコンバットサンボで活躍してきた。

今ではジョシュ・パシオの柔術コーチを務めるランバヤンにインタビューを試みた。


ペドロ・トミカワ先生に柔術を習うように

──ガドウィン、お久しぶりです。

「コンバンワ」

──おっ、早速日本語ですね(笑)。2年半前にマニラのヴァリアントMMAでお会いして以来です。あの直後、ガドウィンはGladiatorからのオファーがあったと聞いています。

「僕は空軍で働いていて、すぐに休暇の許可が下りなかったんだ。あの時、オファーを断らないといけなかったことは本当に悲しかった。ただ2023年と2024年はケガが多くて、MMAは1試合しかできなかった。それにBreakthrough Combatは去年の10月にもオファーをくれたけど、出場が先に決まっていた柔術の試合でケガをしてしまって。あの時も日本で戦うことができなくなってしまった。以前、尾張旭に住んでいたことがあったから、日本で戦うことを心から楽しみにしていたのに……」

──2年半前に日本で柔術をしていたという話を聞いて、凄く興味深かったです。

「僕はもともと大学生の時に、散打を2年ほどやっていた。でも格闘技は6年もやっていなかったんだ。日本で働いていた時、運動をしないと健康に良くない。体が弱っていっていると感じた。そんな時に、同じ職場のブラジル人が柔術を始めないかと誘ってくれたんだ。2016年だから、もう9年も前の話になるね。カルロス・トヨタの弟子のペドロ・トミカワ先生に柔術を習うようになった。でもペドロ・トミカワ先生のグループは小さくて、キッズ中心だったよ。

尾張旭では3年間働いていたけど、本当に良かった。だからフィリピンに帰国してからも、柔術を続けていたんだ」

──フィリピンに戻って、すぐにジェリー・レガスピとマーク・ストリーグルのチームに合流したのでしょうか。

「最初はジョン・バイロン先生のところで、柔術を習っていた。バイロン先生はフィリピンにおける柔術のパイオニアだからね。先生のところで紫帯を巻くようになった。でもパサイにあったバイロン先生のジムは、コロナ・パンデミックで閉められ別のロケーションに移ったから通えなくなってしまって」

──パンデミック前にMMAを戦うようになっていますね。

「日本では柔術しか練習をしていなかったけど、MMAを戦いたくなったんだよ。僕にとって打撃有りの試合は柔術やグラップリングよりもチャレンジングだったから。でも仕事があったから、1年に1試合しか戦えていないけどね」

──パンデミック後もMMAの試合数は3試合ほどですね。ただ、コンバットサンボのナショナルチームの一員でもあります。

「基本的に僕はグラップリングがベースで、MMAの練習をやりこんでいるわけじゃない。コーチ・マーク(ストリーグル)とコーチ・ジェリー(レガスピ)の指導を受けてコンバットサンボの試合にも出ているけど、グラップリングを中心とした戦い方に変わりはない。マーク・ストリーグルはフィリピンで最も優れたグラップリング・ベースのMMAファイターだからね。

確かにMMAは3年で3試合しか戦っていなけど、コンバットサンボのトーナメントには10回以上は出てきた。僕にとってコンバットサンボはMMAより大変だ。ヘッドバットが認められている格闘技なんて、他にないからね。道着を掴んで殴って蹴る。クレイジーだよ(笑)。

それに柔術やグラップリングではトーナメントとスーパーファイトにも出てきた。コンバットサンボでは2023年の東南アジア選手権で優勝し、柔術では去年のASJJFワールド茶帯で2つのゴールドを手にしている。だから、実戦の経験は十分に詰めてきたと思っている。

ASJJFでは黒帯のトーナメントに出ようとしたけど、エジソン・カゴハラ先生に許してもらえなかったんだ」

──まぁ、当たり前といえば当たり前かと(苦笑)。

「でもASJJFワールドの前にマレーシアとフィリピンで、黒帯のノーギ・トーナメントに2度出場し、2度とも優勝しているんだよ」

──!!……。ではジェリーか、マークに黒帯をもらわないと(笑)。でも2年半前に練習を見させてもらった時から、ガドウィンはギロチンが上手いという印象が残っています。

「フフフフフ」

タケモトさんは一本を狙ってくるだろう。僕も彼をサブミットするつもりで戦う

──では竹本選手の印象を教えてください。

「まず日本で戦うことができて、スーパーハッピーだ。タケモトさんは去年の秋にオファーをもらった時の相手だった。グラップリング全般が強い選手。Gladiatorの元チャンピオンで、経験豊かなタケモトさんとの試合は、タフなモノになることは分かっている。でもアンダードッグとして、チャレンジすることに意味がある。このシチュエーションも大好きだなんだ。

MMAだから打撃もある。僕はフィリピン人だ。打撃戦には慣れている──けど、グラップリングでも僕はタケモトさんとやりあえるよ」

──いまやチームラカイやライオン・ネイションMMAのファイターは、打撃よりグラップリングが得意な選手も出て来ています。

「実は僕は弟と一緒にジョシュア・パシオの柔術の指導をしている。フィリピン人ファイターのグラップリングは、凄い勢いで成長しているよ。ライオン・ネイションのファイターのMMAにおけるグラップリングは紫帯か、茶帯のレベルにあると断言できる。凄く競争力があるよ」

──そのライオン・ネイションMMAで、ガドウィンはMMAの練習を一緒にすることもあるのですか。

「ライオン・ネイションMMAは、僕らの兄弟ジムの一つだ。ただ僕はマニラで仕事を持っているから、バギオを頻繁に訪れることはできない。だいたい2週間に1度かな、ライオン・ネイションMMAに行けるのは。実際、今回の試合に向けてもファイトキャンプと呼べるような特別なことはやっていない。

毎日、いつもと同じようにMMA、グラップリング、コンバットサンボ、柔術の練習をするだけ。柔道の練習を大学の柔道クラブまで足を運んでやることもある。キャンプはしていないけど練習と指導、格闘技から離れることがない日々を送ってきた。その練習相手の1人が、今回一緒に日本で戦うジョン・オルニドだ。

彼はフィリピンで最も才能のあるファイターだよ。ジョンの日本での試合の勝利者予想をしろというなら『ジョンが楽勝する』と断言するよ」

2022年12月のガドウィン。殴ることができるグラップラーだ

──ではガドウィンは、竹本選手との試合に何を期待していますか。

「タフファイトだよ。レコードを見る限り、僕のキャリアのなかで最もタフな試合になるはず。ただでさえ、日本のMMAのレベルは本当に高い。タケモトさんはそのなかでチャンピオンになった選手だ。僕の力を確認できる最高のテストマッチになるだろう。タケモトさんは一本を狙ってくるだろう。僕も彼をサブミットするつもりで戦うよ。

そして今回の試合をきっかけにして、MMAでもグラップリングでも日本で戦うことができるようにベストを尽くしたい」

■視聴方法(予定)
5 月14日(水)
午後6時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat04対戦カード

<バンタム級/5分3R>
ジョン・オルニド(フィリピン)
熊崎夏暉(日本)

<58.5キロ契約/5分3R>
ザヒド・アフメド(インドネシア)
山崎蒼空(日本)

<バンタム級/5分3R>
石井逸人(日本)
上田祐起(日本)

<バンタム級/5分3R>
ガドウィン・ランバヤン(フィリピン)
竹本啓哉(日本)

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[暫定王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]イ・ソンハ(韓国)

<Progress ライト級/5分2R>
大脇征吾(日本)
椿飛鳥(日本)

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