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【Breakthrough Combat04】2年2カ月振りの来日、比MMAの未来オルニド「キラーと人間の違いを見せる」

【写真】それでもまだ21歳。再来日が嬉しくてしょうがない様子のオルニドだった (C)MMAPLANET

14日(水)に開催されるBreakthrough Combat04で、ジョン・オルニドが2年2カ月振りの来日を果たし、メインで熊崎夏暉と対戦する。
text by Manabu Takashima

オルニドは2022年12月に長谷川賢Progress実行委員が、フィリピンを視察した際に先方が自発的に行ったトライアウトに参加。

そのポテンシャルを認められた2023年3月のGladiatorに来日を果たし、笹晋久と対戦することに。

19歳と5カ月のオルニドは笹のハーフガードからのスリープに転がされながらも、パワーとバネでトップを取り返し打撃で反撃に出た。しかし、2Rにローが急所を直撃して笹が試合続行不可能に。グラジ裁定で一発判定負けを喫した。

凄まじく粗削り、それゆえにダイヤの原石感が伝わってきたオルニドは再来日が期待されていたが、数カ月後には引退をしたという話が伝わってきた。

グラジのケージではモンゴル勢が躍動し結果も残したが、オルニドは彼らに匹敵するほど将来性が見込まれていた。その後、元UFC&ONEファイターのマーク・ストリーグル、フィリピン組み技界を引っ張るジェリー・レガスピ門下となり、ZEUS Combatバンタム級王座に就いたオルニド。その活躍を両者と親交がある長谷川がSNSで知ったことで、今回の再来日が実現した。

タトゥーが増え、21歳になったオルニドに熊崎戦について話を訊くと、引退と途絶えた来日についてとんでもない真相が明らかとなった。


今となっては前のジムを追放されて良かったよ

──ジョン、2年2カ月振りに日本で戦います。今の気持ちを教えてください。

「とにかくハッピーだ。なんせ、前の試合は消化不良だったから(偶発的な急所蹴りで、対戦相手の晋久が試合続行不可能になりグラジエイターのルールでは反則負けに。海外のサイトではNCとして記録されることが多い)。セカンドチャンスを待っていたし、誰とでも戦うつもりだった。何をすべきか今は分かっている。今のジムでグラップリングをしっかりと指導してもらっているし、コンバットサンボも経験した。

2年前とは違う。別人になった。とにかく僕の寝技はあの時とはまるで違う。8キロ重いマーク(ストリーグル)と毎日のようにMMAとコンバットサンボのスパーリングをしてきた。自分に何ができるか、今は分かっている。だから今回は自信を持って、日本に行くことができる。前回の試合の時は、本当の意味で自分に何が必要か分かっていなかった。でも、今の僕は違う」

──グラジ出場後、URCCでフライ級に落として戦い敗北。その後、20歳の若さでジョンが引退したという話がフィリピン方面からは伝わってきていました。なぜ、引退を一度は決めたのでしょうか。

「僕はササ戦の後も日本で戦いたいと思っていた。でもマネージャーからオファーがあったという話は聞かなかったし、当時の僕は以前のジムの指導者のいうことに対して『イエス』というしかなかったんだ。オファーがあったと聞かされていたら、戦っていた。でも今となっても何も知らないで、僕は日本で試合をする機会を失っていたんだよ」

──……。

「今回のオファーがあって今、僕を指導してくれているマークが3試合契約をしていたことを見つけてくれたんだ。あれからもグラジエイターからオファーがあったことも、初めて知った。何より、僕は引退なんてしていない。

前のジムを追い出された時に、コーチが『アイツを練習させるな』といろいろなジムに圧力を掛けたんだ。彼の影響力が強くて、どこも僕を受け入れてくれなかった。結果、2カ月ほど練習する場所がなくなっていたんだ」

──なんと言えば良いのか……。

「でも、今となっては前のジムを追い出されてよかったよ。ウェイトをやっていたジムの関係者から、マークやジェリー(レガスピ)が僕のことを知って、受け入れてくれたから。前のジムにいるときは、ここまで丁寧にグラップリングの指導を受けたことがなかったしね。

当時の僕は寝技になるとサバイブはできても、戦いに応じることはできていなかった。でも、今の環境では柔術の練習もしっかりとできている。自分の戦いやすいエリアで、誰もが戦いたいはずだ。その戦いやすいエリアがグラップリングまで広まった。以前は打撃とレスリングだけで、ここまでグラップリングを突き詰めて練習していなかった。もう僕のファイトに穴はなくなったよ」

──ジョンもマーク達と一緒に、コンバットサンボを戦っているわけですよね。

「イエス」

レンジの作り方、相手のラインの消し方はあまり打撃が分かっているとは思えない。素人丸出し

──コンバットサンボの経験は、いかにMMAに生きてきますか。

「道着を着た試合は、爆発力で戦うんじゃなくて忍耐力が必要になってくる。力づくで戦っても、体力を消耗するだけだ。MMAファイターのMMAの技術が、そのまま生かせるわけじゃない。柔道を含め、ギに必要な戦い方がある。我慢強く、自分は何ができるかのを把握しないといけない。それをコンバットサンボを戦うことで覚えた。コンバットサンボで、メンタルを鍛えることができたよ」

──対戦相手の熊崎選手も実はコンバットサンボの全日本王者に二度輝いています。凄く興味深い顔合わせになりました。

「僕と同じで若くて、将来を期待されているファイターだよね。これまではもっとキャリアのある選手と戦ってきたから、新鮮だよ。ただ彼の動きは凄くベーシックなグラップラーだ。パンチにしてもグラップラーが使う打撃だよね。レンジの作り方、相手のラインの消し方はあまり打撃が分かっているとは思えない。素人丸出しだよ。

彼が僕に勝とうと思っているなら、そう思って戦えば良いよ。僕にとって試合は勝ち負けじゃない。生か死だから。サンビスト✕サンビスト? そうじゃない。この試合はキラーと人間の違いを見せる。いつだって勝者は1人しか生まれない。もちろん、僕がそうなる。彼じゃない。ケージの中では何が起こるか分からないけど、マスタークラスのショータイムを披露する。マスタークラスのファイトがどういうものか、日本の皆に見てもらうよ」

──では日本のファンに一言お願いします。

「僕は一番になるために日本に行く。親父世代のファイターにとって日本は最高の舞台だった。僕もPRIDEのような大きな舞台RIZINで、PRIDEで活躍していたファイターのように戦いたいと思っている。きっと僕の試合を日本の皆が気に入ってくれるはずだ」


■視聴方法(予定)
5 月14日(水)
午後6時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat04対戦カード

<バンタム級/5分3R>
ジョン・オルニド(フィリピン)
熊崎夏暉(日本)

<58.5キロ契約/5分3R>
ザヒド・アフメド(インドネシア)
山崎蒼空(日本)

<バンタム級/5分3R>
石井逸人(日本)
上田祐起(日本)

<バンタム級/5分3R>
ガドウィン・ランバヤン(フィリピン)
竹本啓哉(日本)

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[暫定王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]イ・ソンハ(韓国)

<Progress ライト級/5分2R>
大脇征吾(日本)
椿飛鳥(日本)

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