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【Gladiator020】フライ級王座を見越した久保健太戦へ、宮城友一─02─「自分はこのままじゃいけないと」

【写真】伊藤裕樹、関口祐冬、安谷屋智弘、NavE、宇田悠斗、駒杵嵩大──勝っても負けても、錚々たるメンバーと宮城は試合を続けてきた。久保の好戦績に向き合った時、そこに自負はあるだろう(C)MMAPLANET

22日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator020で、久保健太と対戦する宮城友一のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

1年4カ月ぶりのグラジエイター出場で、宮城も対戦する久保もアラフォーだ。お互いの年齢とキャリアを考えれば、ここで負けるとタイトル挑戦への道は厳しくなるだろう。そんな共通点を持つ久保の印象を訊くとともに、宮城にあの言葉の意味を尋ねた。

<宮地友一インタビューPart.01はコチラから>


――宮城選手はかつてグラジエイターでライトフライ級のベルトを巻いていました。現在は修斗のベルトを目指しているとのことですが、もう一度グラジエイターのチャンピオンになりたいという気持ちはありますか。

「もちろん、あります。自分が目標にしているのは、修斗とグラジエイターのベルトです。その2つをモチベーションに、日々練習しています。今回の試合で勝つことで、またグラジエイターのベルトに近づくことができれば良いなぁと思っています」

――対戦相手の久保健太選手はRoad FCでのプロデビュー戦で星を落とし、その後4連勝。2021年には鶴屋怜選手に敗れるも、以降は3連勝しています。3連勝のうち2勝はグラジエイターでのもの――つまり、グラジエイター・フライ級のベルト戦線に関わってくるマッチメイクかと思います。

「僕もそういう意味合いを持っている試合だと感じています。自分としてはNavE選手に負けているので(2021年9月、フライ級タイトルマッチで判定負け)、すぐ再戦させてほしいとは言えません。ただ、今回勝てば再戦に近づくことはできるだろうと考えています」

――では、久保選手の印象を教えてください。

「まず戦績が良いですよね(MMA戦績7勝2敗)。勝つ選手は、絶対に強い。砂辺さんとも『絶対に強い選手だから勝ちに徹する。確実に勝ちに行こう』という話をしました」

――久保選手も強い打撃を持っている一方で、手堅い攻めができる選手ですよね。

「はい、しっかり勝つ選手だなって印象があります。だから反対に、試合の展開についてはいろいろ想像してしまって……。もう試合も近いので、そこは迷わずに、砂辺さんと作戦をしっかり固めています。この作戦を遂行すれば大丈夫だろう、というところまで来ました」

――宮城選手は1983年生まれで現在39歳、久保選手は1982年生まれの40歳です。お互いキャリアは違うものの年齢も近く、久保選手もまた宮城選手と同様、グラジエイターでキャリアが変わった選手ではないでしょうか。

「プロモーターも、そういうところを狙ったマッチメイクなのでしょうね(笑)。このグラジエイターという新しい舞台で、もうひと輝きしたいと思っているのは僕も彼も同じです。ただ、僕は僕で積み重ねて来たものがあるつもりだし、そこは負けてないと自信を持っています。試合内容としては、圧倒して勝ちたいです」

――なるほど。宮城選手にとっては、これからがラストチャンスと考えているのでしょうか。修斗沖縄大会でKO勝ちしたあと、「あと少し、死ぬ気で頑張って上を目指したい」と仰っていました。

「……何て言うんでしょうね。周りの人から『もうそろそろ辞めたほうが良いんじゃないか』と言われることはないです。みんなが応援してくれています。でも自分の中で勝手に、『周りの人たちに迷惑をかけているんだろうなぁ』という気持ちが強くなっているんですよね。ジムもあるし、家族がいて――家族から辞めてほしいと言われることはないですが、それでも考えてしまうことがあって。

ジムで一緒に働いてくれているスタッフさんも『先生、僕たちにジムは任せて試合を頑張ってください』と言ってくれるけれども、そういう言葉に対して自分で勝手にプレッシャーを感じるようになってきました。だから今は毎試合、『あと少しやらせてください』という言葉が出てしまいますね」

――もう一つ気になる発言がありました。「選手として死ぬ気で頑張るということを、長らくやっていなかった気がします」と仰っていましたが、現場で「そんなわけがない」と思いました。ここまでMMAを続けてきた宮城選手が、死ぬ気で頑張っていないはずがない。

「もちろん自分としては、一生懸命やってきたつもりです。でもジムの仕事や人間関係などとのバランスを取りながら、選手生活を続けてきました。それでも強い選手を見ていたり、沖縄で若い選手たちと練習していると――彼らは一つのことに懸けているわけです」

――……。

「若い選手たちは練習でヘトヘトになり、また次の日も……という日々を過ごしています。僕もそういう日々を過ごしたかったけど、ジムもあり家族もいて、同じようなMMAとの向き合い方ができなかった。ジムを立ち上げる前は会社員をやっていて、最初から生活ありきで考えていました。

会社員であったり自分のジムを持っていたら当たり前かもしれないけど、どうしても仕事のほうに心と体が引っ張られてしまうことがあったんです。でも若い選手たちと練習していて、自分はこのままじゃいけないと思いました」

――今、沖縄から若いMMA選手が多く出てきていますね。

「そうですね。昼にパラエストラ沖縄の練習に参加すると、25人ぐらい集まっていますよ。そして、みんな強いです。平良達郎君はもちろん、南風原吉良斗君や旭那拳君たちは本当に一生懸命やっています。砂辺さんのクロスラインからも、当真佳直君が修斗沖縄大会のメインを務めたりとか。僕はあと何年、MMAを続けられるか分かりません。だからこそ――彼らと同じように一生懸命やってみようと思ったんです」

――なるほど。

「実は修斗で関口祐冬選手と対戦した時(2022年3月に判定負け)も思っていて。修斗の入場式で、みんな並んだ時に『この中で自分だけ何かが足りないんじゃないか』って。でも、一生懸命やろうと考えてから、気持ちも吹っ切れました。おかげで、今は試合へのモチベーションは高いです。

練習ではヘトヘトになるし、かといってジムの指導を休んでいいわけではない。それでも毎日が充実していて、自信にもなっているし、自分の中で納得できる取り組み方ができています。これからも1試合1試合、絶対に後悔することがないように」

■視聴方法(予定)
1月22日(日)
午後2時20分~THE 1 TV YouTube

■ Gladiator020対戦カード

<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
陸虎(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
秋田良隆(日本)

<ウェルター級/5分2R>
藤田大(日本)
スティーブン・ギレスピ(英国)

<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R>
中川皓貴(日本)
チョ・ソンビン(韓国)

<Gladiatorライト級選手権試合/5分3R>
[王者]キ・ウォンビン(韓国)
[挑戦者]グスタボ・ウーリッツァー(ブラジル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座決定戦/5分3R>
森戸新士(日本)
ジョセフ・チェン(台湾)

<フライ級/5分3R>
宮城友一(日本)
久保健太(日本)

<バンタム級/5分3R>
笹晋久(日本)
ジョン・オリニド(フィリピン)

<キック・ウェルター級/3分3R>
璃久(日本)
イゴール・シルバ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
溝口司(日本)
ガッツ天斗(日本)

<ヘビー級/5分2R>
大場慎之助(日本)
チョン・ホチョル(韓国)

<Progressフォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
山田崇太郎(日本)
井上啓太(日本)

<Progressコンバット柔術バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
江木伸成(日本)

<アマMMA女子アトム級/3分2R>
住村斉明里(日本)
MIYU(日本)

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