【Pancrase330】12・25を読む 初の国際戦に臨むフェザー級暫定KOP、透暉鷹─01─「長身の選手対策は」
【写真】透暉鷹の戴冠で盛り上がる石綱MMAについては後編にて(C)MMAPLANET
25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、フェザー級暫定KOPの透暉鷹が、韓国のパン・ジェヒョクと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
2022年はこれまで3戦全勝、全てフィニッシュしている透暉鷹。7月には亀井晨佑を仕留め、暫定フェザー級KOPのベルトを巻いた。そんな亀井戦を振り返ると、透暉鷹の強さと現在の勢いが見えて来る。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第1弾は透暉鷹インタビュー前編だ。
――透暉鷹選手は今年3戦3勝、しかも全試合フィニッシュしています。パンクラスに年間MVP制度があれば、間違いなく受賞しているのではないでしょうか。
「アハハハ。でも結果に驚いてはいないです。今までもそうだし、これからもずっと勝ち続けていくので。それは変わらないですから」
――さらに昨年5月のRyo戦で敗れたものの、次の内村戦を含めれば4連勝して暫定ながらフェザー級KOPのベルトを巻きました。Ryo戦以降、何か変化があったのでしょうか。
「何か変わったんですかね? 自分ではよく分かっていないんですけど(苦笑)。Ryo選手に負けた試合がメッチャ悔しくて……練習の取り組み方は変わったかもしれないです。何か新しい練習を始めたわけではなく、メンタル面ですよね。Ryo戦が終わって、まだまだ自分は甘かったんだなって思いました。そこでさらに気持ちが入ったというか」
――その甘さを克服したのは、練習の量ですか。それとも質でしょうか。
「練習の質ですね。練習の中では何をやるにしても、試合をイメージするようにしていて。打ち込み一つにしても、全て試合のことを考えながら――そういう意識が、Ryo戦までは甘かったんだなと思います」
――それまでの練習は、こなしていただけのような……。
「そうだったかもしれないですね。もちろん当時は、そんなふうに考えていたわけではないです。Ryo戦で負けて、改めて甘かったことに気づいた感じですね」
――透暉鷹選手といえば、前回のインタビューで身体能力の高さを証明する各スポーツの実績についてお聞きしました。それだけ身体能力が高ければ、MMAを突き詰める前に試合で勝てる部分もあったのではないでしょうか。
「まぁ、あったんですかね(苦笑)。今年に入ってから、練習している打撃が試合でも出るようになった、と一緒に練習している選手からも言ってもらえていて」
――加えて、フィニッシュが鋭くなったように思います。特に4月の岩本達彦戦ではパウンド、7月の亀井晨佑戦はネッククランク(公式記録はRNC)を見ても、チャンスと見れば一瞬でフィニッシュに持ち込むという。
「それも練習で意識していることが出ているんだと思います。試合ではいつでもフィニッシュを狙えるように、練習でもどんどん極めに行っていて。試合で極めに行き続けると、バテるじゃないですか。練習から極めに行かないと、試合で極めるのは難しい。だから練習で、試合以上に極めに行く意識でやっていますね。練習でやっていないことは、試合でも出ないので」
――透暉鷹選手は公式プロフィールでは身長168センチ、フェザー級でも体格が大きいほうではなく、常に体格差のある試合となります。特にここ2試合は、岩本選手が183センチで亀井選手が182センチ……相手のほうが頭ひとつ分、身長が高かったです。その体格差は苦にならないのでしょうか。
「向かい合ったら、どちらもデカかったですね。アハハハ。でも苦にはならないです。試合が始まったら、2人とも凄くテイクダウンを警戒しているんですよ。だから構えも低くなっているし、テイクダウンのフェイントにも反応してくれるので、逆にスタンドがやりやすくなりました。
亀井選手はスタンドのワンツーとかで自分の距離とペースを作っていくタイプじゃないですか。でも重心が低くなっていて、自分自身の強みを生かしきれなくなっているなって思いました」
――試合は透暉鷹選手の攻めを亀井選手が凌ぎ続けるという、ハードファイトとなりました。
「メッチャ疲れました……。まず2Rのキムラは、試合を終わらせに行ったんですよ。だから自分も腕がパンパンになり、息も切れていて。それは3Rにバックを奪ったところで、息を整えることができました。早めにバックを奪うことができて、いつでも極めに行くことができると思ったので(苦笑)。そこで息を整えながら、いろいろ散らしてチャンスを待っていました」
――しかし3R終了直後の腕十字も凌がれています。
「あそこまで凌がれるとは考えていなかったです。正直なところ、3Rが終わった時は気持ちも落ちていました。アハハハ。僕のほうが危ないと思うような展開はなかったけど、どうやったらフィニッシュできるのかなって。4Rまでのインターバルの間もボーッとしていて、セコンドから何て言われたのか覚えていないぐらいでしたね。とりあえず4Rは、無理にテイクダウンに行くとスタミナが削られてしまうので、しっかり打撃やりながらグラウンドに持ち込んで……と」
――……4Rは亀井選手のパンチをかわしながら、飛び込んでテイクダウンを奪いましたよね。
「アハハハ! そうでした。ただ、あれも練習でやっている動きなんですよ。勝手に体が動いた感じで。別に亀井選手の対策として、ではなく普段から練習している動きをハメこんだだけです」
――体格差のある試合が多い透暉鷹選手ならでは、ですね。セコンドに就いていた日沖発さんも高身長ですし。
「日沖さんも180センチぐらいありますよね。日沖さんと練習していたら、長身の選手対策は間違いないです」
<この項、続く>