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【Pancrase353】ウルルと仕切り直しの防衛戦、透暉鷹「練習以外の時間をどう過ごすかが一番大事」

【写真】練習以外の過ごし方で、練習の質も上がる。試合2週間前の透暉鷹はリラックス&集中できていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

27日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 353で、バンタム級KOPの透暉鷹がカリベク・アルジクル・ウルルを相手に防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

両者は当初、昨年12月のニューピアホール大会で、ベルトを賭けて対戦する予定だった。しかし透暉鷹が右足首の靭帯損傷、ならびに骨にヒビが入っており全治1カ月と診断された。さらにウルルもレスリングの練習中に肩を痛めたことにより、タイトルマッチは延期されている。

昨年のRoad to UFCでは準決勝で敗れている透暉鷹。RTU再挑戦を目標に掲げていたが、その夢も叶わず。今年のRTU開催と出場メンバーを見て、彼は何を想うのか。その前に立ちはだかる強敵ウルルに対しては――4月12日、土曜日の朝に行われている寒天練に、透暉鷹を訪ねた。


――昨日は17時から東京でパンクラスの記者会見があり、当日に戻ってきたのですか。

「はい。東京ではどこにも寄らずに――出稽古とかは、試合前に怪我すると怖いので」

――今日の寒天練も出稽古ではないのでしょうか。

「ココは出稽古先という感じではないですね。出稽古って何カ月に一度行く場所、という感じじゃないですか。寒天練は普段から練習している場所で、いつも練習しているメンバーがいる。だから出稽古先ではないと思っています」

――これは寒天練の参加メンバーに聞いていることなのですが、もし一緒に練習している選手との対戦が決まったら、透暉鷹選手はどうしますか。パンクラスのバンタム級でいえば山口怜臣選手など、仲間でも互いに勝ち上がれば対戦する可能性も出て来ます。

「あぁ、それは『当たらないでほしいな』と思っているだけですよ(笑)。当たったらその時に考えるし、今それを考える必要ないかなって思います」

――なるほど。まずは前回の試合が流れた経緯からお聞きしたいと思います。透暉鷹選手の負傷が発覚したのは、いつ頃のことだったのですか。

「試合の1週間前ぐらいです。練習していた時、テイクダウンの攻防で踏ん張ったら嫌な音が聞こえて、『やっちゃったかな……』と感じました。ただ、その日は痛みが凄かったけど、翌日には『試合したい。ケージの中に入りたい』という気持ちでいっぱいになっていて。だけど病院で診察してもらったら、『靭帯を損傷している』と。まぁ、かなり腫れていましたしね(苦笑)。パンクラスさんに相談したら『万全の状態で試合をしてほしいから延期で』と言ってくれました」

――対して、ウルルの負傷はいつ聞いたのでしょうか。

「僕が聞いているのは――パンクラスさんが僕の負傷をウルル側に伝える前に、相手からも負傷の連絡が来たそうです。『そんなこともあるのか』って驚きましたね。こういう言い方は変かもしれないけど、『僕の要因だけで試合がなくなるわけじゃない』というのは、気持ちとして救いでもありました。ウルルも海外から来ることを決めているのに、僕のせいで試合がなくなったら申し訳なくて」

――ただ、ウルル戦の延期はRTU出場という目標にも影響を及ぼしました。透暉鷹選手も年内に試合ができず、そのまま今年のRTU出場者が発表されています。

「うん、まぁ……『12月に試合をして勝っていたらRTUに出られたのかなぁ』とは考えますよ。でも別に『なるようになる』というか。もちろんUFCを目指していることは変わらないけど、最近は『別にそこまでUFCやRTUのことを考えなくてもいいかな』と思っています。一戦一戦やっていくために、日常的な部分からしっかりやっていくほうが重要で。先を見すぎても仕方ないですしね」

――ではウルル戦が延期になった時点で2025年については、どのように考えていましたか。まず初戦がウルルとの防衛戦になることは絶対として。

「もちろん怪我を治すこと。それと試合が流れて気持ちも落ちていたので、しっかりリセットすること。まず気持ちを切り替えるために、また1カ月ほど海外に行ってきました」

――今回はどこへ?

「またアリゾナのファイトレディです。もう恒例の出稽古先になりつつありますけど(笑)。1月末から1カ月ほど行ってきました」

――いや、負傷は……(笑)。

「まだ完全に治ってはいない状態で、テーピングして練習していました(苦笑)。といっても最初からスパーリングをバチバチやるというよりも、UFCに出ているようなメンバーと関わる時間が欲しかった、というところですね。気持ちをリセットするためにも。お医者さんからも『負傷から1カ月経ったら動かしても良い』と言われていて。それほど長引かず良くなってきていたし、練習の強度は徐々に上げていきました。

海外に行こうと思ったキッカケは、スポンサーさんだったんです。株式会社永賢組の永草社長という、デビューした頃から応援してくださっている方で。その方が『気持ちを切り替えるためにも行ったほうが良い。練習できなくても、リハビリも向こうでできると思うし』と言ってくれて」

――それは、ありがたいお話ですね。米国では徐々に練習の強度を上げていったということですが、どのような内容だったのでしょうか。

「ウルル対策というか、やっぱり日本人選手とは違う感覚を得ておきたいと思っていました。ヘンリー・セフードと組ませてもらったり、他の選手も――ベラトールやPFLに出ているような選手は、フェザー級でも体がヤバかったですね(苦笑)」

――一方、ウルルの状態について何か情報は入ってきていましたか。

「いえ、何も聞いていないです。試合ができるということは、向こうも万全の状態なんでしょうけど。この4カ月で、何かは変わってきているとは思います。年齢も若いし、成長してきてはいるんじゃないですかね」

――透暉鷹選手は前回のインタビュー時から4カ月が経ち、どのような変化がありましたか。

「いろいろ変わってきましたけど、前から言っていたとおり普段の生活から変えてきました。どんどん戦うための状況を整えてきて、良い影響が出ていると実感しています。やっぱり練習以外の時間をどう過ごすかが一番大事だと思っているので。

練習を頑張ったり、練習のことを考えたりするのは、もともと格闘技が好きだから楽しいんですよ。同時に、練習以外の時間もしっかり過ごすことができれば練習の質も高くなる。『動きが良くなっている。強くなっている』という実感も得て、楽しくなるから続けられるし、質も上がっていくんです。もちろん普段から食事制限をしたりとか、周りから見れば厳しい生活をしているかもしれないけど」

――試合2週間前で当然かもしれませんが、だいぶ身体もスッキリしているように感じられます。

「アハハハ、良かったです。今はバンタム級の体になってきて、すごく調子も良いです。試合がなくなった直後とか、怪我で練習できなかった時期は少しだけ体重も増えましたけど、練習を再開したらすぐ今の状態に戻ります。やっぱり試合と近い体重で練習しないと、試合の時にギャップがあったら難しいと思いますね」

――では仕切り直しの一戦に向けて、読者の方へメッセージをお願いします。

「ウルル選手は強敵なので。12月の試合が流れて4カ月ほど期間が空きました。その中でも自分も成長する部分がたくさんありました。楽しみにしてくれていた方には申し訳なかったですけど、その分今回、良い試合を見せたいです」

■Pancrase353視聴方法(予定)
午後13時00分~ U-NEXT

■Pancrase353対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
内藤由良(日本)
ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)

<ライト級KOPC/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也(日本)
[挑戦者] 天弥(日本)

<バンタム級KOPC/5分5R>
[王者] 透暉鷹(日本)
[挑戦者] カリベク・アルジクル ウルル(キルギス)

<ウェルター級KOP決定戦/5分5R>
押忍マン(日本)
佐藤生虎(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
オタベク・トキロフ(ウズベキスタン)

<ウェルター級/5分3R>
ガブリエル・レーベン(フランス)
武者孝大郎(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
船田電池(日本)

<フライ級/5分3R>
大塚智貴(日本)
浜本キャット雄大(日本)

<フライ級/5分3R>
眞藤源太(日本)
ラファエル・リベイロ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
平岡将英(日本)

<バンタム級/5分3R>
荒田大輝(日本)
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
小原統哉(日本)
神部篤坊(日本)

<フライ級/5分3R>
赤﨑清志朗(日本)
中村大信(日本)

<フェザー級/5分3R>
松岡拓(日本)
関翔渚(日本)

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