【Gladiator031】初黒星からの再起戦。ルキヤ「今は楽しいです。『こんなことできんねや』って」
【写真】敗北がルキヤを成長させたのだろうか。そう考えたくなるほど、2カ月前とは違う精悍な若者の姿になっていた(C)SHOJIRO KAMEIKE
8日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator031で、ルキヤが宮川日向と戦う。
Text by Shojiro Kameike
弱冠16歳、MMA無敗という勢いで挑んだ4月の試合は、神田T800周一の肩固めに屈した。その2カ月後に迎える今回の復帰戦――短い期間の中で、ルキヤは敗戦を経験に何か変化することはできたのだろうか。いや、変化しなければいけないことは自分自身が一番よく分かっている。そんなルキヤに、神田戦後の2カ月について訊いた。
技術では勝たれへん。だからもうイチかバチかに賭けるような試合になっていた
――アマチュアも含めてMMA初黒星から2カ月が経ち、復帰戦を控えているルキヤ選手です。神田戦前のインタビューや試合当日と比べて、顔つきや喋りも精悍になった印象を受けますね。
「え、ホンマですか(笑)。自分としては特に……」
――MMA無敗のまま元チャンピオンと対戦する。そこには緊張や大きなプレッシャーもあったのではないですか。
「試合前はそうでもないけど、やっぱり当日は相手が元チャンピオンということもあったり、いつもより応援に来てくれている人の数も多くて。それで少しプレッシャーはありましたね」
――そんななかで、試合ではいつもどおりの動きを出すことができたとは思いますか。
「いつもどおり――ということやったら、僕は打撃で行っていたと思うんです。でも試合前のインタビューで言っていたとおり、相手の得意なところで勝ちたかった。それで相手に付き合いすぎました。周りの人が面白いと思ってくれることも、プロなら必要かなと思って」
――相手の得意なところで勝つために、試合前はどれだけ相手の対策や寝技の練習を積んでいたのでしょうか。
「……そんなに練習していなかったです。正直、それでもやれると思っていました。ちょっと天狗になっていて。試合で負けて『自分が弱かった。またイチからちゃんと頑張らなアカンな』って考えましたね」
――試合中に「これは組みでは勝てない」と感じる瞬間はありましたか。
「最初に組まれた段階で、これはヤバいって思いました。一つひとつの技術が巧い。でも僕も『もうやるしかない』と思って」
――そこで、いつもどおり打撃で行くと切り替えはしなかったのですね。
「それは思わなかったです。ただ単に盛り上げたい、って……。だけど1Rめには、もう『これは技術じゃ勝たれへん』と感じました。いつもならスッとバックに回れるところでも、なぜか絶対に落ちてしまう。試合中は、その理由は分からなくて」
――神田選手は試合中、得意の「神田返し」を見せていました。結果、自身にはバックマウントを奪えるような感覚があっても、結果としてボトムを強いられてしまう。最終的なケージに詰められ、パウンドの連打を浴びました。
「なぜ落とされるか分からないし、技術では勝たれへん。だからもうイチかバチかに賭けるような試合になっていて。最後はもう壁にも押し込まれていたし、返すことはできなかったです」
――最後は肩固めによるフィニッシュでも、その前にあれだけ殴られている。フィニッシュ直後、ルキヤ選手がしばらく立ち上がれなかったので、ダメージが心配にはなりました。
「なんか体に力が入らなくて。しばらく起き上がるのは、しんどかったですね。試合後の記憶もないし……。覚えているのは最後にケージの中で、MVPの名前とか呼ばれる時ぐらいでした」
――これまで周囲からの期待も大きかったと思います。神田戦について、反応はいかがですか。
「父からは『お前が弱かったから負けたんや。練習もちゃんとしてへんかったし。それで負けたんやで』と言われました。インスタはDMがよう来て『次の試合、また頑張ってください!』というメッセージが多かったですね」
――若く活躍している選手が負けると、誹謗中傷を浴びせることが多いインターネット社会ですが……。
「アハハハ、そういうのはなかったです」
――では試合後に長く落ち込むこともなく。
「はい。もう負けて悔しい想いはしたくないから。そのためには自分が強くなるしかない。だから練習せな、って思っていました」
組みの練習をしていると『普段は僕らが使わんような体の箇所を使ってんねんな』って、ビックリしました
――神田戦後、何か新しい練習を始めたのでしょうか。
「自分の中では正直、打撃は誰よりも強いと思っているんで。まず苦手な組みとかの攻防を練習しようと思いました。あと『体も強くせなアカンな』って」
――冒頭に「顔つきが精悍になった」と言いましたが、顔のラインがスッキリして、肩周りも大きくなっています。
「前回負けてから筋トレを始めました。毎日10キロのハンマーで300発、タイヤを叩いています」
――おぉっ! ナチュラルな鍛え方ですね。
「あと箱を重ねて、ジャンプして乗ったりとか。腹筋、背筋、スクワットもやって、この1カ月で体も強くなったんかなって思います。でも今は筋肉痛で……(苦笑)」
――筋肉痛もしっかりトレーニングが効いている証拠でしょう。まだ16歳、やればやるほど、どんどん吸収していくでしょうし。組み技、寝技については、いかがですか。
「この1カ月で組みの練習も増やしました。パラエストラ天満さんやパラエストラ森ノ宮さんに行って、ノーギの練習もしています。今朝はパラエストラ天満さんの選手練習にも参加させてもらって。
組みの練習をしていると『普段は僕らが使わんような体の箇所を使ってんねんな』って、ビックリしました。ヒジと骨盤をタイトに使って相手を逃げられなくするとか、『えぇっ!? そんなところも使うんや!』って(笑)」
――新しいことを知り、学んでいくと楽しくなりますよね。
「はい。今はとにかく楽しいです。練習に行くたび、見たことのないような技が出て来て――『こんなことできんねや』って毎回思っています」
――自身の成長を感じていると、早く試合をしたいという気持ちには駆られましたか。初黒星から2カ月後に復帰戦を行うこととなりました。
「そういう意識はなかったです。今回は大会の間隔が短いから、ちょっと次の試合が早いなぁとは感じますね。でも試合するのが好きやし……人を殴るのも好きやから」
――アハハハ。今大会はメインでバンタム級タイトルマッチが行われます。
「ベルトは意識しています。獲れるもんは全部獲りたいので」
――南選手の試合を視たことはありますか。
「伝統派空手出身の選手ですよね。モンゴル人選手に凄い勝ち方をした試合(2024年7月、テムーレンにKO負け)はYouTubeで視ました」
――その南選手の打撃については?
「いや、まぁ、打撃は僕のほうが上かなって思います。アハハハ」
――訊かれて照れるのではなく、堂々とアピールしておきましょう(笑)。それだけ自信があるなかで、組み技はどのレベルにあると思っていますか。
「今は真ん中の一番下ですね」
――真ん中の一番下……、1カ月前はどのようなレベルでしたか。
「1カ月前は、下の真ん中ぐらいですね。だから2段階ぐらいは上がっていると思います。
打撃は誰よりも上だと思っているので、今回は打撃からのテイクダウンとか、いつも見せへんような試合をしたいです。相手のタイプとか関係なく、自分が成長した姿を見せたいですね。次は、しっかりとMMAをやります」
■視聴方法(予定)
6月8日(日)
午後4時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■GLADIATOR031対戦カード
<Gladiatorバンタム級王座決定戦/5分3R>
南友之輔(日本)
パク・ソンジュン(韓国)
<Gladiatorフライ級挑戦者決定戦/5分3R>
久保健太(日本)
今井健斗(日本)
<バンタム級/5分3R>
宮川日向(日本)
ルキヤ(日本)
<ライト級/5分3R>
小森真誉(日本)
望月貴史(日本)
<ヘビー級/5分3R>
大番高明(日本)
アルブリー・ンジャイ(カメルーン)
<Progressウェルター級/5分2R>
田中有(日本)
徳野”一心”和馬(日本)
<Progressウェルター級/5分2R>
石田拓穂(日本)
岸田海輝(日本)
<キック70キロ契約/3分3R>
荒尾裕太(日本)
イ・スンウク(韓国)
<フェザー級/5分2R>
國頭武(日本)
ヤン・ジファン(韓国)
<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
小林佳純(日本)
<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
大道翔貴(日本)
<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
原田康平(日本)
<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
諸井裕祐(日本)
<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
千葉琉偉(日本)
<フライ級/5分2R>
藤原浩太(日本)
蒔田伸吾(日本)
<ライト級/5分2R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
友實達也(日本)
<フライ級/5分2R>
澤田政輝(日本)
福島祐貴(日本)
<フェザー級/5分2R>
コウ(日本)
山下魁(日本)
<ライト級/5分2R>
拳椰(日本)
フラビオ・ディオゴ(ブラジル)