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【UFC316】Bellator世界王者パッチー戦へ、マリオ・バウティスタ「本当の力は僕との試合で分かるだろう」

【写真】日本で知名度が高いわけではない。パッチー・ミックスの活躍の方が耳に届ていたのも事実。でも、UFCのこの位置に選手は本当に強い(C)MMAPLANET

7日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターでUFC316「Dvalishvili vs O’Malley 2」が行われる。
Text by Manabu Takashima

コメインがUFC世界女子バンタム級選手権試合=王者ジュリアナ・ペニャ✕挑戦者ケイラ・ハリソン。メインはUFC世界バンタム級選手権試合=王者マラブ・デヴァリシビリ✕ショーン・オマリーが組まれた同大会。メインカードに同じバンタム級の注目カードが組まれた。

UFC在籍6年、バンタム級10位の実力者マリオ・バウティスタが、Bellator世界バンタム級王者パッチー・ミックスと対戦する。UFCが独り勝ちの北米MMAにあって、他団体の世界王者をバウティスタはどのように評価しているのか。バウティスタに訊いた。


チートがケガをしたと聞いた時は、落ち込んだ

──マリオ、今週末にパッチー・ミックスと戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じだよ。ニュージャージーにやってきたのは今日だけど、もう試合がしたくてしょうない。ワクワクしている」

──輪郭もシャープになっていますね。

「そうだね、カットウェイトも最終段階だからね。本来なら、今頃は食事を摂っている時間だけどもう計量に向けて調整に入っているよ」

──ところで我々のような太平洋便で米国に行くと、半日以上の時差があります。その点アリゾナと東海岸は3時間なのですが、住んでいるところが朝の8時の時、試合場所は昼前の11時という時差は実は少し厄介なのではないかと。以前、太平洋岸から深夜便で東海岸に移動した時に思った以上にダメージが残った記憶があります。

「確かに3時間の時差はあるけど、僕にとってはそれほど気になることじゃないかな。アリゾナでは深夜の1時に寝て朝の9時か10時に起きているけど、こっちでも同じ時間帯に寝起きするスケジュールを組んでいる。

それに僕の試合は午後10時ぐらいに始まるはずで、それはホームだと午後7時で大きな違いはない。午前1時と午前4時ではないからね。まぁ、時差の影響はないよ」

──なるほどです。ところで昨年10月にレジェンドのジョゼ・アルドを下したマリオですが、そこからリムーブされたマルロン・ヴェラ戦が決まるまで7カ月もロングレイオフがありました。次の試合が決まるまで時間が掛ったのは、何か理由があったのでしょうか。

「アルドに勝った後にチートと3月に戦わないのかという話が来た。だから、それほど待っているという感覚はなかったんだ。それがなぜか試合は5月、そして6月に延期された。結果的にこれだけ長い間、試合がない状態となってしまったんだ。対戦相手が代わったり、試合が延期されるのはUFCにもダメージがあることだろうし、ファイターだけが影響を受けるわけではない。だから、僕としては試合が決まったら、すぐに戦えるという意思表示ができるようトレーニングを欠かすことはなかった。でも、ファイトウィークになって試合がなくなるのもMMAだ。今回の試合では、そんなことが起こらないよう願っているよ」

──そもそもチート・ヴェラと戦う予定が、彼の負傷で対戦相手がパッチー・ミックスに変更されました。マリオよりランク上位、バンタム級7位のヴェラ戦からUFC初参戦のBellator世界バンタム級王者と戦います。この変更をどのように思っていますか。

「チートがケガをしたと聞いた時は、落ち込んだよ。そして、とにかくトップ15位以内の選手が代役になってほしいと思っていた。そうしたら、Bellatorチャンピオンのパッチー・ミックスと戦う話がになった。7連勝中で、通算20勝1敗のファイターだよ。そんな相手と戦うことができて、物凄くハッピーだ。

パッチーが優れたファイターなのは、レコードを見ても分かる。ただし、本当のところはどうなのか。彼の本当の力は、僕との試合で分かるだろう。ただジムでもパッチーがどれだけ強いのかっていう話は伝わってきていた。彼が評判通りの強さを持つファイターなら、ここで勝つ意味は大きい。きっとチートに勝つよりも価値があるだろう」

──そこまでパッチー・ミックスを評価しているのですね。

「この試合に勝ってタイトル挑戦が可能になるとは思っていない。でも、トップ5にはなれるだろう。そうすれば、あと1試合を挟めばタイトル挑戦も現実的になる。そういう試合だと思っているよ。

ただ僕がUFCで戦い続けてきたとか、彼がBellatorで戦ったきたとかは気にしていない。気にしないといけないのは、パッチーがどれだけ強いのかということで。パッチーだって、本気でUFCタイトルと狙ってやってきたのだろうし。そういうファイターと戦えることが、楽しみでならないんだ」

──ではMMAファイターとしてパッチー・ミックスの印象は?

「素晴らしいサブミッション・アーチストだ。バックを取ること、そこからのチョークは一級品だろう。凄く危険だよ。鉄板の強さがあるだけに、本当に気が抜けない。しっかりと集中して戦う必要がある」

──バンタム級としては身長でリーチも長い。そしてフレームが大きいように感じます。その辺りはどのように考えていますか。

「もともとチートと戦う予定でキャンプを続けてきた。チートとパッチー・ミックスはスタイルが違うけど、サイズでいえばチートはパッチー・ミックスよりも少し大きい。チートと戦うために、ずっと大きな相手とトレーニングをしてきたから、パッチーのサイズは大きな問題にはならない。

逆にあのサイズがあるから、動きが少しスローだ。何よりグラップリングと比較すると、打撃はそこまでではない。だから組んでテイクダウン、グラップリングの展開に持ち込もうとしてくるのは絶対だ。でもスピードは僕の方があるし、もともと僕のベースはレスリングと柔術だ。レスリングとグラップリング力で、彼の臨む展開に持ち込ませない。彼のやりたいようにさせないために、僕は自分の持ちうるモノを全てぶつける。さっきもいったけど、打撃では僕の方が上だ。動き続け、スタンドで戦い続ける。それができれば、僕の勝利は動かないだろう。前回のジョゼ・アルドとの戦いとは違うMMAを見せたい。結果、僕はコンプリートMMAファイターだと分かってもらえるだろう」

誰だっけ、真っ赤なショーツを履いていた日本人は……。そう、ミノワだ。彼は最高だったよ

──ところで今大会のメインはバンタム級の世界戦です。マリオの勝利予想はどちらになりますか。

「ショーン・オマリーの勝利に一票を入れる。ずっと前に出て組もうとするマラブに対し、それを切り続けるスタミナをショーン・オマリーは持っている。最後はKOするだろう」

──押忍。では最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「実は僕はUFCを見ても、それほどMMAに夢中になったわけじゃないんだ。PRIDEを見て、MMAが好きになった。ヴァンダレイ・シウバ、ランペイジ・ジャクソン、マウリシオ・ショーグンの試合を見るのが大好きだった。

あと、あの……誰だっけ、真っ赤なショーツを履いていた日本人は……。そう、ミノワだ。彼は最高だったよ。ミノワほどファンを楽しませているファイターはいない。僕も彼の試合に夢中になった。他にも好きな選手はいたけど、絶対的にミノワが最高だったんだ。それと日本のファンのMMAへの理解度の高さが素晴らしかった。あのPRIDEの会場の雰囲気を見て、MMAを始めたといっても過言じゃない。日本のファンの存在に今も感謝しているよ。その皆に喜んでもらえる試合をしたいと思っている」


■視聴方法(予定)
6月8日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■ UFC315対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
[挑戦者] ショーン・オマリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ジュリアナ・ペニャ(米国)
[挑戦者] ケイラ・ハリソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ケルヴィン・ガステラム(米国)
ジョー・パイファー(米国)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ(米国)
パッチー・ミックス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
ケヴィン・ホランド(米国)

<フライ級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<ライトヘビー級/5分3R>
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)
ブレンジソン・ヒベイロ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
セルゲイ・スピヴァク(モルドバ)
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)

<ウェルター級/5分3R>
ケイオス・ウィリアムス(米国)
アンドレアス・グスタフソン(スウェーデン)

<女子フライ級/5分3R>
アリアニ・リプスキ・ダ・シウバ(ブラジル)
ワン・ソン(中国)

<フェザー級/5分3R>
ユ・ジュサン(韓国)
ジャカ・サラギ(インドネシア)

<ライト級/5分3R>
クイラン・サルキルド(豪州)
ヤナル・エシュモズ(イスラエル)

<ライト級/5分3R>
マルケル・メデロス(米国)
マーク・チョインスキー(米国)

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