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【ONE→???】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(11)上久保周哉─後編─「練習を台無しにしたくない」

【写真】国内でグラップリングで実戦を経験するのは?という問い対して、上久保は「MMAが戦いたい」と言い切った (C)ONE

半年以上、音無しの構えの上久保周哉インタビュー後編。

ONEとの契約更新をせず、マッチング期間を終えて次のステージで戦うために動き出す。そんな上久保にUFCで戦うために、彼がこれまで築き上げてきたファイティング・スタイルについて尋ねた。

2022年、春(※既に梅雨明けだが)~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第11弾─後編─、引き続き上久保周哉の話に耳を傾けたい。

<上久保周哉インタビューPart.01はコチラから>


──キム・ミンウ……UFCとの契約を勝ち取るには、一番リスキーな相手です。

「僕が出ていたらという仮定の話ですけど、うまくすり抜けて優勝してUFCと契約するよりも、キム・ミンウと試合をする価値のほうが自分には魅力的に映ります」

──その辺りの自負というか、矜持というのか。とても上久保選手っぽいですね。

「本当ですか(笑)」

──とにかくUFCに行ければ良い。そして最初の3試合がぐらいはあまり強くない相手と戦いたい。自分ならそう思ってしまいます(笑)。

「その過程を踏んで強くなれるなら、それでも良いと思います。ただ、UFCに行きたい理由がメチャクチャ強いヤツと戦いたいということだから、それまででも強い選手とは戦いたいです。正直、自分が限界を感じて弾き飛ばされるような選手がいるのがUFCだと思っています。

本当のトップどころとやっていないのもありますが、ONEで戦った相手とはそういう風にはならなかった。少なくともノーギワールズのチャンピオン、レスリングのオールアメリカンと戦っても弾き返される感じはしなかったです。『同じ人間』と思いました」

──自分とは違う生物と思ってしまうような相手と戦いたい?

「そういうことをUFCに求めています」

──ではマッチング期間が終え、UFCとサインする行程をどのように考えていますか。

「タイミングと運も関係してきますが、アジア・トーナメントで欠場が出て代役という機会が巡って来るかもしれない。ワンマッチ出場かもしれないし、コンテンダーシリーズもあり得ます。本戦のスクランブルもあるかもしれない。全ては巡り合わせかと」

──今はビザの発行に時間がかかるようですが、とにかくUFCの周囲で考えているということですね。

「そうですね。目標として、年内に1試合でも滑り込みたいという気持ちはあります。でも『この戦績じゃダメだ』と言われるなら、どこかで試合をすることを考えています」

──UFCが『欠場が出たら声を掛ける』というのは、どれだけの数のファイターに言っているのか……。

「それこそ、ビザがないから自分の身でそれが起こるならシンガポール大会で。だから普通のオファーを待つためにどうしていくかですね」

──正直、UFC首脳というか……MMAプロモーター好みのファイトスタイルではないではないですか、上久保選手の場合は。

「今、持っているモノだと物足りないと言われたら……その言い分は分かります。フィニッシュはしていても、決して皆に好かれる戦い方ではないです。その自覚はあります」

──とはいえ入ってしまえば結果は重視してくれます。その一方で、UFCファイターと戦った時に同じ生物とは思えない相手に、永久寝技地獄ならぬ永久組技地獄が通じるのか。

「練習では打撃も変わらずやってきました。試合では使わなくても勝てるから、使っていないですけど。プランをいくつか用意しているなかで、1つ目、2つ目で試合が成立してしまっているのが現状です。そのなかでもスタンドで相手のキツイ一発を被弾することもなくやってきましたし」

──コンテンダーシリーズ、LFAと見ていてもストライカーの方がアピールできています。UFCのスカウトも試合で、上久保選手のその部分を見ることができていないですし。

「う~ん、乱打戦に持ち込むとかって、どう転ぶか分からない。見ている人は盛り上がってくれるけど、負けるかもしれない。そういう風に戦って、練習を台無しにするようなことは試合ではしたくないです。それでUFCに行けないという風に天秤に掛けられると、難しくなってしまいますけど……」

──Bellatorのバンタム級ワールドGPでワイルドカードから準決勝進出を決めたダニー・サバテーロはコンテンダーシリーズで勝利し、Titan FCではバンタム級王座を奪取&防衛を果たしました。完全ドミネイトしても、UFCから声は掛からなかったです。UFCに行くには、状況によりますが練習が台無しになることをする必要があるかもしれない。

「そうですね……。多少はやるのかな。でも、今の自分は積み上げてきたことを否定するようなことはしたくないです」

──アッパレです。あとサバテーロは極めていないという事実もあります。そこが上久保周哉との違いかと。

「まぁ極める自信もついてきました。フィニッシュする力と言う部分は、ONEに行く前から課題だと指摘されてきたことで、そこが求められているのは分かっていました。抑え込むだけでなく、削ってフィニッシュに近づけていくことはずっと磨いてきました」

──そうやって考えると、Road to UFCはトーナメントなので結果が全てというのは良いですね。その戦いに年内に合流する巡り合わせがなかった場合のケースとして、他プロモーションのオプションは考えていますか。

「LFAですかね。BRAVE CFも興味を持ってくれていたので、具体的にはこの2つです」

──契約的な縛りがないのがLFAで。条件ではBRAVE CF。いえば条件が良くないのと縛りがあるという側面もあります。

「でもLFAにはムイン・ガフロフがいますよ。まぁ、コンテンダーシリーズで変な負け方して意外でしたけど」

──ジョズエ・フォルミーガもバンタム級で戦っています。2月の試合は体重オーバーでしたが……。そういう選手と戦っていけるのか、とにかくはマッチング期間空けからの行動開始に期待です。

「試合はないという絶対の状況と、頭の片隅に試合があるかもと思うのでは、やはり練習への身の入り方が違うなと実感する部分はあります。それで大きく変わるわけでもなく、やるべきことはやっているのですが……絶対に試合がないという感覚でいるより、薄々でも『試合があるかも』と思って練習している方が自分は好きです(笑)。とにかくケガをしないように、行動開始するまで練習し続けます」

──そんななか、すっかりと尋ね忘れていたのですが、UFCとの契約を探る期間に日本で戦うという選択肢は?

「余り考えていないというか……自分に日本で試合ができる場所があるんですかね(苦笑)。特にホームの団体がない状態で、ONEで戦うようになったので戻る場所がないんですよ」

──ONEで6戦無敗のバンタム級ファイター……RIZINから声が掛かることは?

「ないです。興味を持たれていない(笑)」

──アハハハハハ。

「バンタム級は人がいっぱいいますし、もう良いんじゃないですか」

──首を縦に振らない一派だと思われているはずです。でもケージで倉本一真✖上久保周哉とか実現すれば凄く見たいです。

「なるほど。ただ、僕は外国人と試合がしたくてMMAを続けているので。そっちの方向で進んでいく方が良いと思います」

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