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【DEEP97】牛久絢太郎とフェザー級王座防衛戦、弥益聡志─01─「試合はパーキングエリアのようなモノ」

【写真】自分がある。彼自身がやりたいようにすべきだ (C)MMAPLANET

20日(日)、東京都文京区の後楽園ホールでDEEP97 IMPACTが開催され、メインで弥益ドミネーター聡志が自らの持つDEEPフェザー級王座防衛戦を、牛久絢太郎を相手に行う。

もともと両者のタイトル戦は5月の後楽園ホール大会で組まれていたが、緊急事態宣言で会場は閉鎖、イベントも中止されていた。この決定以前に一社会人、サラリーマンで生計を立て家族を持つ弥益は、大会が決行されても欠場を申し入れるつもりだった。

あれから5カ月、緊急事態宣言はなくとも感染者数は、言ってみれば宣言下と比較すると高止まりだ。ワクチンや特効薬があるわけでなく、いつどこで感染が起こるかは分からない。

それでも──弥益は自らの格闘技への想い、決して試合を戦うことではなく、練習をするという生き方に回帰した。牛久戦を前に、彼の格闘技への想いを話してもらった。


──もともと弥益選手は5月大会が中止になった時には、実施されるなら欠場を申し入れるつもりだったと公言していました。あれから約5カ月、いつ頃から試合に出るという気持ちになっていったのでしょうか。

「緊急事態宣言が明けて、練習は徐々に再開していました。色々なことを考えて再び練習をするようになったのですが、とにかく緊急事態宣言中に練習ができなかったことが辛かったです。

だから……そこはもう完全に我がままで、練習を再開させてもらったという形です。結果、練習頻度も上がりましたが、一方では感染者の数は減らない。ただし、国も都も再び緊急事態宣言を出すことはなく……これはコロナと共存ということで、経済活動をしていくのだと自分は解釈しました。

正直、それぐらいの感覚だと練習をしたいという気持ちを抑えることができなかったです。まぁ緊急事態宣言という期間を置くことで、もう少しコロナの状態が理解でき、正しく恐れることができる。正しい対策ができるようになっていましたけど……」

──何も変わっていないですよね。抑えている時にPCR検査を手広くして無症状感染者を見つけ出すこともなく、再び動き始めたので。もうこうなると練習をしたい人に対し、Go TOトラベルがあるのにするなとは言えないですし、野球やサッカーをしているのにMMA大会は開くなという指摘はできないかと思います。感染予防を皆がしている限り。

「そういう意味では、自分の場合は緊急事態宣言という明確な言葉があったら、我慢できていたという部分はありましたね」

──法とは言わずとも、皆が一斉に経済活動を我慢する時期が続くわけでもなく、道場も再開し、大会も始まった。ならば、練習をしたいと。

「試合というのは自分のなかで、それほど重要なファクターではないんです。とにかく練習をしたいという気持ちを抑えることができなかったんです。

自分のなかで強くなりたいとか、○○に勝ちたいとか、試合で強さを証明したいというのは凄く希薄なんです。練習で……それこそ茨城の先輩方と練習をして、昔はやられているだけだったのが、良い練習ができるようになった。自分の成長が感じられるということがただただ嬉しくて。

練習ができないと、これまでやってきたことから離れてしまうという怖さがありました。ただし、家族の理解を得ているとは思っていないです。諦めに近いのかもしれないですし……。子供も1歳になったことで、自分がやってしまっていて……後ろめたさは常にあります(苦笑)。

コロナに関係なく、家にいる時間が少なくなると奥さんに負担をかけることになりますし」

──MMAの練習は濃厚接触の極みですしね。

「ハイ。なので個人として、信用できる人、信用できる場所で練習するようには心掛けています。もともと出稽古しかやっていないので、プロ練習が全てですし。それと都内でなく、メインの練習も少人数で回せて、不特定多数というなかにいることは避けてきました。出稽古なのに僕の受け入れてくださる人達、ジムには感謝の限りです」

──今回の防衛戦の話が来たのは、いつ頃ですか。

「7月の頭ぐらいだったと思います。試合前の70~80パーセントぐらいの練習をしていたので、試合に対してはやらないといけないと思っていました。

自分のなかで試合って、丁度良い休憩ポイントなんです。自動車を運転し続けている途中のパーキングエリアのようなモノで。そこで一区切りして、少しだけ休んでまた走り出す。そういう感覚でいます」

──ただし、趣味で体を動かすということではなく、プロで試合ができるコンディション、スキル、精神力があってこその格闘技の練習なのですね。

「僕のなかでフィットネスの格闘技は、格闘技じゃないと思っています。フィットネス格闘技をどうこういうわけでなく、そこで楽しまれる方がいるのは素晴らしいです。

ただし、自分にとっての格闘技とは試合に向けて──という質のモノなんです。常にスパーリングで自分を出し切って、通用するのかしないのかを確認し、ダメだったら修正していく。そういう切磋琢磨していくのことが、僕にとって格闘技なんです。それがたまたま試合向けの練習になっているような形で」

──試合という試す場がなくても、大丈夫なのですか。

「自分は試合がなくても、これぐらいの強度で練習できます。だから楽しいんです。強い人にボコボコにされても、そんな経験ができることが楽しい。ただし試合という休憩がないと、どこかで体がぶっ壊れてしまうと思います」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
9月20日(日・日本時間)
午後6時00分~PPV SPWN

■ DEEP97対戦カード

<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] 弥益ドミネーター聡志(日本)
[挑戦者] 牛久絢太郎(日本)

<DEEP女子ミクロ級王座決定戦/5分3R>
にっせー(日本)
大島沙緒里(日本)

<ライト級/5分3R>
中村大介(日本)
長倉立尚(日本)

<キック63キロ契約/3分3R>
KINGレイナ(日本)
熊谷麻理奈(日本)

<フライ級/5分2R>
ランボー宏輔(日本)
藤田大和(日本)

<ウェルター級/5分2R>
米田奈央(日本)
泰斗(日本)

<バンタム級/5分2R>
原虎徹(米国)
西谷大成(日本)

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