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【DEEP128】今夜――牛久絢太郎でDEEP初陣、椿飛鳥「今回は挑むという風には思っていないです」

【写真】好き嫌いはあるかと思いますが、椿は本当に考えているファイターです(C)MMAPLANET

本日2日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP128で、DEEP初出場となる椿飛鳥牛久絢太郎と戦う。
Text by Manabu Takashima

トラッシュトークが、本気の憎悪を生んだSASUKE戦。PROGRESSの大脇征吾戦を終えた椿は、次の舞台にDEEPを選んだ――その理由とは。

チャラいイメージはイメージだけでなく、骨の髄までチャラい。そんな椿だが絶対の価値感を持ち、そこに従って戦ってきた。そんな椿がDEEP参戦、牛久戦を前に心境を語った(※取材は10月28日に行われた。


心の底からチャンピオンですといえる日本のチャンピオンは、この3つの団体のチャンピオン

――2月にSASUKE選手の持つ修斗世界フェザー級王座に挑戦。5月にBreakthrough CombatでProgressマッチ出場(大脇征吾にP6-4で勝利)からのDEEP出場となりました。修斗に関しては一区切りがついた風の発言もありましが、ここでDEEP出場となった背景を説明していただけますか。

「SASUKE戦を終えて、Progressで一戦挟んだ。本当にここで自分の中でも一区切りがつき、僕のなかで国内だと修斗、DEEP、パンクラスのいずれという想いはありました。

そのなかで気持ちとタイミングが合ったのがDEEPでした。本当にありがたいことに3つの団体ともオファーをくれて、修斗が一番早かったです。それも環太平洋王座戦という破格のオファーで」

――おお、世界挑戦に敗れて次が環太平洋と。

「ただ、僕のなかで……それはタイトルマッチとして胸を張れるモノではなかったです。世界戦に負けたばかりの人間が、ベルトを争うなんて……。

こんなキャラの人間ですけど、やっぱり守るべきモノというのがあって。僕にとってチャンピオンっていうのは修斗、DEEP、パンクラスの正規王者。RIZINは別にして、心の底からチャンピオンですといえる日本のチャンピオンは、この3つの団体のチャンピオンだと思っています。それと9月にMMAの試合は、物理的に創れないというのがありました」

森戸選手とのProgressは絶対に経験したいです

――5月のProgressから9月、良い感じのインターバルかと思うのですが。

「実は8月に長谷川(賢)さんから、Progressのオファーがあって。最初はMMAの選手が相手だったのですが、自分の方から森戸(新士)選手と対戦できないかとお願いしました。結果、Progress暫定王座に挑戦することが決まっていたんです」

――続々と聞かれるようになった幻の8月ハセケン興行ですね(笑)。

「ハイ。僕にとってProgress……グラップリングは練習試合です。でも、真剣勝負。ストーリー的にも森戸選手の同門の城戸(泰介)選手に勝って、極めで有名な大脇選手にも勝てたので。あれだけの強い人に触れてみたかったです。練習では絶対に味わえない経験ができます。僕、森戸選手とスパーをすれば5分で10回はタップする自信があります」

――おかしな自信ですね(笑)。

「でも実戦は違います。負けたくないから、練習のように仕掛けることはできない。でも、勝つためにはトップを取って、森戸選手のサブミッションを凌がないといけない。そんな状況判断に迫られる瞬間とか、絶対に練習では経験できないです。練習は勝ち負けとは関係ないから、練習なので。

それが真剣勝負の練習試合で……森戸選手と戦って、15分間極められなかった。あるいは2分で極められても、MMAファイターとして成長できると思います。その考えは今も変わっていません。もし、ハセケンさんがまた組んでくれるなら、森戸選手とのProgressは絶対に経験したいです」

――その声が、長谷川選手に届けは良いですね。

「ホントに……。その森戸選手とのProgressが8月の後半の予定されていました。減量もない、打撃もないグラップリングだったからタイミング的にもバッチリだったんです」

――9月のMMAが難しくて、8月のグラップリングは大丈夫というのは?

「僕、会社にも上司の方にも凄く恩義を感じています。仕事の面でも恩返しをしたくて、この間はかなり真剣に仕事と向き合ってきました。自分でいうのもアレですけど、成績も良くなっていたんです。それが9月にMMAとなると、7月からギアを上げないといけない。そうなると仕事で会社に迷惑をかけることになります。

実は修斗だけでなく、パンクラスもDEEPも9月でオファーをくれていたんです。森戸選手の試合がなくなった……大会が中止になった時に『試合がなくなっちゃった』とX で書いたら、すぐにパンクラスも連絡をくれました」

――7勝6敗の売れっ子ファイターですね(笑)。

「アハハハハ。7勝6敗、フィニッシュ率14パーセントですよ(笑)」

――絶対にLFAはないですね(笑)。

「アハハハハ。でも本当に有難いです。それもフリーになったことで、声が掛かりやすくなったのかと思います」

――最初の質問に戻ってしまいますが、9月はないとしても11月2日にDEEPになったのは?

「僕はDEEPから声を掛かかることはないと思っていました。正直、一番勢いがあって注目度も高いのがDEEPです。ただフェザー級はトーナメントもやっていますし、自分に商品価値はない。あれだけメンツが揃っているので、僕なんて必要ないと思っていました。

それが7月に練習仲間の山本有人が中国で試合をすることになって、そのこと関連で佐伯(繁)代表とやり取りをする機会があったときに、『9月、どうですか?』と言ってもらえて凄く驚きました。でも、やっぱり9月にMMAはできない。

初っ端のオファーで断ると、もうないかもしれないという想いではいたのですが、そこはやはり仕事があるので首を縦に振ることはできなかったです。そうしたら、すぐに『なら、11月はどうですか』という話を頂いて。Progressのあと、次にMMAを戦う時はDEEPで……という気持ちになっていました」

クローズドガードかハーフガードで延々と殴られる展開が15分続く。それが想定する最悪のパターン

――そして牛久選手が相手に。

「実は、コレ書いてもらっても良いのですが、9月は五明(宏人)だったんです。めっちゃ、丁度良い相手だと思いました」

――それ、このインタビューを使おうとしていますね(笑)。ここで五明選手をこき下ろしておけば、牛久戦を落としても五明選手と戦えるという空気が凄くしてきます。

「バレちゃいましたか(笑)」

――なので五明選手のことは言及しないです(笑)。とはいえ、牛久選手というのは本当に初戦から厳しい相手です。

「僕は日程があえば誰とでも戦うのですが、牛久選手の名前をきいた時はさすがに驚きました。逆に牛久選手が受けないんじゃないかと思ったぐらいです」

――実際に対戦相手になった。その牛久選手の印象というのは?

「とにかくタイトルマッチの経験が凄いです。パンクラス、DEEP、RIZINで8試合。多くのファイターが、人生で1度あるかというタイトル戦を8つも戦っている。タイトル戦は勝ち負け以外の付加価値が色々つきます。それがプレッシャーになる。僕もたった1試合経験して、分かったことです。その経験値は凄まじいと思いますし、運も含め実力がどれほどあるのか。そういうことになると思っています」

――いわば椿選手が、どうなろうが知ったこっちゃないカードかと思います。

「う~ん、僕とすればどっちに転んで良い。そういうカードではないかと。牛久選手はバンタム級で3連敗、フェザー級に戻って急にトップ相手というわけではなく、椿ぐらいがちょうど良いと思われたかもしれないです。

ただ僕が一発目で牛久選手に勝てば、DEEPフェザー級上位の対戦カードの幅が広がります。だから、どっちに転んで良いカードを組んでくれたと理解しています」

――その考えがあるということは、しっかりと勝算があるということですね。

「今回は挑むという風には思っていないです。僕が不利だという風に見られていても、その意見が気にならない。それがSASUKE戦との違いです。自信がありますし、圧倒的な差はないはずです」

――椿先選手の強さは、極めさせない。粘って逆転という構図かと思います。ただし、牛久選手は極めよりも、削ってくるファイター。危機を脱して、一発逆転という持ち味は発揮しづらいという考え方はできます。

「牛久選手のスタイルは、僕にとって相性が良いような悪いような……。試合のイメージは良いイメージもできるし、凄く悪いイメージもできる。こればかりは試合が始まらないと分からないかと思います」

――悪いイメージというのは?

「3R終始、組まれて倒される。クローズドガードかハーフガードで延々と殴られる。その展開が15分続くというものです。打撃を当てても、フィジカルで押し切られる。それが想定する最悪のパターンですね」

――椿選手にも、ファンにも最悪の展開ですね(苦笑)。

「ただし、パーセンテージとしては高いです」

――RIZINで戦うことを視野に入れている選手が、そういうファイトをするでしょうか。

「3連敗中ですからね。どんな形でも勝ちたいと思っているはずです。そういうことも踏まえて、試合になってみないと分からないです。と同時に、その可能性が高いので対策を練ってきました」

――では、DEEPで戦っていく今後に関しての青写真というのは?

「牛久選手にまず勝ち、もう一つ勝ってタイトルに挑戦したいです。正直、RIZINに一番近い団体はDEEPです。でも、この先を考えてDEEPで戦うことにしたということはなくて。DEEPで戦うから、どんな風な先が見えるようになるのかなと……。

RIZINに出るためにDEEPに来ました――とは、俺はおこがましくて言えないです。年齢的に夢を見ていられる歳でもない。そうなると僕の目標は今も修斗、DEEP、パンクラスという3団体のベルトです。だからDEEPのチャンピオンが、今の目標です。いずれにしても、牛久選手に勝たないと先も何もないですから。今はここに集中しています。転職一発目でこけたらどうすんねんという試合なので、変な試合は見せられないです。

ただ、ここで負けたら五明が残っていますけど。アハハハハ」

――本当に過去の経験が生きていないですね……(苦笑)。そのようななか、改めて牛久戦への意気込みをお願いします。

「僕も先のこととか、色々と考えます。試合に出ると2カ月間は仕事に影響が出る。でも金銭的なことも踏まえて、それで得られるモノはどれだけあるのか……とか。でも、今回の試合はそういうことも一切考えない。純粋に牛久選手だけを見ています。プロ格闘技として、良いモノをお見せすることができれば――そう思っています」

■視聴方法(予定)
11月2日(日)
午後5時35分~U-NEXT、サムライTV、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP128対戦カード

<DEEPライト級暫定王座決定戦/5分3R>
大原樹理(日本)
神田コウヤ(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
椿飛鳥(日本)

<ライト級/5分3R>
大木良太(日本)
倉本大悟(日本)

<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
山田聖真(日本)

<フェザー級/5分2R>
直樹(日本)
三井俊希(日本)

<バンタム級/5分2R>
高野優樹(日本)
山本有人(日本)

<59キロ契約/5分2R>
木村琉音(日本)
火の鳥(日本)

<メガトン級/5分2R>
誠悟(日本)
バッファロー(日本)

<バンタム級/5分2R>
寺崎昇龍((日本)
唐沢タツヤ(日本)

<アマチュア フェザー級/3分2R>
大越充悟(日本)
マイティ・saw(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
大将(日本)
金子蒼空(日本)

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