【Special】福岡に移住し2年半、田村ヒビキの道場での拘り─03─「清潔で安全、力を入れるべきポイント」
【写真】Be More Human──カルペディエム福岡に掲げられていた一文(C)MMAPLANET
MARTIAL WORLD Presents 日本の道場のマット事情を尋ねて巡る──旅、福岡:田村ヒビキ編・最終回。
現在発売中のFight &Life Vol.74の『福岡市&北九州市のMMA & ブラジリアン柔術』レポートに登場している田村が拘る道場の在り方=安全性、清潔感についてさらに話を訊いた。
<田村ヒビキ・インタビューPart.01はコチラから>
<田村ヒビキ・インタビューPart.02はコチラから>
──道場の臭い消しに最適だと。
「一応はロールマット専用でなく、推奨というモノで。ただ、それほど容量はないので減りは早いです」
──しっかりと、その辺りも触れてもらえて助かります。やはり我々のような古い世代にとっては、臭いとなると慧舟會東京本部という忘れられない存在がありますので。
「やっぱりロールマットや道具もそうですが、掃除やメンテナンスは大切です。会員さんが毎日来てくれて練習する、そういう自分の職場は清潔で安全でないとダメだと思います。
常に清潔にすることは福岡も久留米も考えています。道場経営に関していえばメンバーさんありきです。もちろん強くなりたい人、プロになりたい人、柔術で世界大会を目指して滅茶苦茶頑張りたいっていう人もいます。でも、やはりそういう人達はマイノリティ。きっと、高島さんが言われた慧舟會の東京本部というのは……僕らも話が伝わってきていましたが、プロで強くなりたい人ばかりが集まっている環境だったからだと思います。
ただし、この道場に来る人は格闘技を楽しみたい人たちが殆どです。楽しんでもらうには、道場は清潔じゃないと。フィットネスジムとかも、そうだと思います」
──サービス業ですからね。
「美味しい料理でも、不衛生な店は嫌ですよね。汚いホテルよりも、部屋が綺麗なホテルに泊まりたい。それって当たり前のことですから。そこと同じですよ。ロールマットを使用すると、値段が他より張る部分はあります。でも清潔で安全ということを考えると、力を入れるべきポイントだと考えています。そうすることでメンバーさんも楽しく、柔術やキックで汗を流すことができるわけですから」
──カルペディエムは福岡に限らず、お洒落なイメージがあります。
「そういうイメ―ジは持たれているでしょうね。でも、各々の感性でやっているはずです」
──ここの黒のイメージはカルペディエムの広尾を彷彿させます。
「そうなりますよね。ただ僕は青山の道場が好きなんですよ」
──緑と白とはまるで違いますが……。
「もともと、ここの建物は天井が低かったので、外して剥きだしにしているんです。このグレーに緑は合わないですよね(笑)。グレーには黒を合わせたら、しっくりくると思ったんです」
──なるほど。ところで道場オープンから2年半たつとロールマット一つとっても消耗してくるかと思います。
「そうですね。柔術だけでなくキック、そしてMMAでレスリングもやるので踏み込み具合が柔術だけの道場とは違ってきます。そうなるとマットとマットをつなぎ合わせているテープは傷んできます。なのでマーシャルさんに同じ素材のテープを頂いて、補修している形です。
シートをつなぎ合わせることは無理なので、傷んでくるとテープで補強する。どうしてもメイン・マットは傷んできますよね。サブ・マットとか使う頻度が少ない方は、そうはならないです。
経年劣化は絶対にあります。それはなんでも。前に鉄アレーかベンチのプレートか、何か重いモノを落として修理が必要になったことあったんです。その時は損傷した部分だけ剥がして張り替えることができました。ジョイントマットとシートだと、全部剥がさないといけないのが、そういう利便性の高さもあります。やり方を教われば、自分でできますしね」
──実はコストパフォーマンスに優れていると。
「僕は張り替えも全部、自分らでやっています。ロールマットを上に運ぶときも、1つずつでなく2ロール、いや3ロールを纏めて運びましたからね。ウチは階段なのでちょっと運ぶのは厳しかったですけど(笑)。まぁ、2人いれば運べるし、今となっては良い思い出です」
──これからもっと思い出を創るためにも(笑)、カルペディエム福岡をどのような道場として成長させていきたいと考えていますか。
「やはり道場としては柔術をメインに考えています。福岡は人口が多い割には、柔術、格闘技人口がまだ少ない。東京と比較するまでもなく。東京はやっぱり特別ですよね。でも、やっている選手のなかでは盛り上がってきています。僕自身ができることには限りがありますが、柔術と格闘技を福岡にもっと根付かせたいです。
それはカルペディエムでなくても構わないです。近くにある道場にもっと多くの人が足を運ぶようになってほしい。通う人が増えれば、格闘技も盛り上がる。そのために役に立てるよう、福岡の中心になれる道場にしていきたいです」
──では現役生活の方は?
「ケガをしているわけでもなく、体も元気です。でも自分のなかで感じたズレを確認する必要はあります。その上で、まだ全てを出し切ったわけでもないですし、できる限り現役も続けようと思います。これからも、もっと挑戦していくつもりです」