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【TORAO27】初の福岡市のケージ修斗公式戦でソーキに挑戦、田村ヒビキ─01─「自分はMMAファイター」

【写真】2年11カ月振り、ダイレクトリマッチに対する田村ヒビキの想いとは (C)MMAPLANET

15日(日)、福岡市中央区のよしもと福岡大和証券 / CONNECT劇場で行われるTORAO27のメインイベントで修斗環太平洋ウェルター級王者ソーキに、田村ヒビキが挑戦する。

両者は2019年6月、空位の同王座を賭けて対戦し、ソーキが勝利してベルトを巻いた。その2年後――昨年6月にダイレクトリマッチが決定していたものの、コロナ禍の影響で興行が中止に。そんな両者の再戦が、改めて今大会で組まれている。博多の地でカルペディエム福岡を主宰する田村にとって、この3年間とは――MMAファイターとしての想いを訊いた。


――ソーキ選手とのダイレクトリマッチは当初、昨年6月13日に予定されていました。しかしコロナ禍の影響で興行自体が中止となり、改めて今大会で組まれた形となります。まず昨年のお話となりますが、2019年9月に敗れているソーキ選手とのリマッチのオファーが来た時の気持ちを教えてください。

「前回の試合については、僕自身は納得のいくパフォーマンスができていなかったので、もう一回試合をしたいという気持ちはありました。ただ、今回のようにダイレクトリマッチでやるということは考えていなかったです。だから試合のオファーを頂いた時は、『またこういう形でチャンスを頂けるんや』というのが正直な印象でしたね」

――それは田村選手がリマッチに挑む前に試合を挟みたかったのか。あるいはダイレクトリマッチ自体に驚いたのか。どちらの気持ちのほうが強かったのでしょうか。

「自分としてはもう一度タイトルマッチをやりたかったけど、修斗としてダイレクトリマッチはないだろうと思っていました。もし僕がまた修斗に出るなら、何試合か挟んでからタイトルマッチだろうな、と。それがダイレクトリマッチになったのは、僕としては嬉しいです。負けた相手に借りを返すことができるチャンスなので」

――田村選手にとっては2017年9月にウィル・チョープを下して以降、現在の活動の拠点である福岡での試合は鬼門ともいえる状況だったかと思います。2018年9月の間宮晃仁戦は直前に発生した北海道胆振東部地震の影響で、対戦相手が来られなくなりました。そして2019年6月にはソーキ戦で敗れ、昨年のリマッチはコロナ禍で中止となっています。

「確かに……そうですね。ここ2、3年は試合をすること自体が難しくなっていました。どの選手もそうだと思いますが、コロナ禍で最初の1年は大会自体が無い状態で、なかなか試合をすることができませんでした。そこで僕が今回ダイレクトリマッチで試合させてもらえるのは、そういう巡り合わせなのだろうなと感謝しています」

――田村選手が福岡に拠点を移し、カルペディエム福岡をオープンしたのが2017年でした。それ以降、コロナ禍も含めてご自身がMMAに取り組む環境としては、いかがでしたか。

「福岡に来てから最初の1年は、自分の練習環境を整えるのは大変でした。だから当面は試合もできないだろうなと思っていたんです。でも、そんななかでTORAOの山本(陽一TORAO NATION STATE会長)さんから、コンスタントにオファーを頂いていて。おかげさまで僕は、大阪にいる頃と変わらず試合ができていました」

――中止になった試合も含めると、現在は年1試合というペースになっています。それは、田村選手にとって望むペースなのでしょうか。

「MMAファイターとしては、もっと試合をしたいという気持ちはあります。ただ、3年前にタイトルマッチをやらせてもらって、そこで負けてしまった。試合の翌日、MMAPLANETさんにインタビューしていただきましたよね」

――はい。

「そのインタビューの中で、MMAを続けるか続けないかというお話になり、結局MMAをやるのだろうなという話で落ち着いていたんです。でも翌年にコロナ禍になって、同じ時期に僕も会社を立ち上げたので経営とかもあり……正直、このまま現役選手として続けるのは無理やろうな、と思ったんですよ」

――……。

「ジムは会員さんも増えて、若い選手も育ってきました。そのなかでコンスタントにMMAの試合をしていくのは難しいやろうな、と。でも、自分としても納得のいく終わり方ができていない。その状態で試合のオファーを頂いていると、まだ戦いたいっていう気持ちがどんどん大きくなってくるんです。去年、試合のオファーを頂いて、自分の気持ちに火がつきました。その試合が中止になって1年待つことにはなりましたけど、またこうやって組んでもらえています。年齢的にもコンスタントに試合をすることは難しいかもしれないです。でも気持ちの面では、全然衰えていないので」

――カルペディエムは、柔術のアカデミーだと思っています。カルペディウム福岡を運営する田村選手の主軸は柔術とMMA、どちらなのでしょうか。

「それ、よく聞かれるんですよ。僕というよりもジムへのお問い合わせで『カルペディエムだから柔術のジムではないのですか? MMAをやっているのですか?』って(笑)。僕は、もともとMMAから始めた人間です。だからMMA選手としてのプライドを持ち続けています。もちろん柔術の試合にも出るし、アカデミーで柔術の指導もしています。それでも僕の中では、自分はMMAファイターなんだという想いが強いです」

――その気持ちは、ジムの特色にも表れていると思います。カルペディエムの中で正式にMMAクラスを設けているのは、カルペディエム福岡だけですよね。

「アマチュアからプロまで、ジム所属のMMAファイターを出しているのはウチだけだと思います。僕自身、MMAから柔術を始めました。柔術に出会ったのはプロになる前――当時パラエストラ大阪でタクミさんと知り合うことができて、それが僕のMMAに生きたと今でも思っています。自分としてはMMAファイターとしてのプライドは持ちながら、その中には柔術の要素が流れているし、その比重はすごく大きいです。だから……柔術とMMAどちらかと聞かれたら、いつも答えづらいんですけど(苦笑)」

――MMAと柔術は異なる競技ですし、選手と経営者も役割が異なります。さらに大阪と福岡、場所の違いもあって何重もの難しさがあるかと思います。

「そうなんですよね。ただ、ウチはアマチュアのMMA選手であっても、絶対に柔術クラスに参加させています。だからMMAをやっていくなかでも、柔術というものに対するリスペクトは持ち続けているんです。福岡に移ってきてから5年経って、ようやく形になってきたと思います」

<この項、続く>

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