【ONE86】ラカイの新鋭ダニー・キンガド戦へ、和田竜光─02─「テイクダウンは0点。そういう競技」
【写真】和田のフライ級ワールドGP出場を賭けた戦いはいよいよ今夜行われる (C)ONE
本日25日(金・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE86「Hero’s Ascent」において、ダニー・キンガドと対戦する和田竜光インタビュー後編。
この一戦を前にチャトリ・シットヨートンCEOが先週末の猿田洋祐✖ジョシュア・パシオ戦はパシオが勝っていたという発言をした。この言葉を受け、理を持って動き、戦う和田は審判団にとある質問をした。その結果、ある種の理を得てサークルケージでダニー・キンガドと向き合うこととなった。
<和田竜光インタビューPart.01はコチラから>
──そういう意味でも若松選手とキンガドの試合があったことで、彼の特性が分かるようになったのではないでしょうか。
「アレまでは全く試合を見たこともなかったですし、あの試合でどういう選手が分かりました。試合が決まってからは他の試合映像もチェックしましたし、佑弥との試合と照らし合わせるとかなり実像が見えてきました」
──若松選手との試合がなければ、いくらあの戦績を誇っていても自分などはもっと楽観視してしまっていたと思います。それまでの試合内容を相手が相手だからという風に見てしまっていました。
「全然弱い相手ではないです。佑弥とやる前の試合を見ていても、強いと思います」
──そういう相手に勝利してフライ級GPに出たい。その意志をアピールするには勝ち方もこだわる必要があるかもしれないです。和田選手はフィニッシュに拘るファイターでないことは百も承知なのですが。
「う~ん、そこに対するこだわりは全くないです。勝てば出られる。でないと、逆に誰が出るんだというのがあります。クソみたいな内容でも、キンガドという選手に勝てば出る価値があると思っています。
ただ相手のホームで、僕からするとアウェイなので会場の反応によってもジャッジも人間ですし、公平さが失われると思います」
──チャトリCEOが記者会見で『パシオが猿田に勝っていた』という発言がありました。
「ツイッターで流れてきたのを見ました……だから審判団に『3発パンチを試合開始10秒に当てられた選手が、ダメージはないから直後にテイクダウンをした。残り4分50秒を抑え続けてパウンドも落とさなかった。この場合はどっちが勝つのですか』という質問をしました」
──おお。
「そうしたらパンチを入れた方だという答だったので、チャトリさんも言っていたように打撃が一番のポイントで、テイクダウンは0点。打撃を貰った人のテイクダウンは0点ですね。ただし、打撃で互角の時に優位になる。
テイクダウンから優位なポジションを取るということは必要でも、極端な話をすればそこまで打撃に比重を置いているということは理解しました。ただし、だったら……なんでスプリットになるんだと」
──ジェヘ・ユースタキオ✖アドリアーノ・モライシュ、ジョシュア・パシオ✖内藤のび太、ケビン・ベリンゴン✖ビビアーノ・フェルナンデス、猿田洋祐✖パシオ、全てスプリットです。
「そうなんです。そこまで明白なジャッジの裁定基準だったら、3-0で勝敗が決まっているだろうとは思いもしました。だからジャッジのなかで、まだ定まっていないのだろうかと……。見る人によって変わってくるよなというなかで、チャトリさんがそこまで言ったのであれば、そういうスタイルでやる競技なんだと思います」
──同時にそこに捉われすぎて、スタイル崩す選手も出てきました。
「まぁ極端な例で話をしたのですが、劣勢のときにテイクダウンをして固めるというのは選択肢から無くなったということですね。逆に打撃でリードしていたら、テイクダウンをして固めることは時間を使うという意味でありですし。
この辺りの戦術を考えたときにも、判定基準がクリアになることは必要だと思います。負けている時には大きなアクションをする。そこから返されたとしても、負けている時だったらアクションは起こさなければいけない。ここが明確になりました。これまでの『どうやら、打撃重視だぞ』とか『テイクダウンは評価されないみたいだ』という想像ではなく、明確になったことで選手の戦い方は変わってくると思います」
──試合の2日前でも明確になると戦いやすいモノですか。
「戦いやすいかは分からないですけど、KOや一本に近づかないといけない。テイクダウンをしてもポイントにはならない。ただし、そこから先に進めポジションニングやダメージを与えるという選択肢はあります。テイクダウンを仕掛ける、テイクダウンした先という点に関して、状況によって使い分けないといけない。そこが分かりました」
──和田選手はこれまで、どの局面を出そうが優位に立つ。相手と向き合ってから対応する選手だと理解していたのですが、ONEではその前に裁定基準を頭に入れる作業が必要になったわけですね。
「打撃ベース……寝技有りの打撃戦ということですよね。裁定基準を考えてという部分は、とても細かいことで。結局のところは殴ってなのか、首を絞めてか……キンガド君も強い選手ですが、ちゃんとやっつけてさらに強いヤツなんだという称号を得る。そしてグランプリに出ることができればと思います」
■ONE86対戦カード
<ONE世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
[挑戦者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ダニー・キンガド(フィリピン)
和田竜光(日本)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ファディ・カレッド(チュニジア)
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
<ミドル級(※キロ)/5分3R>
ライニア・デリダー(オランダ)
ファン・ロン(中国)
<キックボクシング・フェザー級/3分3R>
ブラウン・ピーナス(オランダ)
バングプリーニ・ペッチインディーアカデミー(タイ)
<フェザー級(※キロ)/5分3R>
イ・スンジョン(韓国)
タン・カイ(中国)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
エリアス・マムーディ(アルジェリア)
小笠原裕典(日本)
<キック・バンタム級/3分3R>
モハマド・ビン・マフムード(マレーシア)
鈴木博昭(日本)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
江木―・ロステン(インドネシア)
ヒマンシュ・コシィック(インド)
<68キロ契約/5分3R>
スノト(インドネシア)
ニウ・カンカン(中国)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アディ・パリヤント(インドネシア)
アジス・カリム(インドネシア)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
オスカー・ヤフット(インドネシア)
アンドレアス・サトヤワン(インドネシア)