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お蔵入り厳禁【ONE】日本人唯一のONE世界王者──内藤のび太が6月に語っていたこと「少し幸せ」

Nobita【写真】取材にチャンピオンベルトを忘れ、肩にかている風ののび太。らしさは健在だ(C)MMAPLANET

5月12日のONE70でアレックス・シウバを下し、ONE世界ストロー級チャンピオンに返り咲いた内藤のび太。

その彼に6月初旬に行っていたインタビューを──ここで掲載したい。新規契約選手が苦戦する中で、ただ一人日本人選手としてONE世界王者に君臨するのび太の強さが、再認識されつつあるなか──2カ月前に彼は何を語っていたのか。

お蔵入り厳禁、6月ののび太の声をお届けしたい。


──ベルト再奪取、おめでとうございます。

「ありがとうございます(笑)」

──文字通りの激闘を制すことができました。

「タイミングが良かったと思います。向うのモチベーションとこっちのモチベーションなど、色々な要素があったかと。シウバは12月の試合の時のほうがコンディションは良かったと勝手に思っています。その分、僕のペースで試合を進めることができました。それでも最後まで心が折れてくれなかったですけど(笑)」

──打撃があるということを踏まえて、準備ができたことが前回との違いではないでしょうか。

「そうッスね。そこは違ったスね。一度、肌を合わせた分、踏み込んでいけました。自分のパンチを当てて、先手を取ることができたので。後手に回った前回とは違いますね。

結果、気持ちが乗ってきたというわけじゃないですけど、テイクダウンを取ることができました。僕自身は1Rから極めるつもりでいつも戦っているのですが、序盤にやれることが多い。それが今回は初回からテイクダウンを取れて、気持ちが楽になり、それが貯金になって戦うことができましたね」

──それでも極めきれない、シウバが返してくるという展開に焦りは生じなかったですか。

「焦りというか、楽はさせてはくれないと思いました。結局、必死になって戦い──判定も割れましたし……勝てて良かったです」

──あの試合で判定が割れるのは恐ろしいです。

「勝ったとは思いましたが、判定が割れた時はどうなるのかと……」

──どうすればシウバに一票が入るのか……。

「ローの破壊力を取られたのか……、どっちに転ぶか最後は祈っていました。言っても厳しい試合だったので、勝たせてくれって思いました」

──その割に勝利が確定した後も淡々としていましたね(笑)。

「ホッとしたというのがあります。判定の直後は。同じ相手に連敗は許されない、本当の負けになります。これで1勝1敗なのでホっとしました」

──打撃の応酬が歓迎されるONEのケージの中で、あのグラップリング&スクランブルの応酬でジャカルタのファンが大歓声を挙げた。正直、感動すらしました。最終回には、のび太コールまでありました。

「それは完全にキャラクター……ドラえもんのおかげです(苦笑)」

──組み技でも戦っている選手の気持ちが伝わった試合だったと思います。

「そう言ってもらえると嬉しいです。打撃だけじゃなくて、総合格闘技として楽しんでもらえた。自分のことも少し認めてもらえたかなって……(笑)」

──抑え込み続けることができれば、あの歓声はなかったかもしれないです。

「それはシウバが強かったですから。スイープの仕掛けも執拗だし、実際に下にもされましたし。選手としては完全に制圧できた方が良いのでしょうが……それができないすね。難しいです」

──受け身の時にあの強さ、シウバも素晴らしい柔術家でした。

「彼が動いてくれたから、僕も動けた試合です。終わってみれば……ですけどね、冷や汗モノの試合だったので(苦笑)。粘り強かったです。落とす可能性があった試合なので、やはり勝てて良かったというのが一番です。勝てて、あの雰囲気のなかで戦えたことで、今は少し幸せです」

──少し幸せ、良い言葉です。ガーンと契約金も上がるという話も聞いています。

「いや……ガーンとというわけではないですが、次に勝つとあげてもらえそうです。若い人の将来性を買って先行投資の意味で評価する傾向が強いなかかで、30半ばの選手をある程度評価してくれるのは嬉しいです」

──ONEに出るようになり、取材にも慣れて来たのではないですか。

「人と話せるようになってきました。以前は人と話すとき、顔が真っ赤っかになっていたのが、最近は少し慣れてきました。色々な人が『おめでとう』という感じで声を掛けてくれるので。僕とすれば、どえらい倍数で会話の数が増えています。この歳にして」

──本当に良かったです。シウバとは1勝1敗、3度目もありそうですね。

「それは構いませんが、3回連続同じになると……なんか出来レースみたいで。でも、自分がダイレクトリマッチをやってもらっているので、こんなこと言っちゃいけないんですけどね」

──ストロー級には鈴木隼人選手、渋谷莉孔選手もいます。

「日本人とは戦いづらいですけど……やれと言われればやります。タイに若い選手もいますが、ストロー級は日本が一番層が厚いですし。

ただ、その前に少し休みたいです。ジャカルタから戻って、腸をやってしまって……保健所に届ける必要はない菌なんですけど……それでスタミナがなくなってしまったので、もう一度整え直したいです」

──そこが東南アジアで戦うということですね。そうなると、そろそろシンガポールで戦いたいところです。

「僕はきっと呼ばれないです。シンガポール大会には(笑)。シンガポールはONEの母体だけあって、会場の大きさも雰囲気も違いますよね」

──呼ばれない……ではなくて、アピールしてください(笑)。

「全てを賭けて、負ければ終わりというなかで戦ってきて……それが一つ延びたにすぎないので、あまり大きなことは言えないです。どんなレベルの話かってことになりますが、人と話せるようになってきたし、本当にそこは良かった。外国人と話す機会なんて、一生無いと思っていたので……」

──その辺りは変わりないのび太選手ですが、タイトル再奪取を見てくれたファンに、今後の意気込みをお願いします。

「自分の試合結果を気にしてくれた方がいてくれたことが、本当にありがたいです。人とのコミュニケーションの取り方に問題がある人間が、次の試合はどうなるんだろう……そんな感心の持ち方でも構わないので、また試合を見てもらえると嬉しいです。そういうことなので、また頑張ります」

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