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【ONE FN08】山北渓人と対戦、戦う賢人アレックス・シウバ「無敗を意識すると、がんじがらめになる」

【写真】勝負に拘りつつ、達観した意見を持つアレックス・シウバ(C)MMAPLANET

25日(土・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night08で山北渓人と戦うアレックス・シウバ。40歳になった元世界チャンピオンが、日本の団体のストロー級チャンピオンと戦うのは、山北で4人目となる。

日本大好き、柔術命、下になってコントロールできるMMAファイターは、昨年10月のグスタボ・バラルト戦の敗北の原因は業しか感がられないと言い切り、キャリアと若さ、無敗というピースに関する問い掛けに対し、見事なまでに成熟した返答をしてくれた。


──アレックス、今週の土曜日に内藤のび太選手、猿田洋祐選手、箕輪ひろば選手という3人の修斗世界ストロー級王者に続き、パンクラスのストロー級チャンピオンである山北選手と戦います。

「とにかく、またケージの中に入って戦えることに感謝している。皆はいつまで戦うのかと尋ねてくるけど、それは神の決めること。どれだけ試合の準備が大変でも、試合に出場できることは最高にハッピーな瞬間だから。しかも、今回は若い日本のチャンピオンと戦うのだからなおさらのことだよ」

──それだけMMAを愛しているアレックスですが、前回のグスタボ・バラルト戦はグラウンドコントロールや極め狙いが評価されなかったです。それがONE裁定だといわれても、別にスタンドの打撃でダメージを受けていないだけに、なかなかグラップラーとしては納得しずらい判定負けだったかと。

「マイ・フレンド、本音を言わせてもらうと全く信じられない結末だったよ。原因があるとすれば、業としかいいようがない。しかも、初めてのことじゃないからね。僕はバラルトに絶対に勝っている。ルールをしっかりと確認し、裁定基準を理解しても……いや理解しているからこそ、僕の負けはない。でも結果はバラルトの勝利で、僕にはどうにもできない。

こういうことが起こると人々は『フィニッシュすれば問題ない』と言う。でも、そんな風にいつだってフィニッシュはできない。誰だってフィニッシュしたいし、判定勝ちしようと思っている選手はいないだろう。でも、判定にもつれ込むのはこのスポーツの一部だ。結果、僕は自分が勝っていた試合を落とすことになる。これが初めてじゃない。ジョシュア・パシオに挑戦した世界戦でもそうだった。世界戦なんて、ジャッジの裁定で人生が変わってしまうというのに。

もちろん僕が勝っていると思っていても、違う意見だってあるし、それが正しい時もあるだろう。でも、前回の試合で僕の負けはない」

──判定に勝負を委ねるなという意見もありますが、ジャッジがいる限り、ジャッジはその役割を全うすべきで。

「ホント、そういう裁定もこのスポーツの一部ではあるんだ。でも、もっとMMAを理解してほしい。ジャッジでない人は皆が僕が勝っていたと言ってくれるのに、ジャッジだけが僕を負けにした……。ホント、どうしようもないよ」

──そういう判定があると次からもこういう裁定があるかもと考え、試合の組み立てなどに影響はでないでしょうか。

「まぁ、混乱するよ。ただ戦えば良いとは簡単には言えない。勝敗結果で、その後のキャリアや人生が変わって来るんだから。パシオと戦った時、バラルトと戦った時、ちゃんとした裁定が下っていれば、僕はケイトと戦うことはなかったかもしれない。でも、今、僕はここにいてケイトと戦う。彼のことに集中して、今を未来につなげるしかないんだよね」

──押忍。では山北選手の印象を教えてください。

「彼はパンクラスのチャンピオンだ。素晴しいファイターに決まっている。さっき、ケイトと彼のチームと顔を合わせたんだ。僕は心の底から日本の皆のことが好きだし、日本人選手を尊敬している。そして、ケイトと彼のチームは僕のこの気持ちが間違っていないことを再確認させてくれた。彼らは礼儀正しく、フレンドリーに挨拶してくれたよ。確かに僕らは土曜日に全てを賭けて戦う。相当な覚悟を持って、ケイトとやりあうよ。でも、それだけだよ。

もし僕に権限があれば、日本人選手とは戦いたいくない。これが本音だよ(笑)。この試合に向けて、日本人の生徒が僕をサポートしてくれた。シンヤ(青木)もメッセージをくれた。ホント、僕は日本の皆のことが大好きでならないんだ」

──山北選手はONEのニューカマーとして、日本のファンの期待を集めています。無敗の国内MMA王者のONEへの挑戦は、同時に彼にとって初めての海外での試合、そして国際戦となります。経験という部分では、アレックスにアドバンテージがあるという見方も成り立ちます。

「彼は無敗で、日本のチャンピオン。でも国際戦は初めてで、僕の方が経験値が高い。これら全てのことが、ファイトには影響を及ぼす。だけども、何一つ絶対的な勝因にはならない。僕の方が経験がある。それは味方を変えると、彼の方が若くれフレッシュということになる。だから、そういう要素よりも如何に自分を信じて戦うことができるか。そこが大切になってくるんだ」

──同時に無敗のファイターには、彼ら特有の勢いがあるかと思います。

「そうだね。でも無敗に拘るとプレッシャーになる。誰もがいずれは負けるんだ。そこで終わりじゃない。戦い続けると、絶対に負ける日はやってくる。無敗であることを意識すると、ケイトもその言葉にがんじがらめにされてしまうよ」

──その言葉こそ、経験から生まれるものかと思います。アレックス、いつもインタビューを受けてくれて本当に感謝しています。では大好きな日本のファンに一言お願いします。

「日本の皆、本当に僕は日本のことが好きなんだ。日本の文化からは学ぶことばかりで、人間として日本の存在を僕からなくなることは決していない。今回、僕はまた日本人選手と戦うことになったけど、とにかく皆に喜んでもらえるよう良い試合にしたいを想っている」
 

■放送予定
3月25日(土・日本時間)
午前8時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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