【Pancrase287】日沖発を14秒KO、田中半蔵 「パンチが当たればいけるという自信を取り戻せました」
【写真】この右端の人が実はキーパーソンだった (C)MMAPLANET
28日(日)、東京都台東区ディファ有明で行われPancrase287で日沖発を衝撃の14秒、失神KOに追い込んだ田中半蔵。
修斗からONEに進出して、一度は挫折を経験した。国内に戦場を移し、仕切り直しの地方大会でまさかの敗北。どん底を味わった男の復活劇と、タイトル戦線で一気に一番手に浮上した会心の勝利を半蔵に振り返ってもらった。
──見事なKO勝ち、おめでとうございます。
「ありがとうございます。出来過ぎで、自分が一番ビックリしています。今、マモル塾といって毎週火曜日に僕とアキラ選手、川名(雄生)選手でこっそりと練習しているんですけど──そこでマモルさんに基礎から教えてもらって、作戦も考えてもらったんです」
──マモル選手は普段の下ネタのレベルはともかくとして(笑)、MMA IQの高さは素晴らしいです。
「本当に教えてもらっていた成果が、モロに試合で出ました」
──つまり左は作戦、そして積んできたモノだったのですね。
「作戦はボディを攻めて、そこから同じフォームで顔面を狙うというものでした。僕はもともと右利きですし、右フックばっかり使っていたんですけど」
──修斗時代は、その右フックで倒してきた印象が強いです。
「それがマモルさんと練習してきて、意識せずに左が使えるようになりました。でも、左で倒せたのは今日が初めてです(笑)」
──日沖選手も右フックを警戒していた可能性は大きいですね。ただ、日沖選手がサウスポーに構えたのは意外ではなかったですか。
「ケージチェックの時にサウスポーに構えていて、あるかもしれないとは頭の中には入れていました。ただ、それが騙しかもしれないですし。日沖選手も僕がケージにいるのを分かっているし、駆け引きかなっていう気もしていました。
そうしたら試合もサウスポーで構えていて、最初の前蹴りも三日月気味に入って効いていました。大きくて圧力も凄くて下がってしまったんですけど、マモルさんとやってきたことが出せました。前の試合からマモルさんにはセコンドにもついてもらうようになったんです」
──半蔵選手は個人的にONEのエウベウ・バーンズ戦の粘りが印象強くて。あの試合のように粘っていると、一発が入る展開もあるとは予想していたのですが、試合開始直後に左一発であのKOがあるとは本当に予想できませんでした。
「あの時はたた、凌ぐだけだったんですけど……。これまで練習でやってきたことが、試合に出るタイプではなかったので、今日はホントに驚きました」
──去年の9月、修斗で摩嶋一整選手に敗れた時のどん底から盛り返してきました。
「あの時はもう自信を失っていたのですが、内村(洋次郎)選手に勝てて少し回復して、でも次がいきなり日沖選手だったので厳しいとは思っていました。勝てば大きいという気持ちに切り替えましたが、本音をいえばランキングの間の選手と戦いたかったです(笑)。
試合前にタイのタイガー・ムエタイで練習もさせてもらったんですが、僕のことは誰も知らなくても日沖選手のことは知っていたので、そういうのもモチベーションになりましたね」
──素晴らしい気持ちの切り替え方ですね。この流れでベルトを狙いたいですね。
「自分のパンチが当たればいけるという自信を、今日の試合で取り戻せました。一本を取られる気はしないです。ただ、組み伏せられる可能性はあるのですが……。今回も日沖選手と戦って、テイクダウンから尻餅、バックで終わって負けるかもというのはありました。ただ、極められることはないと。その辺りはやはりバーンズ戦のお陰ですね」
──左があることで、右の再生も期待できます。
「そうですね。自分も若くないので、最短でベルトを狙いたいです。これから寝技を磨いてだとか、そういうものもでもないですし、フィジカルを落とさずに自分の武器を磨いていこうと思います。
今日の勝ちはラッキーパンチって言われるかもしれないですけど、倒せるモノが自分にはあるんだって……ONEに行く前、修斗で勝っていた頃の自信を取り戻せる試合でした。俺のパンチじゃ、人間は倒れないのかって疑っていたので……。
UFCとか言えないですし……他の選手と比較して、自分は穴もあるけど、パンチで勝てるのでパンクラスを盛り上げる意味でもベルトを絶対に獲りたいです」