【Interview】OFC05でパルヴァーと対戦するエリック・ケリーって??
【写真】1982年4月30日生まれ、30歳のエリック・ケリーは打撃が切れ、極めも持つアジア・レベルでトップファイターの一人だ(C)MMAPLANET
31日(金・現地時間)にフィリピンの首都マニラ、スマート・アラネタコロシアムで開催されるONE FC05「Pride of a Nation」で、ジェンス・パルヴァーと対戦するエリック・ケリー。
現在はマレーシアのクアラルンプールでトレーニングを積む、フィリピン人ファイターはMMA戦績7勝0敗を誇る。フィリピンのURCC、そしてONE FCでキャリアを積むケリーは、初めて世界的に名のあるファイターと対戦する。日本では全く無名のケリー、今、彼のようなファイターがアジアで成長過程にある。そんなアジアン・ファイターのこれまでを語ってもらった。
Text by James Goyder
――6月23日に韓国のベ・ヤンクァンに勝利し、現在MMAデビュー以来7連勝中となったね。
「あの試合のパフォーマンスには満足していない。僕のキャリで初めて判定にもつれ込んだ試合だし、フィニッシュできなかったことは残念でならない。ベ・ヤンクァンは怖がっていたように感じた。打ち合ってこなかったしね。柔道が得意だから、テイクダウンを狙ってきたけど、そこはしっかりと用心できていたよ。ファンの皆にも謝りたいし、次はもっと良い試合をすると約束するよ。
勝てたことは良かったけど、やっぱりKOでも一本でも良いから試合を決めたかった。クアラルンプールのファンの前で戦えたことは光栄だった。チケットは売り切れだったし、たくさんの人が僕に電話を掛けてきてチケットを分けてほしいって言ってきたんだ」
――フィリピン人のエリックは、いつ、どうしてMMAのトレーニングを始めたんだい?
「僕はフィリピンのバギオで生まれた。両親は裕福でなかったから、大学に進学することはできなかった。プロボクサーになり、それから散打を始めたんだ。SEA(東南アジア)ゲームスの散打で金メダルを獲得したけど、ケガをして長い間コンペティションに出場できなくなった。1年半ほど試合から遠ざかっている時に、友人がブラジリアン柔術をやっていて、僕も一緒に練習するようになった。
散打は5年やり、フィリピン代表にもなったけど、同時にヤウヤン(フィリピーノ・キックボクシング=首相撲もあるが、回転系の技が多い)も同時に練習したし、ペンチャクシラットの経験もある。色んなことを学ぶのが好きなんだ。今はボクシングとムエタイ、そしてブラジリアン柔術のトレーニングを積んでいる」
――MMAのトレーニングは、どこで始めたのかい?
「フィリピンでは特定の場所でなく、色々なところで練習してきたけど、今はクアラルンプールに住んでいて、ムエフィットに所属している。トレーニングはアルナウド・ルポン、ピーター・デイビス、アラムラッド・カラエフらと練習している。皆、ONE FCと契約しているファイターたちだよ。
ボクシングはピオトル・レイブで、BJJはスーヤン・ケイロス、ムエタイはタム・ジッティジムで習っている。今成も、試合前にやってきて一緒に練習したよ(笑)」
――ムエフィットではトレーニングに集中しているのかい?
「MMAのコーチもしている。プロ練習は1日に2度あって、妻と3人の子供たちはバギオに残しているけど、良い条件で練習と指導ができている。バギオにいるよりも、しっかりと収入を得ることができるからね。
バギオではタクシー・ドライバーをしながら練習していたけど、今は指導を少しやって、トレーニングに集中できているから、ここからキャリアをステップアップさせていきたい」
――アジアではMMAの成長が著しいけど、それ以前にPRIDEやUFCに影響を受けたことはあるかい?
「PRIDEもUFCも好きだったよ。以前はUFCをよく見ていた。ONE FCができる前はUFCで戦いたいと思っていた。でも、今ではアジア人ファイターはUFCよりもONE FCで戦う方が良い選択になっている。よりアジアで露出しているし、マレーシアやフィリピンでは多くの人がONE FCをESPN Star Sportsで視聴しているからね。ONE FCは新しいPRIDEだよ。ルールも自由度が高いしね」
――どこのプロモーションで戦うことが、モチベーションになるのだろうか。
「フィリピンでは一番のプロモーション、URCCで5度戦いフェザー級王者になった。URCCがなければ、プロフェッショナル・ファイターになるチャンスは僕になかったと思う」
――ところでフェザー級には日沖発、小見川道大、高谷裕之、川尻達也など日本には強いファイターが揃っているけど、日本のフェザー級ファイターにどんな印象を持っている?
「3月のONE FCシンガポール大会でカワジリと戦いたいと思っていたんだ。なかなか対戦相手が決まっていなかったようだし、ビクトー・キュイにはカワジリの方で問題がなければ、僕の準備はできているって伝えていたんだ。日本に優れたファイターが多い。だから、彼らと戦って自分がどれだけできるのか試してみたい。世界のベストファイターと戦いたいんだ」
――ファイターとしてだけではく、人として将来の目標は?
「ONE FCというアジアで最大のプロモーションとサインできて、本当に光栄だ。マレーシアにやってきて、多くの人が僕のことを知っていて驚いた。
ONE FCの王者になりたい。チャンピオンになって、ONE FCもビジネスとして成功してファイトマネーが増えると、僕の暮らしももっと良くなる。だから、家族のためにも初代ONE FCフェザー級王者になりたいんだ。きっと、この夢は実現すると思っているよ」
【写真】初のビッグネームとの対戦となる母国でのジェンス・パルヴァー戦。ダメージの蓄積しているパルヴァーに勝利を収める可能性は十分にある (C) MMAPLANET
■ONE FC05「Pride of a Nation」対戦カード
<ライト級/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
フェリペ・エノモノト(スイス)
<バンタム級/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
グスタボ・ファルシローリ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
ソア・パラレイ(豪州)
<ヘビー級/5分3R>
ホーレス・グレイシー(ブラジル)
トニー・ボネロ(米国)
<フェザー級/5分3R>
エリック・ケリー(フィリピン)
ジェンス・パルヴァー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
フィル・バローニ(米国)
ホドリゴ・ヒベイロ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
イーゴー・グレイシー(ブラジル)
チャ・ジョンファン(韓国)
<ミドル級/5分3R>
グレゴー・グレイシー(ブラジル)
ニコラス・マン(豪州)
<フェザー級/5分3R>
ミッチ・チルソン(米国)
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
<バンタム級/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)