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【ONE173】新・キック激戦区=バンタム級。与座がスーパーレックと激突、秋元はウェイ・ルイと再戦

【写真】かつて日本大会で武尊の足を破壊したスーパーレックと極真出身・武尊と同門の与座が対戦する(C)MMAPLANET

16日(日)有明アリーナで開催される「ONE173」。今大会ではバンタム級キックボクシングでスーパーレック・キアトモー9×与座優貴、ウェイ・ルイ×秋元皓貴が組まれている。
text by Takumi Nakamura

前回の記事ではONEのフェザー級(70.3キロ)キックボクシングの盛り上がりについて触れたが、ONEキックで最も国際色・個性豊かな選手が集まっているのはバンタム級(65.8キロ)かもしれない。チャンピオン、ランカー、他の主要選手をざっと並べただけでも、これだけの選手たちがひしめき合っている。


ジョナサン・ハガティー(英国/現王者/元ムエタイ王者)
ウェイ・ルイ(中国/1位)
イリアス・エナッシ(オランダ/2位/元王者)
ペッタノン・ペットファーガス(タイ/3位/元王者)
秋元皓貴(日本/4位/元王者)
スーパーレック・キアトモー9(タイ/5位/元ムエタイ王者)
ナビル・アナン(アルジェリア/現ムエタイ王者)
エルブルース・オスマノフ(ロシア/ONE戦績9戦8勝1敗)
与座優貴(日本/ONE戦績2戦2勝)

さらに面白いのが各選手のバックボーンやファイトスタイルも異なるところだ。大きく分けるとスーパーレック・ペッタノン=純ムエタイ、ハガティー・アナン=欧州系ムエタイ、エナッシ=オランダ式キック、ウェイ=中国系キック、オスマノフ=ロシア系キック、秋元・与座=空手系キックに分類される。多種多様なスタイルの選手が純粋に殴る・蹴るで勝ち負けを争うルールでしのぎを削り合っているのがONEのバンタム級キックボクシングだ。

蹴りの種類とvsムエタイの相性の良さで与座がスーパーレック超えなるか?

そして今大会ではスーパーレックvs与座、ウェイvs秋元という日本人絡みの注目カードが組まれている。”キッキング・マシーン”の異名を持つスーパーレックは現ONEキックボクシング世界フライ級王者。2024年1月のONE日本大会ではその強力なローキックで武尊の左足を破壊(※武尊は左ヒザを2カ所骨折)し、日本のファンにも強烈なインパクトを残した。武尊戦以降はバンタム級にもチャレンジし、9月にはハガティーを右ヒジ一発でKOしてムエタイ王座を戴冠。2025年3月のONE日本大会では体重超過によりムエタイ王座をはく奪→アナンにダウンを奪われて敗れているが、今大会では武尊戦以来のキックルール戦に臨む。

対する与座は極真空手で輝かしい実績を残し、新生K-1ではライト級王座を手にした。2025年5月からONEに参戦し、オスマノフとペッタノンに連勝して、今回のスーパーレック戦を迎えた。与座はスーパーレックと同じく蹴り技を得意にしており、インローの要領で相手の太ももに突き刺す三日月蹴りは与座キックとして、広く知られるところとなった。

スーパーレック×与座はONEが誇る蹴りの名手同士による対戦で、どちらの蹴りが強いかが注目されている。ただしスーパーレックはムエタイで与座は空手と、蹴りの種類そのものは異なる。蹴りのバリエーションの多さとトリッキーさという意味では与座がスーパーレックより上とも見れる。また与座はK-1時代から数えてタイ人選手と5戦して5勝と無敗を誇っており、ムエタイファイターに対して相性もいい。スーパーレックはこれまで戦ってきたタイ人よりもワンランク上に位置する選手ではあるが、与座のスーパーレック超えを期待したい。

秋元、ウェイ・ルイへのリベンジの鍵はパンチと蹴りの融合

(C)ONE

ウェイ×秋元は2024年5月の再戦となる。前回の対戦は秋元がプレッシャーをかけて前に出て、ウェイが距離を取りながら攻撃を返す展開が続き、判定でウェイに軍配が上がった。しかし秋元が勝っていたという声も多く、秋元にとっては希望していた再戦が日本大会で実現したことになる。

Evolve MMAからPOWER OF DREAM(POD)に練習の拠点を移してからはパンチの比重が多くなっていた秋元は、事前のインタビューで「PODに移籍して今までやってきたことを少し封印して、新しいことにチャレンジした時期もありました。今はそこが上手く融合してかみ合ってきて、自分のなかでしっくり来ているので、それを日本大会で出せるのが楽しみ」と語っている。秋元自身の言葉通り、PODで磨いたパンチの技術と本来得意にしていた蹴り技の融合がリベンジの鍵になるだろう。

ハガティーの負傷欠場でキック・バンタム級に新たな流れが生まれる

当初今大会ではアナンとハガティーによるムエタイ王座戦が組まれていたが、ハガティーが負傷欠場。ハガティーが戦線離脱となればキックの暫定王座戦が組まれる可能性もあり、スーパーレック×与座とウェイ×秋元は今後の王座戦線を占う意味で重要な試合になってくる。

またハガティーと対戦予定だったアナンはフェザー級キックボクシングで和島大海と対戦。アナンは9月のONE Friday Fightsでもキックルールでエナッシと対戦し(※偶発性のローブローによりノーコンテスト)、今後は保持しているムエタイ王座を防衛しながらキック王座との2冠を目指すと予想される。和島戦は本来より一階級上の試合ではあるが、アナンのキックルールにおける適応力が試される試合でもある。

日本大会は新・キックボクシングの激戦区=ONEバンタム級キックボクシングの新たな流れが生まれる大会になるだろう。

■放送予定
11月16日(日)
午後12時00分~U-NEXT PPV

■ONE173対戦カード

<ONEキック世界フェザー級王座統一戦/3分5R>
スーパーボン・シンハ・マウィン(タイ)
野杁正明(日本)

<ONE世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] 若松佑弥(日本)
[挑戦者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)

<ONEムエタイ・アトム級王座決定戦/5分3R>
吉成名高(日本)
ヌンスリン・チョー・ケットウィナー(タイ)

<ONEムエタイ世界フライ級王座決定戦/3分5R>
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
ノンオー・ハマ(タイ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者] アリベク・ラスロフ(トルコ)

<キック・フライ級/3分3R>
武尊(日本)
デニス・ピューリック(カナダ)

<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
安保瑠輝也(日本)

<キック・バンタム級/3分3R>
与座優貴(日本)
スーパーレック・キアトモー9(タイ)

<キック・フェザー級/3分3R>
ナビル・アナン(アルジェリア)
和島大海(日本)

<キック・女子アトム級/3分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
KANA(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
タイ・ルオトロ(米国)
磯嶋祥蔵(日本)

<サブミッショングラップリング・ミドル級(※93.0キロ)/10分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
ラファエル・ロバトJr(米国)

<ムエタイ・バンタム級/5分3R>
ジェイク・ピーコック(カナダ)
スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン(タイ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
竹内龍吾(日本)
シャミル・エルドアン(トルコ)

<ライト級(77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
手塚裕之(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
平田樹(日本)

<キック・バンタム級/3分3R>
ウェイ・ルイ(中国)
秋元皓貴(日本)

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