【RIZIN LANDMARK12】2年半ぶりのRIZIN=ズマガジー戦、雑賀“ヤン坊”達也「リスペクトしてぶっ飛ばす」
【写真】らしさが出るのは、間違いない。だからこそ、結果を残したい(C)MMAPLANET
11月3日(月・祝)に神戸市中央区のジーライオンアリーナ神戸で開催されるRIZIN LANDMARK12。同大会にはライト級キング・オブ・パンクラス=雑賀“ヤン坊”達也がヌルハン・ズマガジーと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
約2年半ぶりのRIZIN出場となるヤン坊は、この間にRoad to UFCワンマッチ出場を経験するなど海外&世界の頂点を視野に入れて戦ってきた。しかし交渉の難しさと不確定さは、試合間隔が空くという彼が一番嫌う事態を引き起こす。
35歳、諦められない気持ちと国内最高峰で戦うという選択の間で、心がブレる。ブレがあることで精神の安定を保つことができるというヤン坊は、応援してくれる人達の想い、パンクラスの看板を背負い――、RIZINで3度目の正直を目指す。
練習もしてないことで勝ったので、『俺、どこでも勝てるじゃん』って
──約2年半ぶりのRIZIN出場が決まりました。試合まで2カ月(※取材は9月5日の会見後に行われた)、随分と体が大きく見えます。
「今、85キロほどありますね。筋量がついたのと、ちょっとムチっとしています(笑)」
――そこから70キロまで減量ですか。
「もう今月で35歳になっちゃうんですけど、ちょっと体重を落とすのが辛くなってきました(笑)」
――ヤン坊選手が35歳!! 4月に21歳の天弥選手を相手に、ヒザ蹴りで逆転KO勝ち。正直、業界の空気はRoad to UFCベテランを新鋭が超えて突っ走る様を期待されていた感もある試合でした。
「そう思われていたんだろうなって(笑)。でも厳しい練習を積んでいたので、その成果が出た試合でした。僕は考えすぎるとダメなんだと、あの試合を通して確認できました。やっぱり考えすぎると、試合が上手くいかない場合は疲れてしまいます。
でも、それと真逆で4月の試合は自分の人生をぶつけたような感じでした。あそこで若くて上り調子の相手にKO負けするようなら、俺のキャリアも終わりだというプレッシャーも凄かったです。そのなかで初回に一発貰って。あの時は『うわぁ、やべぇ』となりましたね」
――そこを立て直すことができたのは?
「経験ですかね。これまでの経験に救われました。あそこを凌いで、天弥選手の方が焦り始めて。実は2Rは、彼のパンチが本当に速くて『避けることは無理』って、覚悟を決めて戦っていました。それこそ相手陣営だったのですが、大沢ケンジさんの『見えていれば効かない』の逆で、見えないんですよ」
――そこで貰う覚悟で、立ち合うと。それはヤン坊選手の質量に変化が出るかと思います。攻め力、威力が変わるかと。
「ハイ。もう、そこはメンタルです。とにかくパンチが見えないので(笑)」
――見えないパンチをもらう覚悟。それができるのは、生来持つ気持ちの強さではないでしょうか。
「もう見えないからしょうがないですよね。アハハハハ。でも基本はオデコで受けるようにしていました。別の箇所に当たることもあるのですが、クリーンヒットは余りなかったです。それでも、効くことは効きます(笑)。だからこそ、覚悟が決まっていないと怯んでしまいます」
――その気迫で、天弥選手の勢いが落ちたのでしょうか。
「そうですね。僕自身、Road to UFCのキ・ウォンビン戦で、いくら殴っても倒れない。すると気持ちというか、どんどん疲れてしまって。あの時の自分と同じなのか。気持ちでなく、疲れてきたという風に僕は考えていました。
組んできたときに『間違いない』と確信できました。ああなった時には『もらった』となりましたね」
――最後は見事なヒザ蹴りでした。
「アレは未だに、なぜ出たのか分かっていないです。全くヒザの練習もしていなかったので。ヒザなんて、危なくてできないじゃないですか(笑)。あの打ち合いのなかで、なぜか首を持っていて、『あッ、ヒザ』ってなったんです。当たった感触もなかったですけど、今もヒザに天弥選手の歯形が残っています」
――その歯をぶっ飛ばしたわけですから。
「でも、自分も化膿しちゃいましたね。狙ったわけじゃないので、予備動作もなかった。だから、あそこまで当たったのかと思います」
――無意識下の意識、普段やり続けて慣習化していることを意識せずに出す。それは練習で落とし込み続けてきたからこそ、可能になるわけで。練習をしていなかったヒザ蹴りが、出て決まるものなのですね。
「ボディはやっていても、顔にヒザって絶対に練習ではできないじゃないですか。だから不思議ですよね(笑)。『練習で見たことない』って長岡(弘樹DOBUITA代表)さんも言っていました(笑)。普通、練習してきたことを出して勝とうとするわけじゃないですか。でも、練習もしてないことで勝ったので、『俺、どこでも勝てるじゃん』って凄く自信になりました」
――では、ベルトを防衛した後のキャリアはどのように考えていたのでしょうか。
「今後を考えた時、とにかく僕は戦っていないと嫌なんですよ。そこでいうと海外は待つ期間が長くなる可能性が高い。それこそ2年前に海外の話があって、でも全然決まらなかった。結局、8カ月後にパンクラスで試合をしたのですが、あの間は本当に憂欝で、なんのために練習しているんだろうって。練習をするのは当たり前だけど、そこに試合という起爆材になるモノがないと虚しくなってくるんです。
物凄いストレスで。あの経験は、もう2度と繰り返したくない。それに応援してくださるスポンサーの方たちも『RIZINで戦う姿が見たい』と言ってくれて。自分も、そうやって支えてくださる人たちに恩返しをしていかないといけないと思うようになりました。
もちろん、チャンスがあれば海外も飛びつきたいです。ただ、自分もカウントダウンが始まっているので」
2年半前とはフィジカルも違うし、根性も違う
――海外もそうですが、ヤン坊選手としてはRIZINでやり残したこともあるかと。
「本当にそうです。やり残したというか、何一つ残せていない。それにココで勝てないのに、そっちに行って勝てんのかよと。Road to UFCでは日本人選手を無双しても、玄関で躓くような試合をしちゃって。心残りはそれこそ海外にもあるので、今回の試合が決まるまで結構悩みました」
――RIZINで勝ちあがるには、このルールで定期的に試合をして、しっかりと集中することも大切ではないかと。
「とりあえず、ココで勝たないと。それが今の気持ちです。海外でも日本のトップはRIZINだと認識されていて。でも、ソコで勝っていないヤツをどう使うんだって。自分自身、日本でやり残したことはRIZINで勝つことなんで」
――つまりは今もまだUFCが頭にあるということですか。
「う~ん、こないだコンテンダーシリーズで36歳の選手が契約をしたじゃないですか。ファイトスタイルが好きだとダナ・ホワイトが言って……。あれがあるから……。人がどれだけ悩んでいたのか、知ってんのかって……」
――あれは厳しいですね。ファイトスタイルは好きだけど、年齢でアウトだと言ってくれた方が……。
「スッキリしますね。僕もあと2、3年は頑張れると思うので、その間にチャンスがあればって……。ブレブレですけどね。でも、ブレてないと身がもたないんです。アハハハハ」
――では今回、色々と悩みながらも選んだRIZINでのファイト。この先に何を見ていますか。
「それはもちろん、名前のある選手と戦うことです。ぶっちゃけて今回もそうでした。ただXでヌルハン・ズマガジーが来日するみたいなことを見た時に、『あぁ、コイツとやることになりそうだ』と思いました(笑)。やっぱり僕って、扱いづらいところがあるんだろうなって自分でも思っていたので。
結果、ヌルハン・ズマガジー戦のオファーがきて、当然『やります』と答えました。前回のRIZINでは、アリ・アブドゥルカリコフにKO負けして。きっと、ヌルハン・ズマガジーも強い。なら、ちょうど良いやと思いました(笑)」
――やはりアリ・アブドゥルカリコフの右を払拭しないといけない?
「そうですね。アブドゥルカリコフのパンチ力は凄まじかったです。本当に石で殴られたような感じで。ヌルハン・ズマガジーもきっとそうです。サウスポーで、あの左は絶対に強い。距離とタイミングを測る選手なので、(井上)直樹に色々とアドバイスを貰っています」
――距離を取るのか、乱打戦なのか。
「距離を詰めることができれば乱打戦、それはもう性格なので。距離を取れている時は、綺麗に戦います。僕も2年半前とはフィジカルも違うし、根性も違う。パンクラスのベルトを持っているので、負けるわけにはいかないです。負けるわけにいかないのは、毎試合そうなんですけど、今回は背負っているモノがあるので。
だから集大成じゃないけど、これまでの経験とか全てぶつけます。いうと、やっとRIZINという舞台に戻ってくることができたので。そういう気持ち、応援してくれる人達の想い、パンクラスの看板、背負っているものが多いだけ感謝の気持ちをファイトで見せたいです。感謝の気持ちを持って、相手のことをリスペクトしてぶっ飛ばします」
■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN LANDMARK12対戦カード
<フェザー級/5分3R>
秋元強真(日本)
萩原京平(日本)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] 大島沙緒里(日本)
<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
松嶋こよみ(日本)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
木村柊也(日本)
<50キロ契約/5分3R>
ケイト・ロータス(日本)
イ・ボミ(韓国)
<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
桜庭大世(日本)
<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
後藤丈治(日本)
<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
MAX吉田(日本)
<62キロ契約/5分3R>
金太郎(韓国)
リ・ユンフォン(中国)
<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(韓国)
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)
<バンタム級/5分3R>
鹿志村仁之介(日本)
安井飛馬(日本)
<ライト級/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
キャプテン☆アフリカ(日本)
<フライ級/5分3R>
トニー・ララミー(カナダ)
山内渉(日本)
<キックボクシング51キロ契約/3分3R>
KING陸斗(日本)
水野夢斗(日本)
<OP女子スーパーアトム級/5分2R>
NOEL(日本)
海咲イルカ(日本)
<OPキックボクシング57キロ契約/3分3R>
赤平大治(日本)
翔磨(日本)
<OPバンタム級/5分2R>
宮川日向(日本)
MG眞介(日本)
<OPキックボクシング63キロ契約/3分3R>
元氣(日本)
林眞平(日本)
<OPキックボクシング51キロ契約/3分3R>
みいちゃんレンジャージム(日本)
伊藤菜の花(日本)




















