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【UAEW64】プロ4戦目で中東進出。ザイヌコフ弟と対戦。堀江耐志「強いヤツと戦って、自分を強くする」

【写真】どう考えても、恐怖を感じるような相手との試合にも全く動じる様子がなかった堀江だ (C)TAKUMI NAKAMURA

22日(水・現地時間)、UAEはADNECセンター・アブダビで開催されるUAE Warriors64で、堀江耐志がロシアのクルバン・ザイヌコフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

グレコローマンレスリング72キロ級で全日本王者(2022年)となり、2024年10月のMMAデビュー以降、3戦3勝(3KO)と圧倒的な強さを見せてきた堀江。プロ4戦目にしてUAEW参戦が決まり、自身と同じプロ無敗&オールフィニッシュのザイヌコフと対戦することになる。

そのザイヌコフ、プロMMA戦績は4勝0敗だがアマで20勝3敗のレコードを残しボクシングも10戦以上の経験がある。さらにいえばザイヌコフの実兄マゴメド・ザイヌコフは今年のコンテンダーシリーズ第9週でUFCとの契約を果たしたファイターだ。

初の海外遠征で、そんなヌルマゴ門下のダゲスタン人ファイターが相手というシチュエーションだが堀江に緊張している様子は一切なし。強心臓ぶりと共に「次はフルの自分を出せるので楽しみ」という力強い言葉も聞かれた。


問題ないかなって感じです。いい相手だと思いますけど、打撃もレスリング力も組みもそこまで強くない

──UAEW初参戦が決まりました。我々としてはサプライズだったのですが、堀江選手自身はいかがでしたか。

「契約している海外のマネージメント会社から今回の話をもらったのですが、自分はずっと海外に行きたかったので驚きはなかったです」

──UAEW参戦を目指していたというよりも海外で試合することを視野に入れていたのですか。

「BRAVE CFやNAIZA FCも候補に挙がっていて、自分的にはNAIZAに出たいと言っていたのですが、最終的にUAEWで決まった感じです。試合が決まるまでUAEWを見たことはなかったのですが、名前は聞いたことがある大会だったので、ここでもいいなと思って決めました」

──MMAでは初の海外遠征であり、これまでよりも大会規模の大きな舞台への挑戦となります。

「もちろん試合に向けた対策もやったりしているんですけど、自分的にはこれから先のことを見据えて、自分が強くなるための練習と準備を続けています。自分が足りないところを埋めるのもそうやし、自分の強みを伸ばすのもそう。穴のないようにしている感じです」

──堀江選手にとって海外遠征は特別ことではないようですね。

「はい。今までFighting NEXUSに出ていた時と変わらないです。緊張もしないし、いつも通りです」

──ものすごく頼もしい言葉ですが、周りから「緊張しないの?」と言われませんか。

「めちゃめちゃ言われます(笑)。試合ならではのいい緊張感はありますけど、みんなが言う『うわ…緊張する…』みたいな緊張はないです」

――レスリング時代からそうなのですか。

「そうですね。変にあがったり、ナーバスになったり、そういうのはなくて普段通りです(笑)」

──とはいえ対戦相手のクルバン・ザイヌコフはMMA戦績4戦4勝(2KO・2S)のロシア人ファイターです。これまで戦ってきた相手の中では一番の強敵だと思いますが、どんな印象を持っていますか。

「トータル的に何でもできるイメージですね。でも問題ないかなって感じです。いい相手だと思いますけど、打撃もレスリング力も組みもそこまで強くないかなと」

──どうしてもロシア人で名前の最後に「フ」がついている無敗の選手と言われると超強豪を想像してしまいます(笑)。

「ハハハハハ(笑)。まあまあ強いとは思いますよ」

──ちなみにレスリング時代はロシアや中央アジアの選手とも試合をしていたのですか。

「ヨーロッパ系の選手ともやっていましたし、カザフスタンの選手ともやっていました」

──MMAでは中央アジア&コーカサス勢が各団体を席巻していますが、彼らが特別に何かが優れているとは感じなかったですか。

「感じなかったですね。レスリング時代の負けはシンプルに自分が足りてないところがあったからだし、そういう地域の選手が特別力が強かったとか体力が半端なかったとか、そういうことは思わなかったですね」

──なるほど。我々が過剰に反応しすぎているだけで、強い選手は出身地やバックボーンに関わらず強いので、その地域だけ特別というわけではないですね。

「はい。どこに行っても一緒やと思いますよ。ただMMAでいうと日本人はレスリングにそこまで力を入れていないというか、おそらく海外の選手は日本でいう大学生の試合に出るくらいのレスリング力はみんな持っているんですよ」

――堀江選手の推測では海外は日本の大学レベルのレスリング力がMMAをやる上で標準装備になっているのではないか、と。

「最低そのぐらいはレスリングをやっている感じなので、そこで日本人が負けているのかなと思います」

──先ほどはいつもの試合と同じ感覚という話でしたが、今までよりもレベルが高い相手と戦うことは楽しみですか。

「楽しみですね。今回はフルで自分を出せると思います」

――堀江選手はデビュー戦こそ2Rまで行ったものの、直近2試合は1R3分以内にフィニッシュしています。自分の100パーセントの力を出し切る前に試合が終わってしまった部分もあったのでしょうか。

「そうですね。練習では自分に制限をかけて、今日はこの技だけで戦うとか、自分は本来サウスポーなんですけど、今日はオーソドックスでしかやらないとか、色々と試しているんですよ。それで試合ではフルでやろうと思っているのですが、まだ試合では全部出す前に終わっちゃう感じだったので、次はフルの自分を出せたらいいなと思います」

──逆に言えば普段の練習から、フルの自分を出せないことを想定して練習しているのですね。

「やっぱり苦手なことや弱点をなくすことが一番強くなれると思うので。他の選手がどうか分からないですが、練習で負けるのが嫌だから自分の得意なところでしか勝負しない選手もいるじゃないですか。自分はそうじゃないんですよ。あえて自分が弱いところでもやってみるし、逆に徹底して自分が強いところで試合するイメージを作ることもあるし、色々とやっていますね」

──それでいうと堀江選手は6月にキックボクシングの試合に出たんですよね(全日本キックボクシング協会の大会に出て、蘆立亮太に判定勝ち)。事前に情報を把握しておらず、あとで結果を知って驚きました。

「打撃だけの試合をやるのも大事だと思って、実は出ました(笑)。当たり前ですけど打撃だけなので、めちゃめちゃ難しかったですが、色んなことが勉強になりました」

もちろんUFCには出たいんですけど、試合に勝ち続けていったら自然にそうなる

──堀江選手は自分が強くなるために色んなことにチャレンジしたいタイプなんですね。

「もし出られるんだったらボクシングの試合もやってみたいですし、色々とやりたいです。MMAは選手によってタイプが違うし、どれだけ相手の強みを潰していくかだと思うんですよ。それであらゆる局面で戦うことが出来たら絶対に強いじゃないですか。僕は個々の強さを上げていけば必然的にMMAでも絶対強くなると思っているので、専門的な技術を一つ一つ強くしたいです」

──確かに相手が「打撃じゃ勝てないから組んで行こう」と思った時に、相手にレスリングで勝てないと思わせたら、相手はやることがなくなりますよね。

「はい。そうやって逃げ道を探しながら戦うのはダメだと思うし、その時点で後手になっていると思うんですよ。だからやっぱり全局面で戦える選手が一番強いのかなと思っています」

──海外での試合を意識していて、UFCファイトパスでも配信されているUAEWに出場するということで、今後は海外での試合が中心になっていきそうですか。

「どこで戦うかというよりも『堀江、こいつに勝ったんや!』と驚かれるような強いヤツとドンドンやって、自分を強くすることが一番の目標ですね」

──具体的にUFCを目指すとか、そういった目標はありますか。

「もちろんUFCには出たいんですけど、試合に勝ち続けていったら自然にそうなるのかなと思います。何がなんでも出たいみたいなものはないし、今はそこだけを見ているわけじゃない。僕は強いヤツと戦いたいだけです。例えばみんな戦いたがらじゃないですか、ロシアとかダゲスタンの選手とは(笑)。逆に僕はそういう相手をドンドン倒していきたいです」

──UFCに出るためにレコードを綺麗にするというよりも、強い相手に勝つことに意味を感じるわけですね。

「はい。格闘家なんで」

──ちなみに僕は堀江選手とダゲスタンの選手の試合はめちゃめちゃ見たかったです(笑)。

「実際どんなもんなんですかね? もちろんやっても自信はありますけど、僕がレスリング全開・フルで出せる相手とやったら面白い試合になると思います」

──今回のザイヌコフ戦は堀江選手がそういった試合に打って出る第一歩だと思うので楽しみにしています。

「日本からの応援よろしくお願いします。頑張ってきます!」


■視聴方法(予定)
10月23日(木・日本時間)
午前0時~UFC FIGHT PASS

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