【RIZIN51】扇久保博正戦へ、バトルサイボーグ=ガジャマトフの心境「優勝賞金で僕の人生を変える」
【写真】称えるのも、自信のある言葉を発する時も非常にフラットな語調。精神的にブレることがあるのだろうか……(C)MMAPLANET
28日(日)、名古屋市北区のIGアリーナで開催されるRIZIN51でRIZIN三戦目をフライ級GP準決勝で扇久保博正と戦うアリベク・ガジャマトフ。
text by Manabu Takashima
昨年11月の初来日、今年7月の2戦目とその攻撃的なスタイルと、格闘技本来の持つ強さで日本のファンの支持を集めつつあるガジャマトフは、総選挙では今回のGPで人生を変えるとアピールをした。
昨年度でロシアの平均年収は96万円ほど、彼が生まれ育ったダゲスタン共和国はロシアのなかでも5年ほど前までモスクワの1/3ほどしか収入がないというデータも見られる。優勝賞金2000万円は、日本でいえば1億円に相当する。つまり本当に人生を変えられる額。日本は彼にとって、黄金の国ジパングだった。
準決勝に残った4選手で最もハングリーで、最も戦闘意欲があり、誰よりも自信を持つガジャマトフに今回の試合に向けて話を訊いた。
対戦相手は誰でも構わなかった
――アリベク、約3週間後に名古屋でフライ級GP準決勝戦を扇久保選手と戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は4日に行われた)。
「今回のグランプリのような戦いは、他の大会で見たことがない。抽選会に投票と非常に興味深い経験ができた。投票のために日本まで行くことは、決して嬉しいことではなかった。ばかりかストレスに感じていた。特にマネージャーの帯同はなく、1人で日本に行かないといけなかったからね。
実は1人で国外に出たのは、初めてだったんだ。でも、あの場に行かないとファイトの機会を失くすかもしれなかった。特に僕だけ日本人じゃなかったからね。結果的に1人で日本に行き、僕が自分自身の歴史を話したことでファンの支持を集めることができた。
とにかく落選しなくて良かったよ。それに日本のファンの想いが伝わってきたことは本当に嬉しかった。皆がどれだけバトルサイボーグに期待してくれているのかが分かった。対戦相手はフライ級では年がいっている。日本のファンはストライカーが好きなことも分かった。そして、僕は常に最高の打撃戦ができる」
――投票まで誰か戦いたい特定の相手はいましたか。
「対戦相手は誰でも構わなかった。1回戦はそうではなかったけど、準決勝に残った他の3選手は揃ってグラップラーだからね。皆、特に変わらない」
――先ほど言われた総選挙でのスピーチで、「生まれ育った村に住んでいては、人生を変える機会はなかった」という言葉が凄く印象的でした。
「僕が生まれ育ったカラブダクケント村は、共和国の首都マハチカラから車で1時間ほど離れた山間にある。大きなビルもない。小さな家が並んでいて、人口だけは2万人もいるんだ」
――2万人、それは山間の村とは思えない多さですね。
※カラブタクケント村はカラブダクケント地域の中心地でダゲスタン共和国最大の農村集落。19世紀後半までタルコフ・シャムハラ国の一部だったカラブタフケント公国の首都だった
「そうなんだ。でも、でも都会じゃない。自然豊かという点では、良い場所だよ。何か人気のあるスポーツやマーシャルアーツがあるわけでなく、皆が何か名前をあげようと思うと僕が通っていた場所で散打のトレーニングをするしかなかった。
村には散打のチャンピオンが多かった。コーチのマゴメドカミル・マゴメドフはMMAでも5勝0敗のレコードを持つ散打ファイターだ。彼はパンクラチオンのカスピ海杯の決勝でヴガール・ケラモフに勝っているんだ」
――散打との出会いも人生で大きな意味があったのではないですか。
「散打は金にならないよ。ロシア選手権や欧州選手権に出るにも費用が掛かった。中国の大会はお金になることもあるけど、ダゲスタンでは散打の世界チャンピオンだらけで注目を集めることもできない。
※ガジャマトフは2017年のダゲスタン・ユース選手権で銅メダル。2018年は準優勝。2021年のロシア選手権で優勝。その4カ月後にACA Young EagleでMMAデビューを飾った。
でもRIZINは違う。僕はRIZINで活躍する唯一のダゲスタンのファイターだ。そして、このGPの優勝賞金で僕の人生を変えることができる。散打とは異次元の話だよ」
――ところでGP初戦では組みの展開でも強さを見せました。どれだけ手応えを感じましたか。
「まだまだ自分の良さは見せることはできていない。なんせ日本で戦ったのはまだ2度目で、減量で相当に疲弊していた。体調が凄く悪かった。だから今回は10日前にプーケットに入り、Lions MMA Clubで最終調整を行う予定なんだ。日本とは2時間しか時差がないからね。
マルシオ・セザール(ノヴァウニオンの黒帯で、パンクラスに来日経験あり)がコーチで、UFCやACAで戦っているダゲスタン人ファイターが常にトレーニングしている。チェチェン人選手もいるし、スパーリング・パートナーに欠かすことはない。次の試合は過去2試合とは違うコンディションで戦えるから、別人のようなパフォーマンスを見てもらえるだろう」
オウギクボは57キロで戦うには年を取り過ぎている
――あの試合ができてなお、次は別人のように戦えると……。では改めて扇久保選手の印象を教えてください。
「フィジカルが強くて、技術もある。レスリングが出来てパンチも強い。経験が豊富だから、精神力も強いだろう。強いファイターだよ。でも、打撃でもレスリングでもやり合える。良い試合になるはずだ」
――特に気になる攻撃はありますか。
「テイクダウンに入るためのプレッシャーかな。本当に経験豊富でファイトIQが高い。ただ、オウギクボは57キロで戦うには年を取り過ぎている。打撃もレスリングの僕の方が上だ。何より僕の方がずっと若い。一番の敵は減量であって、オウギクボじゃない。コンディションさえ良ければ、何も問題ない。それを28日の試合で証明する。
日本は僕にとってはホームのような空気だ。今は皆が僕のことを知ってくれている。また日本のファンに会えることが楽しみだ。絶対に皆をガッカリさせない。最高の試合を披露するよ」
――ではもう一つの準決勝は元谷友貴選手と神龍誠選手、どちらが勝ちあがってくると予想していますか。
「今は自分の試合だけに集中している。自分の試合しか興味がない。もう一つの準決勝がどうなろうが、どうでも良い。興味もない。ただ勝った相手に決勝で勝つだけだよ」
■視聴方法(予定)
9月28日(日)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN51対戦カード
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者]ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者]堀江圭功(日本)
<フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者]ビクター・コレスニック(ロシア)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
扇久保博正(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
元谷友貴(日本)
神龍誠(日本)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級Tリザーブマッチ/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
山本アーセン(日本)
<RIZIN WORLD GP2025ヘビー級T決勝/5分3R>
マレク・サモチュク(ポーランド)
アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
佐藤将光(日本)
ダニー・サバテロ(米国)
<バンタム級/5分3R>
梅野源治(日本)
芦澤竜誠(日本)
<フェザー級/5分3R>
高木凌(日本)
三宅輝砂(日本)
<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
芳賀ビラル海(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
ファン・イェーロウ(中国)
<フライ級/5分3R>
冨澤大智(日本)
平本丈(日本)
<フェザー級/5分3R>
大和哲也(日本)
奥山貴大(日本)
<100キロ契約/5分3R>
金田一孝介(日本)
チャートゥ・バンビロール(セネガル)
<ライト級/5分2R>
太田将吾(日本)
Street♡★Bob洸助(日本)
<バンタム級/5分2R>
山木麻弥(日本)
石坂空志(日本)
<フライ級/5分2R>
佐藤執斗(日本)
小林大介(日本)
<フェザー級/5分2R>
YUHEI(日本)
脇田仁(日本)