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【RIZIN51】ダニー・サバテロ戦へ、佐藤将光「自分が創ってきたMMAでみんなを驚かせたい」

【写真】MMAとして隙間産業を本職としてきた強みをサバテロにぶつけて欲しい(C)TAKUMI NAKAMURA

28日(日)に名古屋市北区のIGアリーナで開催されるRIZIN51にて、佐藤将光ダニー・サバテロと対戦する。
text by Takumi Nakamura

RIZIN参戦以降の佐藤は太田忍、井上直樹、牛久絢太郎と日本人選手との対戦が続いていたが、5月のRIZIN韓国大会ではキム・スーチョルと対戦。約13年ぶりの再戦に判定勝利すると、今大会ではサバテロとの国際戦が決まった。

意外にもこれまで北米ファイターとの対戦が少なかった佐藤はカード発表会見でATT所属のサバテロに対して「日本の小さいジムで自分達で創ってきたMMAをぶつけて勝つ」と語っていた。この発言の真意、佐藤が考える打倒北米MMAについて訊いた。


太田選手とやった試合を見て、打撃ができるとは思わなかったです

――5月のRIZIN韓国大会ではキム・スーチョルをKO寸前まで追い込んでの判定勝利でした。あの試合はイメージ通りに戦うことが出来た試合だったのですか。

「概ねイメージ通りに創れたかなというところですね。対策したことがハマった感じはしました。ただ最初思ったよりもスーチョルが来なかったんですよね。それでちょっと違うなと感じたのですが、後半は出てきてくれて、最終的には上手く創れたかなとは思います」

――直近の試合では「怖さを見せる」、「殺しを見せる」ことをテーマに掲げていましたが、そこは自分でも出せたと感じていますか。

「フィニッシュしたかったというのはありますけど、惜しい場面は創れたかなと。効かせる場面が2、3回はあったし、ヒジでカットもできたし。ただもっと決定的な場面を創ることができれば良かったとは思いましたね」

――RIZIN参戦以降は井上直樹選手に敗れたのみ、4戦して3勝1敗。現在は2連勝中です。今の連勝で掴んだ手応えはありますか。

「トータルの技術が上がってきて、ある程度どこでも戦えるというのがあるので、落ち着いて試合ができていると思います。例えば自分はストライカーだったら絶対に倒されちゃいけない、みたいなことが僕にはないので、結構自由に試合で表現できるというか、そこが面白いかなと感じています」

――RIZINでは定期的に試合が組まれていて、そこで感覚が磨かれている部分もありますか。

「磨かれている……早めにオファーをもらえると準備に時間を使えるし、僕は試合に向けて結構創るタイプなので、そこはすごくありがたいなと思います」

――そして今大会はダニー・サバテロと対戦することとなりました。サバテロとの対戦は意識していましたか。

「サバテロがRIZINに出るようになって、やる相手の1人という感じでは見ていました」

――自分が対戦する相手として、どのような印象を持っていますか。

「MMAレスリングの選手だな、と。ひたすら組んで、テイクダウンして、コントロールして。結構技は雑なんですけどスクランブルが強いので、それで上を取ったりポジションでコントロールしながら削ってくる印象です」

――いい意味でごちゃごちゃと動きますよね。

「その雑さが強みになっていますよね。逆に丁寧に来てくれた方がやりやすいかもしれないです」

――また前回の太田忍戦ではレスリングの攻防ではなくストライキングで太田選手を追い込んでいました。あれは意外な部分もあったのですが、佐藤選手はサバテロのストライキングをどう見ていますか。

「ストライキングに関してはそんなに、ですね。太田選手とやった試合を見て、打撃ができるとは思わなかったですし、僕の中ではイメージ通りの印象でした。あの試合は単純に太田選手と手を合わせてみて、ストライキングを選択した感じだったと思うんですよ。あくまでサバテロはレスラーで、ほとんどの試合はテイクダウン・トップコントロール・スクランブルで創るタイプ。

ただ太田戦は太田選手のレスリング力がめちゃくちゃ強くて、サバテロも一度テイクダウンのアタックをして、それを切られている。それで打撃をやってみたら打撃でいけたので、戦い方をシフトしたような気がします。実際のところはサバテロ本人じゃないと分からないですけどね」

――攻略のイメージを創るという部分で、今回も仮想サバテロのような相手を用意して練習しているのですか。

「別のジムからレスリング出身でアマ修に出ている選手を呼んでやっていますね。もちろん自分のジムの子たちにも付き合ってもらったり、あとはグランドスラムの髙城(光弘)ですね。彼は選手のことを研究するのが上手いし、普通に強いんですよ。今回もまた髙城に手伝ってもらおうと思います」

――スーチョル戦の前にも仮想スーチョルになってくれた髙城選手ですね。

「彼は相手の映像をすごく研究してくれているし、僕のことも理解してくれているんで、こうじゃないですかね?という的確なアドバイスをくれます。ただ背格好がサバテロとはちょっと違うので、そこはレスリングの子たちに付き合ってもらう感じですね」

――そういった練習を重ねて、佐藤選手の中ではサバテロに勝つイメージやシミュレーションはかなり出来上がっていますか。

「おそらくこうなるだろうなというのはイメージがついています。あとはそのシチュエーションになった時、例えばサバテロに組まれた時にどれだけテイクダウンが強いか、上を取られた時にどれだけコントロール力があるか、僕の下からのディフェンスに対してどんな対応があるのか……そこは実際に肌を合わせないと分からないじゃないですか。だから試合のイメージはある程度は固まりつつ、その上でいざやってみたらどんなもんかなっていう感じですね」

世界における自分の立ち位置が分かる相手とやりたいという気持ちもあった

――取材前に佐藤選手の戦績を振り返ってみて、意外に北米の強豪選手とは対戦経験が少ないんですよね。

「そうなんですよ。修斗時代にUFCをリリースされたあとのルーベン・デュランとやったことがあるぐらいですね」

――そういう意味では、サバテロのようなレスリングベースでスクランブルが強い“ザ・米国ンスタイル”のような相手と戦うことは楽しみでもありますか。

「RIZINに来る前からそういう相手、世界における自分の立ち位置が分かる相手とやりたいという気持ちもあったんで、楽しみは楽しみですね」

――またカード発表記者会見での佐藤選手の「(サバテロはATTの選手で)日本の小さいジムで自分達で創ってきたMMAをぶつけて勝つ」という言葉も印象的でした。この試合はそこの戦いも意識されているのですか。

「僕は自分たちでやってきたプライドがあるから、それがどこまで通用するかを証明したいし、日本の小さいジムでも、ちゃんと考えてやっていけば通用するんだということも言いたいです。やっぱりみんなUFCで戦うなら北米に行って練習しないといけないという感じがあると思うんですけど、それはそれで簡単な方法というか。

(UFCは)米国でやっているもので、米国人がほとんどを占めていて、それだったら米国に行く方が(早い)。そこをあえてというか、僕がただ単にそういう環境を創れなかったというのもあるんですけど、ここでもできることを見せたいですね。テレビゲームで、あえてこのキャラクターとこの装備で勝つことにこだわる、みたいな。僕はそれができると思っているし、日本でも十分世界に通じる選手を作ることもできると思っています」

――それこそ佐藤選手のジムの名前は「FightBase」じゃないですか。自分の道場にベースがあるという意味があると思うので、それを考えるとよりサバテロ戦が楽しみになります。

「そうですね。僕自身が自分の道場で培ったもので勝つ、それをサバテロ相手に証明して、ジムのみんなにもここから世界に行けるんだと思ってもらいたいです」

――佐藤選手自身もサバテロに勝てば世界的な評価も上がると思いますし、RIZINでのタイトル戦も見えてくると思います。

「今後のことは…本当に考えてないです。ここで勝ったらタイトルマッチもあるのかなとは思いますけど、別にそこはそんなに意識してないというか。基本はやっぱり一試合一試合をしっかり考える、ですね。試合が決まっていない時期だったら多少は先のことを考えるかもしれないですけど、今は試合も決まっているし、そこにウェイトは置いていない。とにかく僕は強い選手と最高の舞台で戦うことをずっと続けたくて、そのためにも勝ち続けないといけない。だから先を見ているというのはそんなにないですね。ただただ今を楽しんで。その先もそれで楽しんでいけたらいいなっていう感じです」

――佐藤選手とサバテロの試合を楽しみにしている多くのファンにメッセージをいただけますか。

「自分が創ってきたMMAでみんなを驚かせたいですね。サバテロ相手に自分のテクニック見せることで、日本のMMAが北米のトップどころに通用することを分からせたいし、みんなにそれを感じてもらいたいので、試合でそう思ってもらえる場面を創れたらいいなと思います」

■視聴方法(予定)
9月28日(日)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN51対戦カード

<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者]ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者]堀江圭功(日本)

<フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者]ビクター・コレスニック(ロシア)

<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
扇久保博正(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
元谷友貴(日本)
神龍誠(日本)

<RIZIN WORLD GP2025フライ級Tリザーブマッチ/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
山本アーセン(日本)

<RIZIN WORLD GP2025ヘビー級T決勝/5分3R>
マレク・サモチュク(ポーランド)
アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
佐藤将光(日本)
ダニー・サバテロ(米国)

<バンタム級/5分3R>
梅野源治(日本)
芦澤竜誠(日本)

<フェザー級/5分3R>
高木凌(日本)
三宅輝砂(日本)

<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
ファン・イェーロウ(中国)

<フライ級/5分3R>
冨澤大智(日本)
平本丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
大和哲也(日本)
奥山貴大(日本)

<100キロ契約/5分3R>
金田一孝介(日本)
チャートゥ・バンビロール(セネガル)

<ライト級/5分2R>
太田将吾(日本)
Street♡★Bob洸助(日本)

<バンタム級/5分2R>
山木麻弥(日本)
石坂空志(日本)

<フライ級/5分2R>
佐藤執斗(日本)
小林大介(日本)

<フェザー級/5分2R>
YUHEI(日本)
脇田仁(日本)

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