この星の格闘技を追いかける

【Shooto2025#06】インフィニティリーグ2戦目へ、erika「いずれは強い一発を効かせられるように」

【写真】5月の村上戦は、とにかくコーナーの松根良太氏の声を聞いて動けていた印象が強い (C)TAKUMI NAKAMURA

21日(月・祝)東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2025#06で、erikaがインフィニティリーグの第2戦で嶋屋澪と対戦する。
text by Takumi Nakamura

erikaはキックボクシングでの活躍を経て、2024年に全日本アマ修斗を制して同年12月に修斗でプロMMAデビューした。今年の女子スーパーアトム級のインフィニティリーグにエントリーすると、5月のリーグ初戦で元DEEP JEWELSミクロ級王者の村上彩と対戦。MMAキャリアでは圧倒的に差がある村上に対し、村上の寝技を凌いで得意の打撃を当てる試合運びで見事な勝利を収めた。

キックで培った打撃を活かしながらも「いい意味でキックボクサーだった頃の概念は一度捨ててMMAをやるようにしている」と語るerika。今大会ではストライカータイプの嶋屋と対戦することとなり、グラップラー=村上との一戦とは違う形でMMAファイターとしての成長が試される試合となった。


――5月のニューピアホール大会=インフィニティリーグの第一戦では優勝候補の村上彩選手から判定勝利を収めました。あの試合を振り返っていただけますか。

「予想していた通り、寝技×打撃みたいな感じの試合になって、組ませないで打撃を当てる練習はしていました。ただ村上選手はグラウンドで下になっても一本を取りくるスタイルで、どちかというとTHE BLACKBELT JAPANはみんな綺麗にレスリング的なダブルレッグやシングルレッグでテイクダウンして上から攻めるスタイルなんですよ。だから村上選手の下から足を取ってくるようなスタイルはすごくやりづらくて、ちょっと苦戦しちゃいましたね」

――試合中にやりづらさを感じていたのですか。

「めっちゃ寝技で攻めてくる!みたいな感じで、心折れずに歯を食いしばって頑張りました」

――試合を通して見れば完全にトップキープを許さず、打撃の距離を保ち続けて戦っていたように思います。全体的にerika選手がやりたい試合が出来たのではないですか。

「テイクダウンや下からの仕掛けを切った後にしっかり殴るとか、そういう部分は徹底してできたので良かったと思います。ただ最後まで倒しきるとか、相手もへばっていたのに相手の寝技を警戒しちゃって、最後までいけなかったところは自分の力不足だと思いました」

――村上選手は寝技の一発がある選手なので、最後まで気を抜くことは出来なかったですか。

「そうです。特に寝技の選手はパワーじゃなくて柔らかく動いて関節技を取るイメージだったので、そこには最後まで警戒しながら戦っていました。でもやっぱり倒せなかったのは悔しいですね」

――erika選手はキックの実績があったとはいえ、MMAのキャリア2戦目で村上選手と対戦するというのは飛び級といってもいいマッチメイクです。試合前に不安はなかったですか。

「インフィニティリーグに出場が決まって、第1戦目の相手が村上選手と聞いた時、うちのジムはみんな寝技が好きなので『いきなり村上選手とやるの?』みたいな反応で、その反応を見て『私、やばいじゃん』と思いました(苦笑)。でも絶対に負けたくなかったし、不安を抱えながらも必死に練習しました」

――村上選手に勝ったことで自信になったもの、手応えを感じたものはなんですか。

「例えばグラウンドで上を取って殴るとか、そういう展開は普段のスパーリングでは絶対にやらせてもらえないんですよ。私はいつも下になってもがいているので(苦笑)。ただ今回の試合では意外とグラウンドで殴ることが出来たというか。意外とこういう場面でも殴ることができるんだみたいなことが分かったし、綺麗に当てられていたかどうかは分からないですが、ある程度は(グラウンドで)殴れていたと思います」

――練習では全力でパウンドを打つことは出来ないので、試合でパウンドの感覚を掴むことが出来たわけですね。

「はい。シチュエーション練習で、グラウンドで上を取ったところから殴る展開はやるんですけど、言ってもマススパーくらいの強度なので、改めてどんな殴り方が効くのかとか、そういう部分を自分の中ではっきりしなきゃいけない、練習しなきゃいけない…そういう反省点がすごくはっきりして良かったです。自分がもっとやるべきことを明確にして試合に挑みたいと思って、収穫と反省点が両方あった試合でした」

――アマチュア修斗の試合からerika選手のMMAの試合を見ていますが、着実にMMAファイターとして成長している印象があります。

「それが目標なので、そう言ってもらえて嬉しいです」

――そこについてはキックボクサーとしてMMAにチャレンジするという感覚ではなく、MMAファイターとしてMMAに取り組んでいるという感覚ですか。

「まさにそうですね。MMAを始めた時点で0からのスタートというイメージで練習していますし、打撃に関してはキックをやっていた分、ちょっとは(アドバンテージがある)という部分もあるんですけど、打撃でもキックの距離ではなくてしっかりMMAの距離で戦う、MMAのテクニックを学ぶことを意識していますね。いい意味でキックボクサーだった頃の概念は一度捨てて、MMAをやるようにしています」

――例えばMMAではスタンドの打撃のコンビネーションは打っても3発までで、打撃のスタイルそのものも大きく違います。打撃もMMA用にかなり変えたのですか。

「キックの時代はどちらかと言うと相手を押し込む攻撃も混ぜたりしていたんですけど、MMAではあまり使わなくなりましたね。そういう打撃は相手に組まれてテイクダウンされるリスクが大きいし、自分が不利になることが多かったので。あとはパンチの連打もそうですし、蹴りも蹴りすぎたらダメみたいなことにも気づきました。あとは(平良)達郎選手がお兄ちゃんと米国から持って帰ってきた技術や練習もあって、自分としてはそれがすごく新鮮で大きな学びにもなっています。試合ではまだそこまで出せていないんですけど、スパーリングでは試してみたり、少しずつ自分の戦い方に取り入れるようにしています」

――erika選手はキックの中でもムエタイベースなので足を使って戦うやステップを使うというスタイルではなかったですよね。

「そうなんですよ。相手の打撃をもらっても打ち返してぶちのめすみたいなスタイルだったんで、それを考えると打撃のスタイルも全く変えていますね。パンチ一発一発を雑に打つのではなく、しっかり打つ。そして相手の攻撃をもらわない・組まれないように、常に自分が優位に立って打撃を当てる。そういうことを常に考えながらやっていますね」

――MMAグローブの方がパンチを当てやすい・効かせやすいという感覚はありますか。

「MMAグローブの方がパンチを当てられるイメージはあるんですけど……試合ではいいパンチを当てられていないので、自信を持ってそうとも言えないところがあります(苦笑)。そこも探り探り練習中なので、いずれはしっかりパンチを当てて強い一発を効かせられるようにしたいです。そういうところも自分にとっては伸びしろだと思っています」

――さてリーグ第2戦では嶋屋澪選手と対戦します。嶋屋選手の印象は?

「サウスポーのストライカーという印象です。それこそキックボクシングのような攻防が多くなるかもしれませんが、しっかりMMAの戦い方をできたらいいなと思います。もしかしたら相手は打撃で真っ向勝負せずに組んでくるかもしれませんが、そういう展開になることも想定しながら練習を続けています。私は打撃出身のMMAファイターとして、MMAで相手を上回って勝ちたいです」

――今年はリーグ戦を戦っていくことになりますが、リーグ戦での目標を改めて聞かせてもらえますか。

「1戦目で勝つことは出来たんですけど、判定勝ち=2点しかもらえなかったので、一戦一戦成長しながら勝ち点も多くもらう。全勝は当たり前で、得点も伸ばして優勝したいです。そして50キロ(スーパーアトム級)の女子選手みんなを驚かせたいですね」

PR
PR

関連記事

Movie