Overlooked【LFA205】上久保の標的、いや一里塚=新LFAバンタム級王者はヴィニシウス・ピレスに!!
【写真】当然のようにダナ・ホワイトとショーン・シェルビーへのアピールを行った新チャンピオン(C)LFA
スケジュールの都合により速報できなかった試合をお伝えする──帳尻合わせ試合レポート。ここでは3月28日(金・現地時間)にブラジルの首都ブラジリアのASBACブラジリアで開催されたLFA205「Pires vs Abojer」からLFAバンタム級王座決定戦=ヴィニシウス・ピレス✕リオネル・アボイェルの一戦の模様をレポートしたい。
Text by Manabu Takashima
前王者ジョン・スウィーニーが、昨年7月の王座防衛戦で計量に失敗して剥奪されたベルトの新しい主が生まれる。ピレスはLFAで4勝0敗1NC、三角絞めやアッパーでKOなどインパクトも残してきた。競技柔術的なガードワークもMMAにアップグレードし、デラヒーバやXガードを使うテクニシャン=ピレスに対し、アボイェルは昨年7月のLFA187で実施されたブラジル✕ラテンアメリカの対抗戦で、唯一ラテンアメリカ側で白星を挙げたアルゼンチン人ファイターだ。南米スポーツ界にあって最大のライバル関係といっても過言でないブラジル✕アルゼンチンというマッチアップ。ブラジリアンはホームのプレッシャーに決して強くないという一面もあるなかで、ともに極めの強さが武器。フィニッシュ必至のタイトル戦だ。
<LFAバンタム級王座決定戦/5分5R>
ヴィニシウス・ピレス(ブラジル)
Def.3R2分44秒by RNC
リオネル・アボイェル(アルゼンチン)
満員の館内からブーイングも起こったアボイェルの入場。対して、ピレスは大声援で迎えられる。サウスポーのピレスの左ハイは空を切る、。左を振って前に出るピレスに対し、アボイェルがインローを蹴る。ジャブから左フックで前に出たアボイェルが組んでクリンチも、ヒザが急所に入り分けられる。互いに構えを変え、再びアボイェルがパンチから組んでいくが逆にケージに押し込まれる。ピレスは両ワキを差し、ヒザをボディ入れる。やがて小外掛けでピレスがテイクダウンを決めた。
すぐに立ち上がったアボイェルにピレスはヒザを入れ、ケージに押し込んだ状態でダブルレッグからクリンチの攻防に。小外、足払いと仕掛けるピレス。アボイェルはケージを背負って耐え、ブレイクが命じられた。ピレスは右を当てて即組みつくと、ケージ際でクリンチの攻防から小外で2度目のテイクダウンに成功する。残り20秒、ワキをすくって背中をつかせ、小手で立ち上がろうとしたアボイェルを後方から殴ったピレスが初回をリードした。
2R、パンチもなくボディロックに取ったピレスが、ケージにアボイェルを押し込む。ここもブレイクになり、再開後はパンチの交換のなかでアボイェルが左を当てる。すぐにピレスがクリンチに持ち込むと、アボイェルがダブル狙いに飛びつき三角を仕掛ける。頭を抜いてパスしたピレスに対し、アボイェルは足関節の機会を伺う。さらにハーフガードで潜ろうとしたアボイェルにダースの仕草を見せたピレスだが、レッスルアップからリバーサルを許す。
ピレスのギロチンにヴァンフルーのアボイェル。ピレスはクローズドを取るや、腰を切って腕十字へ。ヒジを抜いたアボイェルが担ぎパス、マウント狙いのタイミングで、ピレスは外掛けストレートフック。さらに自らロールして、カーフスライサーに移行する。反転したアボイェルは結果として50/50を潰して、不安定な状態でもパウンドを落として時間を迎えた。
3R、ワンツーからシングルのアボイェルが、ボディロックへ。ピレスは立ち上がり、ウィザーで投げ&バック狙いを耐える。アボイェルが正対するも、両ワキを差したピレスが体を入れ替える。両差しにアゴを押して、スペースを創ろうとするアボイェル。またもレフェリーがブレイクを命じるが、直後にピレスが組んでクリンチへ。アボイェルは内股を狙い、頭が下がる。
その刹那、ギロチンをセットしたピレスががぶってケージ中央へ。ここから後方回転&ギロチンも、アボイェルが前転で頭を抜く。同時にバックを制したピレスがワンフックでRNCをセット。ボディトライアングルで制すと、アボイェルが落ちピレスがLFAバンタム級チャンピオンに。
キャリア11勝1敗、6年間負けなしの24歳のチャンピンの目標は王座防衛でなくUFCやコンテンダーシリーズとなるだろうが、上久保周哉としては手の合う王者が誕生としたといっても過言でないだろう。