【Breakthrough Combat03】中島太一に腕十字、未知すぎ大脇征吾「柔術はやっていないです。道着はもう」
【写真】試合開始直前の大脇。やはり緊張よりも、ワクワク感が伝わってくる (C)MMAPLANET
26日(水)に開催されたBreakthrough Combat03で中島太一とProgressルールで戦い、腕十字で一本勝ちした大脇征吾をイベント終了後にインタビュー。
Text by Manabu Takashima
正直、今大会に出場する選手のなかで最も名前の実績もなかった。しかし、彼と触れた選手は口を揃えて「強い」と言い、練習では伊藤盛一郎や田中路教を極めるという話が伝わってきた。さらに大会当日になると同大会の解説者を務めた中村倫也が「リストと取られると、外せない」と発言し、ミドル級キング・オブ・パンクラシスト内藤由良まで「取られる」という話が伝わるようになる。
果たして大脇は中島を相手、引き込みからチョイバーで中島の左腕を早々に伸ばしてしまった。力強い極めを見せた大脇をイベント終了後にインタビューすると、その堂々たるファイトぶりとは正反対のソフト過ぎる──受け答えを聞き取ることも困難になりがちな──素顔が垣間見られた。
――グランドスラムの勝村代表、そして内藤由良選手、さらに中村倫也選手らから「強い」という声が試合前から届き、凄く幻想が膨らんでいました。計量で大脇選手がどのような空気を発しているのか確認させていただきたかったのですが、残念ながら当日計量で試合までその佇まいも分からないままでした。
「計量の記事とかがあって、『あぁ行きたかなかったなぁ』っていう気持ちはありました。試合が近づくほど、皆が幻想を膨らませてくれて、少しプレッシャーになっていました。ただプレッシャーはあったのですが、自分でエントリーして試合をするよりもワクワクというか……。評価してもらえるところで戦えることが嬉しかったです。なのでプレッシャーよりも、やる気が勝っていました」
──では、実際に試合で中島選手と組んだ時の手応えはいかがでしたか。
「最初のコンタクトでいけそうだなって思いました。壁に押し込まれて、頭を抱えてリストを取ったときに『いけそうだ』と」
──立ちで組んで、寝技でも行けると思えるのですか。
「ハイ。感覚で……なんとなく(笑)」
──組んで、怖さがなかったということでしょうか。
「ハイ」
──下になりZハーフからチョイバー、そして腕十字と鮮やかな一本でした。あれは得意パターンなのですか。
「得意技です、ハイ。もう、あそこまで行ったらやることは決まっています」
──柔道がベースということですが、力強い寝技でした。柔道時代から、極めが得意だったのでしょうか。なかなか柔道では寝技の展開は続けるのは困難ではあるのですが。
「ハイ、ただ練習だと寝技で乱取りとかあるじゃないですか。だいたい立ち技の乱取りよりも、寝技の乱取りの方が好きでした。抑え込むよりも関節技だったり、三角絞め……絞めたりするほうが好きでした」
──では柔道から柔術、そしてグラップリングに?
「柔術はやっていないです。道着はもう、いいかなって(笑)。今もあまり着たことがないです。道着は疲れます。柔術をちょっとやっても、グラップリングの方が楽だったというか」
──なんと!! 柔術の帯も持っていないということですか。
「柔術の帯は持っていないですが、柔道をやっていたことで青帯スタートで大会には出ることができます」
──なるほどです。ところで練習仲間が口を揃えて「力がある」と言っているわけですが、それは握力が強いということなのでしょうか。
「う~ん、いやチョット分からないです」
──ハハハハ。国内トップクラスのMMAファイターを極めた力強さから、対照的なソフトな口調が続きますね(笑)。この勝ちを今後は、どのようにつなげたいと思っていますか。
「今回、MMAの選手が相手で。たまたまに下になって取れたんですけど、最初から立ちが得意じゃないって言っていて(笑)。自分からテイクダウンにいくとか苦手なんで……そういうところが、メインの試合(須藤拓真✕竹内稔のProgressフェザー級王座決定戦)でも『極めにいくだろう』と言われていたじゃないですか。でも、1Rとかポイントゲームができる。極めもあるし、ちゃんとテイクダウンに行って上から攻めることができる一流の選手は違うなぁって思って。そういうところもできるようになれたらなって、思います」
──ではProgressという場も含めて、どのような場で戦っていきたいと思っていますか。
「明確はビジョンとかは思い浮かんでいないのですが、話がいただけるなら積極的に出たいと思います」