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【RIZIN LANDMARK12】中島太一戦へ、後藤丈治「今の自分と対峙して、中島選手がどう感じるのか楽しみ」

【写真】非常に自己分析ができる選手 (C)TAKUMI NAKAMURA

11月3日(月・祝)に神戸市中央区のジーライオンアリーナ神戸で開催されるRIZIN LANDMARK12にて、後藤丈治中島太一と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年5月にONE Friday Fightsでイリアス・エジエフ戦、12月にDEEPでマンド・グティエレス戦に敗れて連敗を喫していた後藤。国際戦での2連敗は己のファイトスタイルを見つめなおすきっかけとなり、それが今年3月のパンクラスでの合島大樹戦、6月のRIZIN札幌大会での鹿志村仁之介戦の勝利につながった。

今回の中島戦はRIZINバンタム級において、自分の立ち位置がどこかをはっきりさせる戦い。中島戦の勝利を手土産に後藤はタイトル戦線への浮上を目論んでいる。


実績や経験で言うと全然中島選手の方が上だ

――今大会では中島太一選手と対戦が決まりましたが、オファーを受けた時はどのような心境でしたか。

「LINEで中島戦の話をもらったんですけど、多分1秒ぐらいで『やります』と即答しました(笑)」

――後藤選手と中島選手は同じバンタム級で戦ってきた選手ですが、同じイベントに出ることは少なかったですよね。対戦相手として意識したことはあったのですか。

「今まで特に意識したことはなかったですね。出ている団体的にも絡みそうで絡まなかったというところもあるし、実績や経験で言うと全然中島選手の方が上だと思っているんで、そこを超えるチャンスがいただけたのはありがたいなと思います」

――後藤選手のキャリア的にも、自分よりも上に見られている日本人選手と戦いたいという想いはありましたか。

「はい。周りの予想や期待を超える試合をしたいなという気持ちです」

――前回6月のRIZIN札幌大会の鹿志村仁之介戦も振り返っていただきたいのですが、試合結果と試合内容の自己評価は?

「もちろん良かったところもあったし、フィニッシュしきれなかったという課題もありました。それこそ試合が終わってケージから控え室まで戻っている間に長南(亮)さんから色々とアドバイスをもらいましたし、控え室でもすぐに反省会をやりました。次に向けた動きができたので、自分のキャリアにとって必要な試合だったかなと思います」

――鹿志村選手はサブミッションの一発がある選手なので最後まで気が抜けない相手でしたよね。

「はい。例えば腹が効いたシーンや頭が効いたシーンもあったんですけど、対峙していて目が死んでいない感じがしたんですよね。僕も今まで何度かKO勝ちしていて、相手の目が死んでいると思ったら倒しに行くんですけど、鹿志村選手は死んでいない感覚がありました。そこで行けなかったのか、行かなかったのか分からないですけど……結果的に行けなかった部分はありました」

――フィニッシュはできなかったものの、鹿志村選手の組み技・寝技にも対処して勝利した試合だったと思います。後藤選手の中で組み技主体の選手の攻略法は出来上がりつつありますか。

「ありますね。組ませない戦い方もそうですし、今自分も組み技にはかなり力を入れてやっているので、自分から組む動きも試合で出していきたいと思っています」

――RIZINを見ているファンからすると後藤選手=ツイスターの印象が強いと思いますが、鹿志村戦ではMMAの距離感や打撃のバリエーションを見せていました。そこは普段から意識しているのですか。

「距離感もそうですし、立ち位置だったり、ほんとに基本的な細かいところは逆にすごく大事にしてやっています」

――昨年12月にDEEPでグティエレス戦の判定負け。あの敗戦を経験したことで戦い方がより繊細になった印象があるのですが、ご自身ではいかがですか。

「グティエレス戦やイリアス・エジエフ戦までの自分は力まない攻撃を当てたり、気づいたら相手が倒れているという試合が多かったんですけど、その2試合はそういうわけにはいかなくて。海外の選手たちと戦っていくうえで気づいたら倒れている感覚では通用しないんだなと思ったし、海外の選手と戦うというのはこういうことなんだなと思いました。それがきっかけで変わった感覚がありますね」

――日本人相手だったら競り勝てる局面で外国人相手になると競り負ける、打撃を効かせられる場面で耐えられる。そういう部分もあったのかなと。

「多分今から僕が彼ら(海外勢)を上回るフィジカルを身につけることは、自分の残りのキャリアをかけても間に合わないと思うんですよね。そこでどうしたらいいのかをずっと考えていたら、細かい打撃の精度を上げたり、細かい部分の工夫が必要だということに辿り着いた感じですね」

――なるほど。それで今年3月の合島大樹戦と鹿志村戦は後藤選手が試合を作っている印象がしたのですね。

「あの連敗、そのあとの合島戦・鹿志村戦の2連勝で得たものは大きかったですね。この2試合は今言っていただいた通り“自分で試合を作る”ことを意識してやっていたので、そこに気づいてもらえてうれしいです」

――自分の見立てが外れてなくてよかったです(笑)。さて今回の中島選手は、もしRIZINにバンタム級ランキングがあれば後藤選手より上位にいる選手だと思います。対戦相手としての印象を聞かせてください。

「全部できる、トータルにできる選手という印象ですね。打撃で倒せるものを持っていて組み力もあるし、試合によってはしつこく組みもできたりするので、そういう部分でも強さがある選手だと思っています。試合が発表されてから時間もあるので、長南さんたちと細かい部分を練っていきたいと思います。あと中島選手には青木(真也)さんがセコンドにつくと思うんですけど、実は僕も上京してTRIBE(TOKYO MMA)に入門してから、毎週TRIBEで青木さんのパーソナルを受けていたんですよ。

それで銭湯にも一緒に連れていってもらったり。今回はその青木さんが中島選手のセコンドにいて、自分のことを知り尽くしている青木さんだからこそ、中島選手にアドバイスしそうなことや戦略の立て方は逆に分かるんですよ。それも踏まえて戦略を考えたいと思っています」

TRIBEの血をひく安藤(達也)選手と戦いたい気持ちも

――中島選手に勝ってRIZINのタイトル戦線に絡んでいきたいですか。

「もちろん中島選手に勝ってタイトル戦線に食い込んでいきたい気持ちはあります。おそらく大晦日に井上直樹選手のタイトルマッチが組まれると思うので、挑戦者が怪我かなにかで欠場になった時に、いつでも『俺がいるよ!』と名乗り出られる準備はしておきたいと思います。あと同じTRIBEの血をひく安藤(達也)選手と戦いたい気持ちもありますね」

――安藤選手とはTRIBEで一緒だった時期もあるのですか。

「いえ、僕がTRIBEに入った時には安藤選手はジムを辞めていたので所属がかぶっていたことはないです。TRIBEを辞めた安藤さんとTRIBEで格闘技を続けている自分が戦うことになったら、すごくストーリー性がある試合になると思います」

――中島選手に勝てば周囲の評価も変わると思いますし、より高みを目指していけることになると思います。

「それもありますし、中島選手は海外で経験・実績を積んでパンクラスでチャンピオンになっている。何でもできる選手じゃないですか。中島戦は自分を強くするためにも必要な試合だと思っているので、そういった意味でもすごくいい試合を組んでもらったと思っています」

――ファイトスタイル的にも大崩れしない・穴が少ない中島選手という実力者が相手だからこそ、ここを乗り越えることが出来たら大きいですね。

「そうですね。ただ今の自分と対峙して、中島選手がどう感じるのかは楽しみなところではあります。そのくらいいいものを創れている自信があるので、みなさんも楽しみにしていてください」


■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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