【KNOCK OUT】カルロス・モタと無制限キック戦で対戦。栗秋祥梧「MMAグローブはコツコツ効かせる」
【写真】MMAグローブで練習することで打撃の世界が広がる。栗秋がキックボクサーならではの視点でUNLIMITEDルールを語ってくれた(C)NAKAMURA TAKUMI
30日(月)、KNOCK OUTが横浜市中区の横浜武道館で開催するK.O CLIMAX 2024で、栗秋祥梧が2度目のUNLIMITEDルールに挑戦。元UFCファイターかつ元LFAフライ級チャンピオンのカルロス・モタを迎え撃つ。
Text Takumi Nakamura
立ち格闘技イベント=KNOCK OUTが導入したUNLIMITEDルールはMMAグローブ着用&3分3R、サッカーボールキック、踏みつけ、テイクダウン&パウンドが認められたキックボクシング無制限ルール。6月のKNOCK OUT代々木大会でこのルールに抜擢されたのが栗秋だった。
以前から身体能力の高さには定評があり、UNLIMITEDルールに向いているのではないかと言われていた栗秋。中村優作との一戦では中村のテイクダウンを切り、カウンターの左フック一発で中村をマットに沈め、UNLIMITEDルールでのポテンシャルの高さを見せつけた。そして今大会ではMMAファイターとしての実績も十分なモタと対戦。今後のMMA挑戦も見据える栗秋はこの一戦でどんなパフォーマンスを見せるか。
――今回が2度目のUNLIMITEDルールとなる栗秋選手です。公開練習時のインタビューで「MMA自体は結構好きで見ていた」と言っていましたね。
「MMAは好きですよ。選手のことは細かく分からないですけど、MMA自体には興味があってめっちゃ見てました。練習仲間でMMAをやってる選手もいるし、その選手の応援だったりでDEEPとかも何回か見に行ったりしています。MMAは面白いですよね」
――今年6月にUNLIMITEDルールに初挑戦しましたが、MMAをやってみたいという気持ちは昔からあったのですか。
「立ち技でちゃんと結果を残すまではそんなことなかったんですけど、KNOCK OUTのベルトを取って、一瞬でMMAもやってみたいと思いました」
――それは制限の少ないルールで戦ってみたかったからですか。
「そうですね。そうしたらUNLIMITEDルールが始まって、UNLIMITEDルールいいじゃん!と思いました。もしMMAにチャレンジするにしても自分は寝技が全然なんで、UNLIMITEDルールをやりつつ、寝技の練習も続けて徐々に徐々に(MMAに向けて)準備しようと思っています」
――MMAの練習を始めたのはUNLIMITEDルールの試合が決まってからですか。
「はい。組み技に関しては一般会員さんもいるクラスにも参加して…って感じで」
――6月の試合では中村選手のテイクダウンを切って、組みにも対応できるところを見せましたが、組みにも向いていると感じることはありますか。
「最初は『組みでもいけんじゃね?』と思っていたんですけど、本格的にMMAの練習を始めてからは、立ちからスタートしてるのに気づいたら寝かされて極められて……の繰り返しで、1回自信をなくしたんです。『俺(MMAには)向いてない』みたいな。でも自分のキャリアを振り返ると立ち技でも納得いかないことも多かったし、いろいろと失敗を重ねてきたんで、人に見られてないうちに、いっぱい失敗しておこうという考えに変わりました」
――もちろん一番はスタンドの打撃でフィニッシュすることが理想だと思うのですが、チャンスがあったらテイクダウンしてグラウンドの打撃で勝つこともイメージしていますか。
「そうですね。逆に最近はそういう練習をメインにやっていて。自分もある程度は立ちの打撃は出来るんで、そこから自分がタックルに入ったり、相手のタックルを切ったり、そういう練習を主にやっています」
――栗秋選手の話を聞いていても、MMAへの挑戦を考えているキックボクサーにとってUNLIMITEDルールはベストなルールですね。寝技を習得する前段階のMMAの動きを覚えられるというか。
「本当そうです。立ちに関しても距離感が全然違うから、そこもすごく勉強になるんですよね。特に中村選手は日本拳法出身で距離が独特じゃないですか。他のMMAファイターよりも、さらに遠く感じるというか」
――UNLIMITEDルールでいきなり中村選手が相手となると、それまで戦ってきたキックルールとは距離感が全く違うでしょうね。
「逆に言うと他の選手たちはまだまだ近い距離でやっているのかなと思いますよね。(MMAやUNLIMITEDルールだったら)そういう遠い距離でやるのもありなんじゃないかなって思うし、そこは色んなパターンを想定しながら練習しています」
――UNLIMITEDルールをやったことで、打撃でも見える世界が広がったんじゃないですか。
「そうですね。結構打撃がすごく見えやすくなって。逆に10月にKNOCK OUT-BLACK(キックルール)でチュームーシーフーと戦ったときは最初困ったんですよ。チュームーがガンガン距離を詰めてくるから、見えづらいと思っちゃって」
――UNLIMITEDルールで中村選手と戦ったあと、組みやヒジがないKNOCK OUT-BLACKルールで距離を詰めるタイプのチュームーシーフーというのは、距離感を合わせる作業に時間がかかったと思います。
「あとMMAは距離を変えるのもそうですし、正直思い切り(パンチを)振らなくても倒せると思うんですよ。最近で言うと平本(蓮)選手とか篠塚(辰樹)選手とか芦澤(竜誠)選手とか。思いっきり体を振って振りに行かずに、コツコツ細かい打撃を当てて効かせて最後は倒す。そういうMMAグローブで当てる距離を分かってると思うんですよ」
――MMAグローブは一発じゃなくて正確性と数で効かせることができる。と。
「そこを知ってっていうか、そこを分かってやりやすくなりましたよね。あの距離はタックルも切りやすいし。逆にMMAでもフルスイングでパンチを当てる(鈴木)千裕はすごいですよ」
――なるほど。
「みんな千裕はストライカーのイメージが強いと思いますが組みも強いですからね。触れられたら終わりくらいの感じでやられます(苦笑)。だから千裕とやるとMMAで何が大事か分かりますね。特に距離感の部分で」
――キックルールで首相撲があっても基本的に組んだら攻防が終わりますが、MMAやUNLIMITEDルールではそこから組みの攻防がありますからね。
「でもMNAの距離感が分かり始めると、すごく楽しいですよ。練習を始めた頃は一般会員さんのタックルも切れなかったけど、今はタックルも切れるし、自分からタックルも取れるんで。そのなかで打撃も活かせるようになってきたから、最近の成長ぶりがやばいですよ。そのくらい(MMAは)距離感が大事なんだなと思います」
――今回対戦するカルロス・モタはMMAファイターでもなかなか戦うチャンスが巡ってこないような実績を持つ選手です。対戦相手としてどんな印象がありますか。
「身体能力が高くてバネがあってポテンシャルが高い選手だと思います。ただ気持ちが弱そうなので、自分がしっかりKOしますよ」
――この試合の結果によっては色んなチャンスにつながると思います。栗秋選手は鈴木選手のようにキックとMMAの二刀流でいくことが理想ですか。
「そうですね。実は中村選手とやる前に組みや寝技の展開が分からなくて怖いから、会長(山口元気)に『アマチュアのMMAの試合に出させてください』ってお願いしたんですよ。そしたら会長から『さすがに駄目でしょ』と止められて。それで『だったら僕は一発も打撃を出しません。打撃の間合いと組まれる感覚と寝技の展開を知りたいだけなんで』と粘ったんです。それから会長も色々と考えてくれたみたいなんですけど、やっぱりアマチュアの試合に出るのは難しかったみたいで」
――そんなことがあったんですね。
「中村戦が終わってUNLIMITEDルールのアマチュアも始まったんで、一応会長に『そっちはどうですかね?』と相談してみたんですよ。速攻で『プロでやったんだからダメだ!』と言われましたけど(笑)」
――それは…そうだと思います(笑)。
「だから今の自分はUNLIMITEDルールやるにしてプロの実戦の場しかないので、そういう不安はすごくあります。プロレベルのMMA選手たちと戦えばタックルのスピードや入り方も違うだろうし、そもそもあんな薄いグローブで殴り合うのも最初は怖かったんですし。ただそこを知らない強みもあると思うので、自分は思い切り戦いたいです」
――UNLIMITEDルールに挑戦したことで格闘家としての幅が広がったようですね。
「そうですね。そこが自分の強みにもなってるし、自信になってるんですよね。僕は格闘家は自信がなくなったら勝とうが負けようが終わりだと思っているんで、僕はこれからも自分を信じて戦おうと思っています」
――今大会ではRIZINから倉本一真選手が参戦したり、重森陽太選手などキックボクサーのUNLIMITEDルールへのチャレンジもあったり、これから色んな競技の選手たちがUNLIMITEDルールに集まってくることになりそうですね。
「それが楽しいですよね。これは僕のイメージですけど、UNLIMITEDルールやMMAをやりながら、KNOCK OUT-BLACKの防衛戦をやっていくという感じでいきたいですね」
――逆にUNLIMITEDルールやMMAの試合をやることで、打撃だけの試合をやりたくなるかもしれないですよね。これまでの逆で。
「そうそう。色んなことができるから楽しみですね。それが一通り終わったら次は柔術かなって」
――柔術にも興味があるんですか。
「格闘技人生の最後は打撃がない・危なくない柔術をやるのもいいじゃないですか(笑)。そんな感じでこれからもたくさん挑戦していきます!」
■視聴方法(予定)
12月30日(月)
午後1時30分~U-NEXT
■ UNLIMITEDルール対戦カード
<58キロ契約/3分3R>
栗秋祥梧(日本)
カルロス・モタ(ブラジル)
<61.5キロ契約/3分3R>
重森陽太(日本)
倉本一真(日本)
<63キロ契約/3分3R>
バズーカ巧樹(日本)
大沢文也(日本)
<65キロ契約/3分2R>
木村亮彦(日本)
平石公介(日本