【ONE FN23】脱・連敗。ミアド戦へ、箕輪ひろば「逃げるような立ち振る舞いはもうしたくない」
【写真】今回の部屋は角部屋、ドアをあけて角があり──幅がほぼベットの長さ。まさにカド番。ここから脱さなければ (C)MMAPLANET
6日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE FN23「Ok vs Rasulov」に箕輪ひろばが出場し、ジェレミー・ミアドと対戦する。
Text by Manabu Takashima
リト・アディワン、元世界王者のアレックス・シウバに勝利してスタートを切った箕輪のONEでのキャリアだが、その後は3連敗と苦戦を強いられている。
動きは悪くない。しかし、試合中に急所蹴りや頭突きを食らう。そしてリズムが乱れ、集中力も下がる。そんな2試合が続いたことで、箕輪のメンタルが変わった。さらにいえば9年5カ月振りの復帰戦を戦った──背中を追い続けてきた山上幹臣のTKO負けを見て、自身の立ち位置を再確認できた。
小賢しくMMAをしないこと。全力投球、気落ちで負けない箕輪ひろばが、ミアド戦で戻って来る──のか。
MMAの可能性を広げないといけない
──試合発表があった時は、ここでジェレミー・ミアドなのかと思ったのは事実でした。山北渓人選手に負けたばかりの相手かと。ただ……。
「そうなんですよね。互いに3連敗同士だし、向うがそうでなくても僕が3連敗している時点で対戦相手云々は何も言えないです。妥当なマッチメイクだと思っています。僕、ランカー以外と戦ったことがなかったんです。
だからこそ、差はハッキリさせないといけないと思っています。前回の試合の時も言っていたんですけど」
──ジャレッド・ブルックス、ボカン・マスンヤネ、グスタボ・バラルトとレスリング……特に後者2人は徹底してレスリング+打撃というファイターだったのが、今回はボクサー&寝技のミアドです。この辺りで、戦い方が変わってくるということはありますか。
「ここ3試合、レスリングがあったのでテイクダウンされないように……やられないようというゲームプランでした。それが良くなかった。だからスタンドでも殴って、テイクダウンしてもパウンド、一本とフィニッシュを狙っていきます。
やられなければ良いというのとは、わけが違う。その辺りの考えは改めました。勝ちに行く姿勢よりも、リスク回避をしていて。結果、チャンスから生まれなかった。それが現実なので、リスクを背負っても勝負をしないといけないです」
──ボクサーに対して、リスクのある攻撃とは?
「今までの僕だと、相手がストライカーだとテイクダウンをして一本を取りに行くことを主眼としていたはずです。でも3連敗をして、特にここ2試合ですね。ボカンとバラルトと戦って相手の得意なところを消して戦うことが、ベストの選択なのかと。MMAファイターである以上、MMAレスリングで対抗できないといけない。それが本当の意味で、総合力で勝つということだろうと思うようになりました。
MMAになったら、五輪レスラーともレスリングはできる。それも感じました。相手のバックボーンとやり合わないのは、MMAとしてはないと。ただ、強力なバックボーンがあることは確かで。そこに無策で挑んでもしょうがない。でも、逃げるような立ち振る舞いはもうしたくないと思っています」
──ミアドと打撃を交換しないのもMMA。ミアドとボクシングをするのもMMAです。
「言葉にするのは難しいですけど、とにかく逃げるようなゲームプランにはしたくない。ひたすらテイクダウンを狙い続けるような展開でない方が、勝ちやすい。僕が殴るという風に思わせた方がテイクダウンも入れる。そうなると、逆に打撃も当たる。寝技に思い切り振るのもありですが、そうするとKO勝ちという勝ち方を捨てることになります。そうなってしまうと、MMAではない。
僕は修斗をずっとやってきたことで、打撃からテイクダウン、寝技で一本という固定概念を持っていました。でも、それだけじゃない。打撃でKOをすることもそう、レスリングでドミネイトをすることもそう。パウンドアウトも一本も、なんでもできてMMAの可能性を広げないといけない」
──狭まっているより、広がっている方が何かと対処できますしね。相手の攻撃に対して。
「まぁ、勝つしかないですよ。リト・アディワンやアレックス・シウバに勝って、ちょっとMMAとは……なんて考える風になってしまっていたんです。シウバと戦った時は、彼の得意なグラウンドでどんどん戦っていたし、アディワンの時もパンチの交換ということではないですけど、相手の土俵で戦っていました。
彼が打てないところにいて、我慢できないで出てくるように仕向けてテイクダウンを仕掛けるとか。逃げたり、避けたりするんじゃなくて。そういう戦いが、ここ2試合はできなくなっていた。上手く戦おうとして、リスク回避をする。でも、それじゃ勝てないという結論がでました。
なら、バカになって勝てば良い。あの頃のように。MMA IQ──打倒極の偏差値って、一つを上げれば合計点は上がる。そのなかで全体的に上げる、その大切さを再確認しました」
山上さんが現役に戻って来たのだから、俺が引っ張らないと
──そんななか背中を追いかけてきた山上幹臣選手が、復帰戦でTKO負けを喫しました。あの試合は、何か精神的な部分で影響はありましたか。
「僕は……引退したら、復帰はしないです」
──アハハハハ。
「僕が1月に負けて、山上さんは『俺の背中を見とけ』という気持ちだったと思います。で、僕の7月に繋げると。でも山上さんの試合結果を見て、今は僕が山上さんを奮い立たせないといけないって感じるようになりました。
憧れの人で追いかけ続けていたけど……本当に強かったから。今だから余計に分かると思うんですよ、当時のMMAファイターがキックのチャンピオンとやり合えるとか、凄まじいですよ。体調がピークだった時なら、絶対に韓国でも負けていなかった。だいたいヘルニアが酷い状態でマモルさんと戦っても、一発も貰ってないんですよ。まぁ、僕も山上さんもローブローに弱いですけど(笑)」
──ハハハハ。しかし、箕輪選手はやはり山上選手への憧れは絶対ですね。
「でも、いつまでもそれじゃあダメなんです。山上さんが現役に戻って来たのだから、俺が引っ張らないと。山上さんの背中を追いかけているのではなくて、自分で自分の道を走らないといけない。そうすること山上さんがやる気になってくれることこそ、本当の意味で良い関係だと思います」
──その通りですね。では改めて、必勝のミアド戦に向けて一言お願いします。
「これまでの僕だと、確実に勝ちに行っていたと思います。きっと、こういう機会でも『最低でも勝ちに行きます』なんて言っていたはずです。でも、最低でも勝ちなんて言っているヤツは勝てないですよ。
完全決着を狙って、フィニッシュ。最高で完全決着……というか、最高の結果しか考えないです。最低でもなんて口にするだけで、落としどころを求めているということなので。フィニッシュができる人間は、『できないから固めておこう』とは思わないです。絶対に。フィニッシュして勝っているヤツのメンタルはそうじゃない。フィニッシュできなくても、最後まで終わらせようとしている。そういう選手は殴られても、突っ込んできます。
僕は器用な選手じゃないです。それなのに最近は、器用ぶっていました。そんなヤツが、小賢しくリスク回避とか考えていた。そうじゃなくて、フィニッシュを狙ってMMAを戦う。そういう風に今は思っています。
何より……ここで勝って……。今回は角部屋を用意されたので……そうじゃない普通の部屋に戻れるように絶対に勝ちます」
■放送予定
7月6日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT
■ONE Fight Night23対戦カード
<ONEライト級暫定王座決定戦/5分5R>
オク・レユン(韓国)
アリベグ・ラスロフ(トルコ)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ニコ・カリーロ(英国)
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)
<サブミッショングラップリング186ポンド契約/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
ジョセフ・チェン(ドイツ)
<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
バンパラバムパラ・クヤテ(フランス)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
シェ・ウェイ(中国)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
アリ・サルドエフ(ロシア)
ブラック・パンサー(タイ)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
箕輪ひろば(日本)
ジェレミー・ミアド(フィリピン)
<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
エリス・バルボーサ(英国)
<キック・ヘビー級/3分3R>
オマル・ログログ・ケニ(セネガル)
ブシェ・ケチャップ(セネガル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
アレクセイ・バリカ(ロシア)
ステファン・コロディ(アイルランド)