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【UFN233】オクタゴン5戦目、5連勝へ。平良達郎「UFCフライ級に新しい風を吹かせます」

【写真】髪の毛の色が変わっていた平良。ファイトウィークもリラックスして過ごせているようだ(C)TAKUMI NAKAMURA

9日(日・現地時間)ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN233: UFN on ESPN+91「Song vs Gutierrez」にて平良達郎がカーロス・ヘルナンデスと対戦する。
text by Takumi Nakamura

10月に予定されていたダヴィッド・ドヴォルザーク戦が中止となり、今回の試合も中国から米国に開催地が変更されるなど、紆余曲折を経てヘルナンデスに臨む平良。逆転勝利の自信と課題を掴んだ7月のエドガー・チャイルズ戦を経て、今回の試合に向けて準備を続けてきた。UFC初参戦から1年7カ月、平良はUFCを挑戦ではなく結果を出すための舞台として捉えて、5度目のオクタゴンに向かう。


――渡米後のインタビューありがとうございます。ファイトウィークはどのように過ごされていますか。(※取材は現地時間5日に行われた)

「日曜日の昼に到着して、その日は軽く走ったくらいで、月・火はMMAのスパーリングも交えながら調整しています。米国で試合する時はいつもこのスケジュールで動いていますね。米国の試合が増えてきて、米国での調整も慣れてきたので、体調は過去一いいです。精神的にもリラックスできています」

――今回の試合は開催地が中国から米国に変更となりましたが、米国の方が慣れているようですね。

「調整そのものはしやすいですね。ただ移動の負担や時差のことを考えると中国の方が楽ではあるので、一度、中国で試合をやってみたかった部分もあります」

――今大会ではDWCS(Dana White’s Contender Series)経由でUFCに参戦しているカーロス・ヘルナンデスと対戦します。ヘルナンデスにはどのような印象を持っていますか。

「足を使うボクサーって感じですかね。ストライカーではあるけれど、ストライキングが好きくらいのイメージで、一発はないけど技術がある。テクニシャンタイプのボクサーという印象です」

――UFCでは3戦して2勝1敗。距離を取りながら打撃でポイントをとっていくスタイルで、良くも悪くもつかみどころがない印象があります。

「DWCSでスペインのストライカー(ダニエル・バレス)と戦ってスプリット判定で勝っているんですけど、あの試合は必ずしも打撃で一発がある方が勝つわけじゃないんだという感想でした。ヘルナンデスは相手の攻撃を受けて戦う選手なので、そこで変な一発をもらわないこと、試合が長引いた時にちゃんと最後まで動けること。そこを意識しています。もつれると嫌な展開になりかねないので、松根(良太)さんとも『早めに終わらせられるなら終わらせたいよね』と話していますし、僕としては3Rくらいに仕留めたいです」

――ヘルナンデスはLFAフライ級王者だったヴィクター・アルタミラノ戦のようにスプリット判定で勝つことも多く、爆発的な強さはないものの、競った試合をものにする強さはあると思います。それだけにしっかり攻めどころで攻める、展開のヤマを創ることが必要な相手だと思うのですが、いかがでしょうか。

「判定になった時に『どっちにポイントがつくるんだろう?』と思わせないことが大事ですね。今回は練習でもいかにダメージを与えるかを意識して練習していて、最近の傾向としてトップをとってもダメージを与えないと評価されないところがあるじゃないですか。グラップラーにとっては難しい時代になっているので、しっかり殴って相手をディフェンスさせ、疲れさせることを考えていて、そのなかで試合を終わらせるパターンもいくつか考えています」

――個人的にヘルナンデスは前回対戦したエドガー・チャイルズと似ている部分もあり、チャイルズ戦とつながる、応用できる試合になるのかなと思いました。

「チャイルズ戦は僕の中では大きい試合でした。例えばパウンドを打っているときの腕の張りとか、緊張感で普段以上に力んだ分、筋肉の疲れも感じたり。あとは体力的なスタミナとは違う集中力切れみたいなところも感じて。チャイルズ戦が終わって、ちょっと自分が思うように動けないなと考えちゃうところがあったんです。あれから戦い方も色々と考えて練習して、今やっとその殻が破れてきたかなと思いますね」

――見ている側としては1Rに左フックでダウンを奪われるピンチを乗り越えて、最終的に勝ち切った試合だったと思うのですが、修正すべき点も多かったのですね。

「そうですね。でもしっかりグラウンドで上を取ってヒジを落として勝ち切ったことは自信になりましたし、自信が深まったうえで反省点もあったという試合でした」

――ヘルナンデスは1月にアラン・ナシメントにRNCで一本負けしていますが、平良選手もバックを取ったり、RNCを極めるイメージは出来ていますか。

「チャイルズもそうだったんですけど、おそらく僕がUFCや過去の試合でRNCで勝っていることを知っていて、テイクダウンされたときに絶対に背中を見せなかったんですよ。普通ストライカーだったらトップキープされるより、多少バックを取られてもいいから立とうとするじゃないですか。チャイルズは一切そういう素振りがなかったんです。チャイルズが僕のバックコントロールを警戒して、そういう動きをしているんだなと分かりました。

ヘルナンデスもナシメントにRNCを極められているから、絶対に(バックコントロールは)警戒してくると思うんですよね。もちろんRNCのチャンスがあれば取りにいきますが、そうじゃない展開になった時にどう攻撃するか、どう相手の嫌なことをやるか。そこも必要になると思って、練習してきました」

――相手がバックを取らせたくない=トップから攻める時間も長くなりそうですね。

「僕的にはクローズドガードをとられて膠着したり、コツコツ下からヒジをもらったり、そいういう時間は意味がないと思うんですよ。それだったら自分から立ち上がってオープンガードにさせて上から殴るとか、横につくとか、亀にさせるとか、そういう展開を作りたいです」

――かなり試合のシミュレーションは出来ているようですね。当初10月にフライ級ランカーのダヴィッド・ドヴォルザークと対戦を予定していましたがドヴォルザークが欠場、ヘルナンデスと対戦することになりました。ここをきっちりクリアして、次こそランカーとの対戦を実現させたいですか。

「やっぱりランカーと戦うことをテーマにしたいですね。もうランカーじゃないと相手はいないでしょ!という状況にしたいし……というか自分ではそう思っているんですけど(苦笑)。今回は直近の大会でランカーの試合が組まれていたり、僕の試合が10月から12月にスライドして試合ができるランカーが見つからなかったり……色々とあることは分かりますが、僕はもうランカーと戦っていきたいのでヘルナンデスに勝って、それをマイクで言いたいです」

――昨年5月からUFCに参戦していて、もうUFCはチャンレンジする場ではなく、結果を出す場という認識のようですね。

「そうですね。もう“結果を出したい”じゃなくて“結果を出さないといけない”というマインドになってきました。自分がベルトを獲らないといけない、チャンピオンになるもんだと思って、これからは試合をしていきたいと思います」

――まずはランキング入りして、そこからベルトを目指す。道のりは明確です。

「今はまだランキングに入っていないので、ベルトからは遠いように見えるかもしれませんが、次にランキング戦が組まれて、そこで勝てばもっと上のランカーと戦えると思うし、2~3年後ではなくて来年ベルトを獲るつもりでやります」

――2023年を締める一戦でどのような試合を見せたいですか。

「強い選手はたくさんいますが、いい勝ち方をすれば僕の幻想も膨らむだろうし、『平良がトップランカーとやったらどうなるんだろう?』という期待や興味を持ってもらえるようなインパクトを残したいです。日本のファンだけじゃなく、米国のファンにも『平良やばいね!』と思わせたいです」

――平良選手も試合前後で現地のファンに声をかけられることもありますか。

「はい。でも………まだまだ足りないです(笑)! 僕はフライ級そのものを盛り上げて、もっと注目される階級にしたいんですよ。ランキングを見てもフライ級は上位のメンバーが固定されているというかベテランが多い印象なんで。その状況を僕らのような若い世代が活躍することで変えたいんです」

――そういった発想でUFCを盛り上げようと思う日本人選手は今までいなかったと思います。

「僕らからしたらフライ級は何年も数名の選手でベルトを争っているイメージで、それだと見ている方もつまらないと思うんですよね」

――2020年以降はデイヴィソン・フェゲイレドとブランドン・モレノの二強時代が続いて、今年7月にアレッシャンドリ・パントージャが新王者となって…という状況です。

「さすがにフェゲイレドとモレノは4回はやりすぎだろうと思っていたので、僕がランキングを勝ち上がってUFCフライ級に新しい風を吹かせます」

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