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【Bellator x RIZIN02】マゴメドフ戦へ、ダニー・サバテーロ「日本のファンが大声で叫ぶような試合を」

【写真】80年代のエアロビ・ブームを思い出させるファッションセンスのイタリアン・ギャングスタ―!! (C)MMAPLANET

30日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「超RIZIN02」。サークルケージのBellatorとスクエアリングのRIZINのファイトを同時に見られる同大会で、サークルケージのバンタム級実力者対決=マゴメド・マゴメドフ×ダニー・サバテーロの一戦が組まれている。

ファミリーのルーツが、イタリアはシシリアのパレルモ──それ故にニックネームはやや安直ながらイタリアン・ギャングスター。マシンガン&トラッシュトークを駆使するサバテーロに初めての日本での試合、マゴメドフ戦について話を訊きた。

アメリカン・グラップリングとダゲスタン・グラップリングの激突に関して、実はトラッシュトークなナイスガイはどのような意見を持っているのか。


──バイオを見て、今更ながら気づいたのですがダニーはシカゴ──ロンググローブの出身なのですね。

「俺はシカゴで生まれ育って、レスリングでバルドゥー大に進んだ。2時間ぐらい離れたインディア州のウェストラファイエットにある学校だ。でも卒業して、すぐにシカゴに戻った。ファミリーの皆、友人たちが揃っているシカゴは今も最愛の街だよ」

──実はダニーが生まれる前になりますが、私にとって初めての米国長期滞在が大学生の時のシカゴ郊外の街で、ロンググローブの響きがとても懐かしくて。

「そうなんだ!! シカゴは最高の街だっただろう? 皆、シカゴといえばディープディッシュ・ピザ(シカゴ風ピザ。深さのある皿で焼き上げるので、クラフトの縁が数センチあるのが特徴)を思い浮かべるだろうけど、歴史のある街でディープディッシュ・ピザ以外にも色々良いところがあるんだ。MLBの(シカゴ・カブスの)ホームで、全米で2番目に古いリグレーフィールドでベースボール観戦なんて最高だから」

──実は私も2年連続で4度ほど観に行きました(笑)。ナチョスを食べて、7回にTake me out to the ball gameの熱唱に感激しました。

「スーパークールだったろう? シカゴランドに住んでいる皆はあの街の良さが分かっている。他にはあまり伝わっていないけどね。ただし、ATTで練習するために、南フロリダに人生最大の引っ越しをした。今なっては、人生で一番正しい決断をしたと思っている。シカゴのことは大好きだけど、世界のベストファイターになるにはここにくるしかなかった」

──そんなダニーが、我々の住む東京にやってきますね。

「日本には行ったことがないけど、その素晴らしさはフ〇ッ〇ン、何万回と耳にしてきた。日本のファンはただ殴り合いを求めているのではなくて、技術のある攻防を好むって。そして、それがMMAだと分かっているんだよね。ただの打撃だけだと、ボクシングやキックボクシングになってしまう。レスリングだけでも、柔術だけでもない。空手でもない。全てが混ざり合っているのが、MMAなんだ。日本のファンはテイクダウンし、ドミネイトすることが分かっていると聞いている。マゴメド・マゴメドフとの試合がスタンド、グラウンド戦になろうがヤツを一方的にドミネイトし、そのことが分かる日本のファンに喜んでもらえる試合をする。他だとブーイングが起こるドミネイトする試合で、皆を夢中にさせたい。

良い試合をしたいことは、いつもと変わりない。だけど、日本のようにファンがファイターを尊敬してくれて、観客の皆がテクニック、ファイトを理解している場所で戦うのは特別だ。世界で唯一、会場が静寂に包まれているっていうしね。ただファイターが顔面を殴り合うだけじゃないってことを分かってくれるファンがいる。このスポーツのことを理解しているファンの前で試合ができる──ベラトールは最高の仕事をやってくれたよ」

──今回の1戦に向けて、仕上がり具合やキャンプのデキは如何でしたか。

「マゴメドフと戦うためにしっかりと研究をし、スキルを身につけてきたよ。彼が得意とするところでも、十分に勝てるようにね。もちろん、彼と戦うことでそれなりのゲームプランは存在しているけど、俺のやることがそれほど変わるわけじゃない。なんせ、マゴメドフよりも実力のあるキョージ・ホリグチ、日本のスーパースターを始め世界のベストファイターと練習してきたんだ。それにキョージと一緒に日本で戦えることも凄く嬉しいよ」

──今では堀口選手だけでなく元谷友貴選手、牛久絢太郎選手もATTのメンバーとなり、6月には中村倫也選手も1カ月ほどATTで練習をしていました。中村選手はダニーとは随分と練習をしたと言っていました。

「彼は良いファイターだ。そして、圧倒的なスクランブル能力を持っている。俺も自分からスクランブルを創るのが好きで。スクランブルで相手を疲れさせたい。だから、俺と戦った相手は2、3度交わるといつものような動きができなくなる。もう、疲れ始めているんだ。どの試合も技術的にはそれほど変わることはないけど、ずっとプレッシャーをかけて繰り返し攻め続ける。結果、相手は心が折れて、タップか眠ることになる。スクランブルすることで、相手はそうなる。それが俺のゲームプランなんだ。

当然トレーニングでもスクランブルを仕掛ける。その点、リンヤ・ナカムラもめちゃくちゃスクランブリングできるから、互いをプッシュし合って凄く良い練習になるんだ。バリバリに動いて、最高のトレーニングができた。リンヤには可能な限り頻繁に、可能な限り長くATTに滞在してほしい。次の試合が決まって日本に戻ったけど、ATTはいつでも彼を歓迎するよ」

──今後は日本で自分の勝てるスタイルを創り上げ、ATTでキャンプをして試すようにしていきたいそうです。

「本当にそうすれば良いんだ。ATTでは最高のキャンプができるからね。最近でもアレッシャンドリ・パントージャがUFC世界フライ級チャンピオンになったように、ATTにはチャンピオンになれる要素が揃っている。そしてATTというベストの環境で練習することで、世界チャンピオンになる確率が高くなるんだ」

──ところで中村選手は「ダニーは凄く良いヤツ」だったと。岡田遼選手以来、ATTを訪れる選手たちの言葉により、トラッシュトークの権化のダニーは本当に良いヤツだというのが日本のファンには知れ渡っています。

「皆、ちょっと僕を誤解しているんだよ(笑)。俺は家族、友人、チームメイトにはフレンドリーだし、常に尊敬している。ただ、俺とケージで戦うことにエキサイトしているヤツのことが大嫌いなだけなんだ。ケージのなかでは、自分の気持ちを『コイツを殺す』っていう風にしないといけないからね。そのためにケージに入るわけだし。ただ、そんな風にケージで戦う俺を支えてくれる皆に対して、戦う相手のような言動をとるわけがないよ。

俺もATTのチームメイトのサポートは誰よりも、率先してしたいと思っている。チームへの忠誠心は誰よりも大きいつもりだ。トラッシュトークはケージに上がるバックアップみたいなものさ。それも対戦相手だけ。ケージの外で俺のことを嫌っている人間がいても、しっかりと節度をもった態度で接していたい。ただし、ケージの中で向き合うヤツのことは別だよ」

──そのケージで向き合うマゴメドフですが、ダニーのフォークスタイルレスリングと柔術の融合させたグラップリングに対して、彼もダゲスタン流フリースタイルレスリングをベースとした強力な組み技を持っています。

「アイツのレスリングは、俺ほどじゃない。対戦相手を長い間ケージに押し込んで、それからリフトアップしてテイクダウンだ。あんなレスリングは俺には通用しない。ヤツがあれだけトリッキーに動き回るのは、本当の意味でグラップリングをしようとしていないからだ。それがダゲスタン流なんだよ。結局、グラップリングはどこの誰がやろうと似通ってくる。そして、アイツはハイレベルなアメリカン・レスラーには勝てない。

何もシークレットはないよ。真正面から戦って、アイツを完封する。ギロチンを狙ってくることも分かっている。でもパントージャ、ペドロ・ムニョスというギロチンの名手とトレーニングをしている俺を極めることは無理だ。それでも君の言う通り、いつだってアメリカン・グラップリングとダゲスタン・グラップリングの激突は興味深い。でも、俺には自信しかないよ。ただ勝つだけじゃない。あの男をドミネイトするんだ」

──Bellatorバンタム級戦線はアンソニー・ペティスとパッチー・ミックスが統一戦を行うことが決まっていますが、タイトル挑戦に向けマゴメドフ戦はどのような意味を持っていると考えていますか。

「マゴメドフに勝てば、もちろんタイトルに挑戦したい。ただ、タイミング的にどうなのか。時間が掛るなら、じっと待っているのは嫌だから誰か他の選手と戦うだろう。パッチーとペティスの試合がいつ組まれるのか、そこ次第だ。本来、マゴメドフというバンタム級で最高のファイターを倒せば、タイトルに挑戦できて当たり前だ。ただし、機が熟すまで他の試合を戦うことになるだろう。タイトル挑戦の機会を待って、何もせず7カ月、8カ月と待つ気はない。俺はファイターだから戦い続ける。

年に1、2試合なんて真っ平だ。俺は年に3度、4度、5度と戦いたい。タイトルは欲しい。ただし、タイトル戦を待ち続ける気はサラサラない。俺にはファイトが必要なんだ。と同時に来年、2024年には俺はチャンピオンになっている。次の試合に勝っても少なくとも、タイトル挑戦までもう1試合は戦うだろうね」

──では、その間にRIZINのバンタム級王座を狙うというのはどうでしょうか。

「繰り返しになるけど、俺はファイターだ。そして、戦うのが好きなんだ。いつだって俺の方はオープンだよ。もし俺にRIZINのベルトを狙う機会を得られるなら、フアン・アルチュレタだろうが、カイ・アサクラだろうが(※インタビュー時点は朝倉海が挑戦者だった)、問題ない。RIZINのベルトを巻ける機会があるなら、当然そうする。ただ、今は朝起きて、その1日を生きているのはBellatorのベルトを巻くためだ。MMAワールドにあってBellatorバンタム級は最高の激戦区で、俺にとって最も価値のあるベルトだ。まずBellatorのベルトを巻く。と同時にRIZINのベルトを巻くのも悪くない。Bellatorが、俺にRIZINのベルトを巻いてほしいというなら、絶対RIZINのベルトも獲りに行く。ただし、今はBellatorのベルトを手にすることが先決だ」

──そのような機会が訪れることを楽しみにしています。では、最後にダニーは日本のファンのどのような戦いを見せようと思っているのか、改めてお願いします。

「MMAのことを分かっている日本の皆に、喜んでもらえる戦いをする。とても静かな日本の会場、ファンのことを尊敬している。と同時に、イタリアン・ギャングスターはそんな日本のファンが立ち上がって手を叩き、大声で叫ぶような試合をする。皆をエキサイトさせたい。

日本に行くことが夢ではなく、日本で試合をすることが夢だった。その夢が実現し、マゴメド・マゴメドフを2Rか3Rにフィニッシュするか、3Rに渡りトータルドミネイトする。ダニー・サバテーロ・イタリアン・ギャンスターのファイトを皆の胸に刻みつける。ヨロシク!! そして世界中でこの試合を視るファンに、俺の強さを示したい。マゴメド・マゴメドフというタフなヤツが、俺に屈する姿を世界中に見せるために俺は日本へ行く」

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