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【ONE FN12】トノン戦へ、13勝0敗のシャミル・ガザノフ「実戦で結果が伴っていない帯など必要ない」

【写真】一応通訳を介したが、英語はほぼ聞き取れているようだったガザノフ。とにかく落ち着いている (C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN12「Superlek vs Khalilov」でシャミル・ガザノフが、ゲイリー・トノンと対戦する。

キャリア13勝0敗。

ONEでは昨年10月にキム・ジェウンを僅か2分09秒でRNCで仕留め初陣を飾っている。13勝のうち9つの一本勝ちを誇るコーカサスの猛者はブラジリアン柔術でも紫帯のフリースタイルレスラーだ。

そして3年前に黒帯昇格を断ったという。名より実を取る。いや、実を取ってから名を得るという──ダンディズムを持つシャミル・ガザノフとは?


──来週の土曜日にゲイリー・トノンとの大一番を控えています。今の気持ちを教えてください(※取材は7月8日に行われた)。

「エクセレントだ。タイガームエタイでトレーニングをするようになって1年、素晴らし時間を過ごしてきた。もう戦う準備はできている」

──シャミルはブラジリアン柔術の黒帯だと聞きました。ロシア人ファイターでブラジリアン柔術を修めている選手も増えてきているのでしょうか。

「黒帯? それは違う。紫帯だよ。そして柔術は趣味でしかない。フリースタイルレスリングが私のベースで、ブラジリアン柔術はホビーだよ」

──趣味……。ではMMAで戦うために柔術を習得して強化しているわけでなく、余興として楽しんでいるということですか。

「もちろん、MMAのために柔術は役立っている。フリースタイルとは違う流儀を自分の戦いに加えることは大切だかね。帯に関しては、実は3年前に黒帯にするという話はコーチからあったんだ。でも、断った。彼も黒帯で、彼を含め自分は茶帯や黒帯を練習でいつも極めていたから」

──断った?

「そうだよ。帯は結果を残してから貰う。私が欲しているのは帯ではなく、戦いだから。あの時も『帯は要らないから試合を組んで欲しい』と伝えた。なんだか帯の色に拘る人間が柔術の世界には多いけど、どうでも良い。強くなり、結果を残す方が帯の色より大切だからね」

──格好良い言葉ではありますが、黒帯を巻くことは自身の力を認められた証ではないでしょうか。とても光栄なことだと思います。

「実戦の場で結果が伴っていない、ただの帯など私には必要ない。それはMMAのタイトルでも同じことだ。私が世界のベストだという評価を得たうえで、ベルトを巻きたい。事実、タイで練習するようになって黒帯を巻いているブラジル人、ロシア人と寝技の練習をしても負けることはなかった。つまり、帯の色など実力を表すモノではないんだ。

実戦で黒帯の柔術家を倒せたら、自分も黒帯を巻かせてもらう。つまり、今回の試合だ。柔術やグラップリングで世界が認めている黒帯のゲイリー・トノンを倒して、私も黒帯を巻く」

──なるほど、格闘家として当たり前のようで決してそうでもない。耳が痛い選手も多い話かと思います……。そんなシャミルですが、ロシアから次のステップに進む時にONEを選んだのはなぜですか。

「PRO FCでフェザー級のチャンピオンになった時に、ONEから声が掛った。同時にBellatorからも話はあった。ただし、Bellatorは米国の大会でロシア人の私はビザを取得することが簡単ではなかった。同じように世界のトップ舞台であり、ビザ問題がなかったからONEを選んだ。簡単にいえば、そういうことだ。

それにONEの計量方法とルールも、ほぼパーフェクトだ。頭から投げて落としてはいけない点だけが気に入っていないけどね。フリースタイルレスリングやサンボの技を使うことができない。ただ寝技でのヒザ蹴りは構わないから、そこにフォーカスしている」

──では改めてゲイリー・トノン戦ですが、グラウンドでも彼とやり合える自信はありますか。

「100パーセントある。どの局面だろうが、万全の準備をしてきた。ボクシング、ムエタイ、グラウンド。どこでも戦える。MMAで許されている全ての要素を駆使する。立ち技でも、寝技でも同じことだ。何より相手の動きを待つことはない。積極的にこっちから仕掛ける」

──元タイトルコンテンダーとの対戦、キャリアアップを考えるとどのような意味があると考えていますか。

「ただの普通の試合だ。何も特別なことはない。ゲイリー・トノンはビッグネームだ。特に組み技の世界では。でも、そんなことは関係ない。試合の日は父の誕生日で、父からは『ベルトがないから、戻ってくるな』と言われている。ノックアウトかタップアウトかは分からないけど、必ず私が勝つ。ちょっとした私の仕掛けで、ゲイリー・トノンはきっと試合中に驚くことになるだろう。それが何なのかは、試合を楽しみにしてほしい。

立ち技でも寝技でも、自分がベストだと証明する。今大会のメインイベントはムエタイだ。立ち技だけでは、この規模のショーには相応しくない。私が寝技でも立ち技でも、ハイレベルの戦いを見せる」

──ところでタイガームエタイには、日本人選手が出稽古を行うことも少なくありません。誰か日本人ファイターと練習をしたことはありますか。

「あるよ。今回の試合前も同じONEのフェザー級でキョージ・ホリグチと一緒に練習していたというリョーゴ・タハカシとは何度もスパーリングをしてきた。タカハシはとても強い選手だから、スパーが楽しめたよ。グラップリングのスパーリングも、ずっとやっていた。ただし、決って私が彼をチョークアウトした(笑)。タハカシに尋ねてもらっても構わないよ」

■放送予定
7月15日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

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