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【Pancrase335】高木凌と対戦、中田大貴─02─「観ている人だけでなく自分自身も熱くなれるような試合を」

【写真】ファンを納得させて、勝利を掴む。大沢ケンジ門下生がやろうとしていることは困難だけに、尊い(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase335(昼興行)で、高木凌と対戦する中田大貴インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

「令和の激闘王」中田大貴にとって今大会の対戦相手である高木は、かつて自身が敗れた亀井晨佑と同じパラエストラ八王子所属であり、同じく右ストレートを軸としたファイトスタイルだ。ただ激闘になるだけでなく、何よりも勝つこと。激闘の末に勝つ。そんな中田の高木対策を訊いた。

<中田大貴インタビューPart.01はコチラから>


――前回の三宅戦のフィニッシュは、中田選手がギロチンの体勢に入った状態でラウンドが終了しました。その直後、三宅選手が落ちていたことが判明するという珍しいケースだったと思います。中田選手は相手が落ちていることは分かっていたのでしょうか。

「体勢に入った瞬間、『入っているな』とは思いました。でもラウンドが終了したので自分もコーナーに戻ろうと、相手をトントンって叩いたら落ちていたんですよ。僕も驚きました。あのギロチン自体は狙っていわけでもなく、そこに首があったから取ったという感じで。ラッキーですよ(笑)。よく『寝技にラッキーはない』みたいに言うじゃないですか。でも本当に、あの試合はラッキーだと思います。アハハハ」

――ラッキーというか、偶然は少ないと思います。全ては何かしら積み重ねられたものの結果ですので。それは打撃も寝技も同じではないかと。そして中田選手の場合、打撃でも寝技でも積み重ねられたものが本能で出て来るのでしょう。

「あぁ、なるほど。やっぱり自分の形をどう創っていくかだと思います。まずは自分の得意な形があり、それがハマりだすと、その形まで持って行くパターンも増えていく感じですよね。自分も他の選手の試合を観ていて、『この選手はこの形が得意だから、こう試合を進めているんだな』と考えたりします。

あとはフィニッシュの感覚じゃないですか。ジムで技を習ってから、最初はできないことが多いですよね。でも練習していて、フィニッシュの形が感覚で身についてくると、ある日ポッと取れるようになってくることがあったりします」

――以前から仰っているUFCを目指すうえでは、レコードも重要な要素にはなってきます。ここ2年で敗戦も増えていることについては、どのように考えていますか。

「そうなんですよね。だんだんレコードも汚くなってきちゃって(苦笑)。金原さんにも『お前は型にハマッた時は強いけど、そうじゃない時はダメだな』って言われます。もっと自分の穴を埋めて、勝ち星を増やしていかないといけないです」

――そんななか、パンクラスでまたも厳しいランカー対決が組まれました。

「今のポジションであれば、誰とやっても厳しい試合になりますよ。パンクラスの中でも特にフェザー級は層が厚くて。もともと自分は早く出世しすぎたんだと思います」

――というと?

「田村一聖さんに勝って一気に上がっていったんですよ。だけど、もっと経験を積むための試合も必要だったかもしれないですね。それがキャリアに対して厳しいカードばかりになって、レコードがふるわなくなっているのかなと」

――……。

「記事でも『韓国式育成方法』みたいに書かれていて。格上ばかりと対戦していることを考えたら、確かにそうだなって思いました(笑)。だから今回は久々ですよ。相手より僕のほうがプロデビューは先で、今までとは違う感覚があります。ずっと若い立場でいたのに、自分はもう若くないんだなって。下から来る選手に追われる立場になってきたんですね。パンンクラスのフェザー級は、ランキング下位でも上位陣と良い試合ができる選手ばかりで。ネオブラで優勝したばかりの選手も強いし、フェザー級は充実してきていますよ」

――そのランキングで中田選手が2位、高木選手は5位につけています。両者の対戦で勝ったほうが次にベルトへ挑戦できる可能性も高いでしょう。

「はい、ここで勝って次はベルトに挑戦したいです。それが今の目標です」

――では高木選手の印象を教えてください。

「ワンパンマンですよね。ストライカーで散らしやフェイントが巧いし、パンチに伸びとキレがあって一発で倒せる。パンチだけじゃなくて、跳びヒザは跳ぶ距離も長くて。かといって一発だけじゃなく、打ち合いもやるじゃないですか。ただ、線が細いっていう印象はありますね。今まで対戦してきたなかで、僕みたいなタイプはいないと思うから、どういうリアクションをするのかは楽しみです」

――中田選手は相手との体格差を苦にしないタイプですか。

「やることは変わらないですからね。中に入って殴り合うだけなので(笑)。むしろ相手のほうが、僕みたいなタイプは嫌だと思うんですよ。それも自分が中に入れるかどうかが重要で。高木選手は前回対戦した遠藤来生選手は中に入れなくて、ずっと見合ったり高木選手の距離になっていました。中に入れば背が低い選手の距離と時間になります。自分が中に入るか、相手が突き放すかの展開が勝負になってくるので、それをシチュエーション・ドリルなどで練習してきました。何より、僕には恐怖心がないですから。カウンターをもらうことだけ注意していれば、中に入ることに対して恐怖心はありませんね。あとは、やることは変わらない――殴るだけで(笑)」

――中田選手にとっては、以前に高木選手と同じパラエストラ八王子所属でファイトスタイルも近い亀井晨佑選手と対戦した経験は大きいでしょうか。

「お互いじゃないですか。高木選手もパラエストラ八王子のGOZO先生や亀井選手と一緒に、僕のパターンを研究してくると思うんですよ。そんな相手の予想を上回る圧力で、クシャッと潰したい。自分のパターンとかは関係なく、圧力だけで相手を潰せるような」

――中田選手と亀井選手の試合も、打撃だけでなくテイクダウンの攻防もあり、大激闘になりました。次の高木戦も――やはり大激闘になりそうですね。

「そうなるでしょうね。亀井戦は、僕のほうが様子を見ちゃったんです。本当はもっと中に入らなきゃいけなかったのに、相手のジャブの距離で戦ってしまいました。だから今回は、もっと中に入ることを意識しています。相手の懐の中にい続ける――それは打撃でも寝技でも。全てを出し尽くして、観ている人だけじゃなくて、自分自身も熱くなれるような試合をします。そして最後は僕が相手を倒して、次はベルトを獲りに行きます」

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