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【Pancrase328】透暉鷹と暫定フェザー級王座決定戦、亀井晨佑─02─「やりたくないと思っていました」

【写真】バシッと右ストレートの亀井晨佑(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE328で透暉鷹と暫定フェザー級暫定王座を争う、亀井晨佑のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

前編では亀井がプロMMAファイターになるまでの経緯を語ってもらったが、この後編ではその亀井がいかにして大激闘を展開するファイターになったのかを聞いた。すると、話は試合と同じく予想もつかない展開に――。

<亀井晨佑インタビューPart.01はコチラから>


――亀井選手が大学を卒業して社会人になったのが、いつのことでしょうか。

「いま社会人になって、ちょうど2年目です。社会人になったのは2021年4月ですね」

――ということは、内村洋二郎戦とビクトル・ウーゴ戦は、薬学部の勉強をしながら試合に出ていたということですね。

「そうです。その2試合が2019年で、そのあとに薬剤師の国家試験を受けて社会人になってから、2021年9月の三宅輝砂戦が復帰戦でした」

――薬剤師の国家試験が行われるのは……。

「2月ですね。就職先は5年生の時か、6年生の初めに決まっています」

――格闘技とは関係ないお話になりますが、2月に国家試験を受けて落ちた場合、就職先の内定は取り消しになるのでしょうか。

「薬剤師の免許が必要な仕事――ひとつは調剤薬局ですよね。調剤薬局のなかには、もう1年待ってくれるところはあります。もうひとつは製薬会社。これはMR(医薬情報担当者、製薬会社の営業にあたる)だと薬剤師の免許が必要ないので、そのまま製薬会社でMRとして働くことが多いです」

――亀井選手は薬剤師と製薬会社、どちらになりたいと思っていたのですか。

「格闘技でプロになろうという考えがなかった頃は、バリバリ稼ぐためにMRになろうと考えていました。転勤も嫌じゃなかったですし。プロになってからも、自分がMMAでどこまで行けるかも分かっていなかったので――そんなに強くなれないだろう、と。だから、それなりにMMAをやりながらMRになるんだろうなと思っていました。

でもネオブラの頃から、そうもいかないなと考えるようになって。これは……東京に残らないとダメだなって思いました」

――そうしてMRではなく薬剤師への道を選んだあとにMMAで2連敗、自分が選んだ道が正しかったのかどうか迷いませんでしたか。

「メチャクチャ迷いました。正直、ウーゴ戦の時は……それも自分が浅はかだったんでしょうね。内村戦で負けて、青木さんのクラスが始まり、少し組み技に触れたぐらいで自分は行けるだろうと考えていたことが、いま思えば浅はかだったんです。内村さんとの試合の内容が良くなかった、というところはありますよね」

――内容が良くなかったとは?

「ああいう激闘をしてしまうと、自分に酔ってしまうじゃないですか(笑)。ダメなところを受け入れてはいるけど、負けているのに浮かれてしまっている自分がいたんですよね」

――ウーゴ戦を経て学生から薬剤師になり、生活環境は変わりました。一方で、現在までにファイターとして変化したところはありますか。

「本当は国家試験の前に1試合やる予定だったんですが、それがコロナ禍で中止になってしまったんです。そこから国家試験の勉強に入って……最初は焦りました。きっと2年間ぐらい試合が空いてしまうだろうなと。

でもすぐに吹っ切れるというか、体は動かせなくても頭は動かせますよね。その時のほうが格闘技界の状況を俯瞰して見ることができたり。日本と世界の差って、どういうものなのか。そのなかで自分がやりたいスタイルは何なのか。それを突き詰めることができたので、焦りは無くなりました」

――結果、たどり着いた自分のやりたいスタイルとは、どんなものだったのでしょうか。

「最初は打投極、全部できないといけないと思っていました。でも、それが大変であることは分かっています。だから自分の強みである打撃は生かしつつ、組みはどんな選手が来ても対応できるように。自分は相手を寝かせる必要はないと思っています。たとえばUFCのアレックス・ヴォルカノフスキーって、すごく地味なスタイルじゃないですか。打撃はできるけど、組んでケージに押し付けて休むとか。自分にはヴォルカノフスキーみたいなスタイルが合っているんじゃないかと」

――ただ……そう考えた結果、3月の中田大貴戦が打撃による大激闘になるわ、テイクダウンで背中を着けて勝負を決するわで、仰っていることと真逆になっています(笑)。

「アハハハ、そうなんですよ。なかなか上手くいかないものですよね(笑)」

――こうやってお話を聞いていても、とてもスマートな考えを持っているのだろうなと思います。それが試合は大激闘になり、かつ試合中に奇声を挙げるなど、ギャップが凄いです。

「あぁ、あれですか(笑)。ナチュラルに、ハイになっているんでしょうね。でもギャップがあるのは、よく言われます」

――その中田選手に勝利しましたが、トーナメント決勝進出はドクターストップとなった末、今回の暫定フェザー級王座決定戦となりました。対戦相手の透暉鷹選手の印象から教えてください。

「なかなかに地味強ですよね。たぶん多くの選手が、やりたくないなって思うタイプじゃないですか。実は僕自身も、やりたくないなと思っていました。でも練習していくなかで、そんなこともないのかな、と今は考えています。

透暉鷹選手が田中半蔵選手に勝った時(2020年10月に判定勝ち)、これは強いなと思いました。あの田中選手を5分3R、漬けることができるのは相当な実力だなと。さらに、そのあとはフィニッシュ率が高くなっていて。今のパンクラスの中で、一番勢いのある選手の一人だと思うんですよ」

――その透暉鷹選手の勢いを、どう受け止めますか。

「どうなんでしょうね。自分のペースで試合できれば良いのかな、って思います。試合って結局はエゴのぶつけ合いじゃないですか。相手はフィニッシュしたいでしょうし、自分もKOとかフィニッシュできればいいんですけど……25分間、ただただエゴのぶつけ合いで終わってしまうかもしれない。

初めての5分5Rですけど、気持ちを切らさずに戦いたいです。自信はあります。ほどほどにハイになって、もう一つガスタンクを開放できれば」

――結果、また大激闘になって……。

「自分は望んでいないんですけどね(笑)。自分の頭の中では、いつも地味な試合をしたいんですよ……中田戦も、ずっと左ジャブを突き続ける地味な試合をしようと思っていたので」

――えぇっ!?

「でも気づけば、いつも右ストレートが入っていて。それが、MMAの面白さですよね」

■視聴方法(予定)
7月18日(月・祝)
午後2時30分~ TIGET LIVE
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE(※第1部)
午後4時30分~ U-NEXT(※第2部)

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