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【ONE SAMURAI01】三浦彩佳戦へ、澤田千優「次のタイトルマッチは澤田だと思わせるような試合を」

【写真】スクショ撮影中、ひょこっと愛犬ゾーイ君が顔をのぞかせました(C)SHOJIRO KAMEIKE

4月29日(水・祝)、江東区有明の有明アリーナで開催されるONE SAMURAI01で、澤田千優三浦彩佳と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年はモン・ボー戦のキャリア初黒星からスタートした澤田だが、その後は3連勝を収めた。本来ならタイトル挑戦の話も出てくるかもしれないが、現在ONE女子アトム級を取り巻く状況は大きく変化している。

ランキングは消滅し、王者デニス・ザンボアンガは昨年11月の日本大会で三浦彩佳と対戦予定だったが「メディカル上の理由」により試合をキャンセル。結果、ザンボアンガは1年以上も試合をしていない状態だ。加えて1階級上の女子ストロー級は、王者のシィォン・ヂィンナンがUFCと契約し、ONEは同級を閉鎖すると発表した。

タイトル戦線がやや不透明ななかでも、澤田は「不安はない」という。ずっと目指してきたONEのベルトに向けて落とすことができない、今回の三浦戦について訊いた。


スタンプ選手の階級=女子アトム級も残っています。自分がそのベルトを目指したいという気持ちも変わっていないです

――昨年11月のONE日本大会は約2週間のショートノーティスで出場し、平田樹選手を判定で下しました。その平田戦も含めて現在3連勝中です。このONE SAMURAIは代役等でなく、確実に出場するだろうという感触は持っていましたか。

「何て言うんでしょうね……。ONEの場合は何が起こるか分からないというのも重々分かっています(苦笑)。私が目指しているのはベルトですけど、まだ私の試合にタイトルは賭けられないと言われることも分かったうえで、全部受け止めて――言われたことを少しずつ乗り越えていこうと思っています」

――澤田選手の場合、現在はほぼ定期的なペースで試合に出場しています。ただ、それでも不安はないですか。ONEの女子部門全体もそうですし、女子アトム級についても……。

「そんなに不安は感じていないです。現状ONEの流れを見ていると、女子の試合を阻害している感じは全くなくて。やっぱりスタンプ選手がいますからね」

――なるほど。スタンプがいるかぎりONEの女子アトム級は動く、と。

「スタンプ選手はONEを代表するファイターで、彼女はONEに残っている。そしてスタンプ選手の階級=女子アトム級も残っています。だからその点で不安はないし、自分がそのベルトを目指したいという気持ちも変わっていないです。もちろん、自分はタイトルマッチができるかどうかという不安はありますけど(笑)」

――今後の方向性についてプロモーター側から説明はあるのですか。

「直接説明されることはないですね。ONEの公式発表で『ONE SAMURAIが開催される』『年間何大会やる』ということを知ったり、という感じです。『なんで記者会見に呼ばないの?』とは思いました(笑)」

――現在ONEはタイで大会を開催しているなかで、ONE SAMURAIの登場により日本国内での試合出場の機会も増えるかもしれません。澤田選手としてはタイと日本、どちらで戦うほうが良いですか。

「私としては、どちらでも良いというのが本音ですね。タイのほうが気は楽というか、試合だけに集中することができるので。今は年に何回も行っていますし、もう移動もストレスじゃなくなっていて。もちろん国内で試合をするメリットも、たくさんありますよね。いろんな方が観に来てくださったり、特に日本の格闘技ファンの皆さんに会場で観てもらえるのは、格闘技をやっていてすごく嬉しいことですから。ただ、セコンドの2人は『ぜひタイで試合してほしい』と(笑)」

――アハハハ。前回のインタビューで、タイで古着を見て回っているのが楽しみだと言っていましたね。その前回の試合=ナタリー・サルチェード戦はフィニッシュできなかったことに笑顔はなかったです。ただ「丁寧に試合をする」ということは実現できたのではないでしょうか。

「そうですね。試合中のセコンドのやり取りについて再現性高く、丁寧にやるかが目標でした。それはできたかな、という印象です。その一つ前の試合(※平田樹戦)で丁寧さに欠ける試合をしてしまったので、よりその部分を意識した試合にはなりました」

――平田戦はとにかくセコンドの声を聞いていなかった、とインタビューでも言っていました。サルチェード戦も試合内容は完封していたように思います。もう一つの目標であるフィニッシュに至らなかった理由は、自身ではどのように考えていますか。

「サルチェード戦のフィニッシュの形としては一本ではなく、パウンドアウトもしくはレフェリーストップみたいな形が目標でした。相手は柔術——下から何か仕掛けるのが得意で。その相手に上から関節技を仕掛けるのは得策ではない、打撃でコツコツ嫌がらせをしていこうというのが目的でした。そのなかで仕留めきれなかったのは、自分が当てに行こうとしてしまったからですね。

やっぱり当てに行こうとしたら相手も分かってしまうから、痛いけど効きはしない、だから動ける。サルチェードはパウンドを嫌がって背中を向けるシーンもあったじゃないですか。そこでボディを効かせに行ったりとか、駆け引きやテクニックが足りない部分があったと自分の中では考えています」

――一発一発を効かせるというよりも、連打を当ててストップを呼び込もうとしたということですか。

「う~ん……、効かせるパンチというよりも押すパンチになってしまいました。これは私の苦手な点で、グーッと押しちゃうパンチになってしまう面が出ました。それのおかげで打撃で押し込むことはできたけど、仕留めきることはできなかったですね」

――つまり打ち抜いて効かせるようなパンチではなかった、と。そのパンチを出すことは、練習ではできているかと思います。もちろん前後左右のステップとテイクダウンを混ぜながらでも。しかし試合になると難しくなってしまう。

「前回は距離の設定が違っていましたよね。相手もパンチを振ってくる。言えば打撃の攻防ができないわけではなく、こちらのパンチを嫌がって離れたりとか」

伊澤さんと練習できないから私が弱くなるということもないし、休んでいる間に私が強くなってビックリさせようかなと思っています

――澤田選手のインタビューを振り返ると毎回、次の試合でやりたいことが明確です。そのインタビュー内容と試合内容を照らし合わせていくと、全てではないにしろ大方の課題はクリアできていることが多いと思います。

「はい」

——ただ距離感といった部分に関しては、国内で凌ぎ合ったあとにONEで海外選手と発揮することがベストかもしれません。澤田選手の場合は同階級で凌ぎ合える相手がおらず、むしろONEで一つひとつ確認して、クリアして成長していっている感はあります。

「それは毎試合、毎試合そう思います。言ってしまえば国内の試合だと――伊澤星花選手を除いて――地力、バックボーンがあれば勝ててしまう。ほぼテクニックはいらない、かなと思っちゃうんですよね。これは棘がある言い方になってしまうかもしれないけど」

――いえ、それこそが国内……特に女子選手が抱える現実だと思います。レスリングや柔道のバックボーンがあれば、その地力だけで勝つことができてしまう。結果MMAとしての技術の出し合いを経験せず、上位層や海外選手と戦った時に壁を感じることになる、と。

「そうなんです。修斗に出させてもらっていた時も、自分の中で課題はあるけど、課題にぶつかる前に自分がやりたいことで勝っていました。するとどうしても伸び率が遅いというか、頭の中が止まってしまうこともあります。その部分はONEに出させてもらってから、一戦一戦やることを明確にしているんです。相手もそうだし、私の場合はセコンドや一緒に練習している人たちが気づかせてくれる――私ひとりでは無理だったと思いますね。どうしても頭が硬いので(苦笑)」

――練習仲間である伊澤星花選手は妊娠・出産のためRIZINのベルトを返上しました。伊澤選手との練習は貴重な機会だったと思いますが、しばらくは伊澤選手が練習にも参加できない。澤田選手としては、その部分をどう埋めていこうと考えていますか。

「伊澤さんとの練習は私の中でもすごく意味のある――ちょっとハイレベルで、しかも安全なものなんですね。反応してくれるから、お互いに怪我なく練習することができるので」

――なるほど。練習する者同士のレベルの違いから怪我が生まれることはあるでしょう。

「相手の動きに反応できなかったり、お互い蹴るところがおかしかったり、息が合わなかったりすると怪我に繋がったりしますよね。伊澤さんとの練習は、そういうことがない。そういう相手との練習が一時的でもできなくなるのは……。

ただ、他の人と丁寧に練習する良い機会なのかな、ってプラスに捉えることもできます。試合の時は上手な人がいっぱいいるわけではない。ガーッと来る選手だったり、逆に打撃が全くできない相手だったりとか、いろんなタイプがいますよね。だから、いろんなタイプの選手と練習するのが良いことだったりするので」

――はい。

「伊澤さんも自分自身が動くことはないけど、伊澤星花チャレンジの選手たちの練習を見に来るんですよ。その時に私が『こうやろうと考えているけど、どう思う?』と訊いたら、いろいろと意見をくれます。そこは自分やチームの考えのすり合わせをするうえで助かっていますね。

伊澤さんと練習できないから私が弱くなるということもないし、何だったら休んでいる間に私が強くなってビックリさせようかなと思っています(笑)。彼女が戻ってきた時に良い刺激になるように頑張りたいです」

モン・ボー戦の負けが私にとって意味のある負けになったかなと思うし、そうしないと自分の中で納得できないので

――一方、これまで三浦選手と練習等で絡みはなかったのですね。

「練習したことは一度もないです。それこそ私がいろんなところに出稽古で行ったりしていない、という部分もありますけど」

――では三浦選手に対する印象を教えてください。

「自分の得意な型にはめこんだら強い。意地でも自分のポジションを取りに行くという思いきりの良さ、柔道スローの強さがあるという印象ですね。ストライカーではないし、次の試合も組んでくることは分かります。そこでいかに思い通りにさせないかがカギになると思っています」

――澤田選手が持っているレスリングのベースと、三浦選手の持つ柔道のベースは、相性が良いものでしょうか。

「どうなんですかね? 私は柔道をやったことがないから何とも言えないですけど、柔道をやっていた選手とMMAで対戦したことはあって――平田選手もそうですし、ノエル・グランジャンも柔道出身だったと思いますけど、そういう選手に対して『柔道で負けた』という部分はないし、それこそレスリングで負けたことはない。なので相性は悪くないんじゃないか、と思ってはいます」

――体格差についてはどう考えていますか。澤田選手はユニファイドのアトム級から上げ、三浦選手はONEストロー級から落としてきています。もちろん澤田選手の場合、これまでの試合も体格差はあったわけですが……。

「ONEで体格差を感じたのはモン・ボー戦ぐらいですね。あの負けが私にとって意味のある負けになったかなと思うし、そうしないと自分の中で納得できないので。

あの試合は私がちゃんと打撃やMMAをしていませんでした。あれからちゃんと打撃とレスリング……自分の得意なレスリングに持って行くための打撃を、より鍛えてきた1年間だったと思います。そこは次の試合でもしっかり見せて、私のMMAを見せたいと思いますね。

次は初めてのONE SAMURAI出場であり、日本で試合ができる貴重な機会です。しっかり良いパフォーマンスを出して、良い勝ち方をして、次のタイトルマッチは澤田だと思わせるような試合をします」

■放送予定
4月29 日(水・祝)
午後1時15分~U-NEXT

■ONE SAMURAI01対戦カード

<ONEキック暫定世界フライ級王座決定戦/3分5R>
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
武尊(日本)

<ONE世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] 若松佑弥(日本)
[挑戦者]アバスベク・ホルミルザエフ(ウズベキスタン)

<ONEムエタイ・アトム級王座決定戦/5分3R>
[王者]吉成名高(日本)
[挑戦者]ソンチャイノーイ・ゲッソンリット(タイ)

<ONEキック世界バンタム選手権試合/5分5R>
[王者] ジョナサン・ハガティー(英国)
[挑戦者] 与座優貴(日本)

<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
海人(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
澤田千優(日本)

<キック・バンタム級/3分3R>
秋元皓貴(日本)
久井大夢(タイ)

<キック・フェザー級/3分3R>
和島大海(日本)
リカルド・ブラボ(アルゼンチン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
リトゥ・フォーガット(インド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
伊藤盛一郎(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
黒澤亮平(日本)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
吉成士門(日本)
ジョハン・ガザリ(米国)

<キック・アトム級/3分3R>
黒田斗真(日本)
田丸辰(日本)

<キック・フライ級/3分3R>
陽勇(日本)
内藤大樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
永井奏多(日本)
神部篤坊(日本)

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