【ONE SAMURAI01】伊藤盛一郎戦前の和田竜光「強い選手なのは分かっているから、僕は戦って勝ちたい」
【写真】絶対にONE of themではない試合に臨む、和田の心境は(C)MMAPLANET
29日(水・祝)、東京都江東区の有明アリーナで開催されるONE SAMURAI 01で和田竜光が伊藤盛一郎と戦う。
Text by Manabu Takashima
和田にとって昨年7月にアバスベク・ホルミルザエフに敗れて以来のファイトが、日本人フライ級の実力者=伊藤戦となる。そんな両者の潰し合いがサラリと組まれた。和田にとってONEは強い外国勢と戦う場だったが、ここにきての伊藤戦は「これまで通り強い相手と戦うなかでの一戦」であるのと同時に、明らかにファイターとしてのタームが変わりつつあることが感じられる一戦となる。
気が引き締まるというか、警戒度が高くなっています。こんな良い選手なんだと、気づいたので
――去年の7月以来の試合が伊藤盛一郎選手と、ONE日本大会で対戦。凄く意外な展開で、驚かされました。
「4月、5月に試合をしたいという想いが、まずありました。ただ前回の試合でホルミルザエフに蹴り折られてから、アゴにプレートが入っていて。年明けぐらいから取るという形で進めていたのですが、4月に日本大会があるので声が掛かるかもということで決めかねていました。でも2月に取ることを決めたら、『やっぱり、ありそうだ』という話になり(笑)。3月末に手術の予定を入れなおし、試合が決まれば延期するということにしました」
――プレートが入っていないと、不具合はあるのですか。
「今はもうあってもなくても同じで。ただ、取らないと骨と癒着してしまうので、取った方が良いということで。試合も全然戦っても良い状態で、練習も全く支障はないです。結果、3月の中旬にオファーがあって、また延期させてもらいました。でも僕自身、伊藤盛一郎の名を聞いて『マジすか。もちろん、やります』って感じでしたね。
向こうに契約上の事情があったみたいで、なかなか返答がない時に感情的になってしまって……。会った時に勝村さんと盛ちゃんに謝ろうと思っています」
――悪いと思ったら謝る。大人です。とはいえ、このカードがサラっと発表されるのは「勿体ないなぁ」と。熱心なMMAファンからすると、記者会見で発表するぐらいのカードのはずです。
「アハハハハ。伊藤盛一郎選手に関して、以前から試合を見ていたけど、それほど気にすることはなかったです。『まぁ、こういう感じね』っていうぐらいで。もちろん、舐めていたわけじゃなくて。ただパンクラスでの試合も含め、改めて見返すとメッチャ良い選手ですね。
特に一番最近のタジキスタンの選手(ムハンマド・サロハイディノフ)との試合なんか、本当に良くて。どこからでも一本を狙う姿勢、それも『なんちゃって』ではなくて、取るつもりで自信を持って入っている。気が引き締まるというか、警戒度が高くなっています。こんな良い選手なんだと、気づいたので。
油断ができない。怖さもあります。自分がトップにいても、すぐに狙ってくる。休むことができない試合になる。そんな意識になりました。
ONEに出てからは漠然と対外国人との試合で、日本では経験できない体の強さやスキルを感じたいと思って戦ってきました。自分が知らない選手でも、本当に強かった。それが楽しくて、誰とでも戦い続けてきました。コンディションが整っていれば、試合を断ったことはなかったです。ある意味、そういう風に戦ってきたONEの試合の一つ。強い選手と戦うという風に捉えています」
――和田選手が、日本で伊藤選手と戦う。これは、最終章の始まりかと勘繰ってしまいます。
「ただ今回の試合はONEのフライ級、61.2キロなんですよ。俺はやっぱり56.7キロに拘りたかった」
――伊藤選手もユニファイドのフライ級ですし、ONEではストロー級でマッチアップされても良いかと思いますが……。
「最初からフライ級ということで、進んでいたのかもしれないですね。それに伊藤選手からすると、急にハイドレーションのある計量で56.7キロは嫌だと思うし。だから、ここはもう階級は構わない。良い選手だし、戦おうと。まぁ、これからに関しては伊藤選手との試合で勝たないと何も言えないですけど、56.7キロというか57キロ――従来のフライ級で、日本人選手とガンガン試合をしたいと思っています。
今回も伊藤選手が相手になりましたけど、これが山北(渓人)選手や黒澤(亮平)選手が相手だったとしても、当然戦っていました。この体重で、誰とでも戦う。外国人とずっと戦ってきたので、分かりやすく判断できる日本人と戦いたいと思うようになりました」
そういう時期に来たのかなと
――和田竜光のMMAファイター人生が、そのタームを迎えたということですね。
「そうですね。サンジャル・ザキロフとホルミルザエフに連敗して、あいつらがストロー級に留まっていると、次に戦うまで時間が掛かると思いました。俺もリミットがあるし……。結果フライ級に上げてしまったので、ちょっと話が変わってきちゃっているのですが、彼らが残っていると、俺がストロー級王座に挑戦できるのにあと、どれくらい時間がかかるのかと考えた時に、家族、子供、応援してくれる人達に伝わりやすい試合をしたいと考えるようになりました。
日本人のランキング〇位という選手なら、勝つとそれ以上に俺は強いと分かりやすいじゃないですか。世間からの評価というよりも、身内に対してある程度、強さが浸透している日本人選手と戦って『俺はこれぐらい強いんだよ』というのを見せたい。特に子供に見せたいという想いが強くなりましたね。だから世界一を目指すというところは、薄れちゃったかもしれないです」
――和田選手がなかなか吹っ切れないのは、負けた試合が敵わないと思うような戦いではなかった。それが大きいのではないかと。
「俺、ザキロフにもホルミルザエフにも……ホルミルザエフに蹴り飛ばされた負けた時は『ダメだ。コテンパンにされた』と思ったんです。でも映像を見返したり、記憶を辿ったりすると『あの蹴りが入っていなかったら、分からなかった』と思ってしまうんですよ(笑)。強かったですよ。でも、通用しているところがある。ザキロフに対しても、そうです。アレぐらいはやれた。
2人とも強かったから、負けたことに言い訳はできない。だけどコテンパンにされたわけじゃない。届かないとは思えない。ただ結果が全てのスポーツですからね」
――自分は勝手ながら、日本で知名度のある選手と戦ってほしい。和田竜光の強さを一般の格闘技を見る層に知らしめることが可能な戦いを、RIZINでしてほしいと素直に思います。
「ありがとうございます。そういう時期に来たのかなと。子供がもう分かってきたし、選手のことも見ている。あの会場で、あの雰囲気のなかで戦っている姿を見せてやりたいというのはあります。そうですね……やってみたいですね(笑)。分かりやすく、伝えやすいのがRIZINですしね」
――そのようななか、年を重ね劣化した部分、逆に伸びた部分を感じることは練習でありますか。
「劣化している部分は、自分では気づかないんですよね。落ちている部分もあると思いますけど、数値で計っていないから分からないところで。陸上競技とか明らかに分かるんだろうけど、MMAって分かりづらいんですよね。組み技は基本的に弱くなることは、あまりないだろうし。
ボクシングのスパーリングをガンガンやっていて、今までやってきた比重が少ないからスキル的には上がっています。上手くなっている。反応が鈍くなったとかも、自分では気づかない。年齢を考えると、落ちているだろうけど……。分からないです。そんなに大きくは変わっていないです。
若い子たちとMMAの練習をやっていて、強い子も出てきたけど、俺もやっつけているところもある。永井(奏多)君とか数年経ったら、やられるでしょうね。でも、まだ張り合えている。向こうが伸びて、俺は変わらない。だから良い勝負ができているのかと」
――落ちると、飲み込まれてしまう?
「そうですね。それに練習をしていると、新しい気づきもありますしね。良い入り方とか、パターンが増えています。だから、試合にならないと分からないですね」
僕と戦って嬉しい人は、あまりいないと思います。知名度もないし
――では56.7キロに拘る和田選手が、平良達郎、堀口恭司、扇久保博正、神龍誠、元谷友貴という選手たちがいる日本のフライ級で、自分自身はどれぐらいの位置にいると考えていますか。
「どうっスかね。上位にはいるはずです。日本人の最激戦区がフライ級なので、強い選手がたくさんいるのは絶対ですが、上位にはいます。
堀口君を見ていると『強いなぁ。触ってみたい。俺、ボコられるのかな』って思います。平良君は沖縄で練習をさせてもらって、強かったです。組みの完成度が高く、フレームも大きい。競り負ける可能性は十分にありますけど、コテンパンにされていないかな。こういうのって練習では分からないことですよね。だから、皆と触ってみたい。
扇久保さんがGPで優勝して、元谷君が準優勝。オヤジ達、まだ強いなって嬉しかったです。高橋君とか強いけど、逆に若い子がまだ育っていない。扇久保さんや元谷君が強いと、俺もまだまだ行けると思えるというか……。
でも僕と戦って嬉しい人は、あまりいないと思います。知名度もないし。伊藤選手を突破しないとどうしようもないんですけどね。先のことを考えても」
――まぁ、これは私の誘導尋問なので(笑)。
「そういう状況になれば……今、名前が出た選手たちと絡めるように、端っこから戦っていければと(笑)」
――和田選手の実績を食いに来るマッチメイクが、絶対に用意されるかと。
「ハハハ。そういう人達とも戦いたいですね。やられちゃったら、それまで。そういう風に思えて、自分にとってもチャレンジになる。今回の伊藤選手との試合もそうですけど、日本人相手に戦うと何も言い訳はできない。勝ったら、分かりやすく力を証明できる。負けたら弱いと烙印を押される。竹中(大地)選手と戦った時も、そういう試合で。今回も僕が伊藤盛一郎を倒したからと言って、世間からの注目度が上がるわけじゃない。
伊藤盛一郎が僕を倒しても、何かが変わることもない。お互いにそういう相手なんです。知名度や認知度を考えると。でも強い選手なのは分かっているから、僕は戦って勝ちたい。そこにやる価値があると思っています。
言われれば誰とでも戦うけど、知名度があっても別に強くない選手とは戦いたくないです。実力を証明してきた選手達と戦っていきたいですね」
■放送予定
4月29 日(水・祝)
午後1時15分~U-NEXT
■ONE SAMURAI01対戦カード
<ONEキック暫定世界フライ級王座決定戦/3分5R>
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
武尊(日本)
<ONE世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] 若松佑弥(日本)
[挑戦者]アバスベク・ホルミルザエフ(ウズベキスタン)
<ONEムエタイ・アトム級王座決定戦/5分3R>
[王者]吉成名高(日本)
[挑戦者]ソンチャイノーイ・ゲッソンリット(タイ)
<ONEキック世界バンタム選手権試合/5分5R>
[王者] ジョナサン・ハガティー(英国)
[挑戦者] 与座優貴(日本)
<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
海人(日本)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
澤田千優(日本)
<キック・バンタム級/3分3R>
秋元皓貴(日本)
久井大夢(タイ)
<キック・フェザー級/3分3R>
和島大海(日本)
リカルド・ブラボ(アルゼンチン)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
リトゥ・フォーガット(インド)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
伊藤盛一郎(日本)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
黒澤亮平(日本)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
吉成士門(日本)
ジョハン・ガザリ(米国)
<キック・アトム級/3分3R>
黒田斗真(日本)
田丸辰(日本)
<キック・フライ級/3分3R>
陽勇(日本)
内藤大樹(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
永井奏多(日本)
神部篤坊(日本)

















