【ONE FN39】サルチェード戦へ、澤田千優「もっと丁寧に、かつインパクトのある攻撃や極め技を」
【写真】自身がベルトに挑むために何が必要か――それは澤田とチームが一番分かっている(C)SHOJIRO KAMEIKE
25日(土)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN39で、澤田千優が米国のナタリー・サルチェードと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
昨年1月、モン・ボーを相手にプロキャリア初の黒星を喫した澤田だったが、その後は2連勝。7月にマカレナ・アラゴンを腕十字で、続く11月のONE日本大会ではショートノーティス出場ながら平田樹を判定で下している。平田戦から2カ月のスパンで臨む今回のサルチェード戦を前に、澤田が前戦の反省から、ベルトを目指すための戦いについて語る。
前戦はセコンドから『今日の試合は2点だよ』と言われました
――昨年11月、ONE日本大会で平田選手に判定勝ちを収めました。圧勝といえる内容でありましたが、試合前のインタビューで「早い段階でパウンドアウトか一本勝ちを狙う」と語っていた澤田選手としては、目標を達成できたのかどうか。
「全然ダメでしたね(苦笑)」
――どのような点がダメだったのでしょうか。
「セコンドの指示を聞かなかったというのが一番ダメだったところです。セコンドの2人(※良太郎AKATSUKI代表と松嶋こよみ)から言われたのは、もっと打撃を出してほしかったと。普段やっている打撃を練習のつもりで出す。当てる感覚とかは実際の試合でやってみないと分からないところもあるので。自分が今、試合でどれくらいの打撃を出せるのかどうか、もっと試してみるべきだったということですね」
――チームとしては考えているよりも、澤田選手がスタンドで打撃を出すことが少なかったということなのですね。
「私がレスリングをしてしまったんです。それが自分にとって楽な道だとは思っていません。でも入れば取れるテイクダウンを選択してしまったのが反省点ですね。それと仕留めきるのであれば、もっと強いパウンドを打たないといけない。ディフェンスや相手の動きを見て、『これはダメだな』と思ったら作戦を切り替える、ということが自分の中ではできなかったです。
――パウンドについては、2R終了間際にラッシュをかけました。平田選手は動きながらも防戦一方になっている。あの段階でストップになると思いましたか。
「レフェリーが(平田に)何度も確認していました。でもストップが掛かるには、もっとグチャグチャにしなきゃいけなかったのかなって思います」
――もっとグチャグチャにできなかったのは、1Rに後頭部を殴るなという注意が与えられたことも影響したのではないですか。
「1Rから『後頭部を殴るな』と言われていて、3Rにはイエローカードが出されちゃいました。『じゃあ、どこを殴るの?』と思いましたけど、レフェリーが絶対なので。ただ、試合直後のインタビューでも『なぜイエローカードが提示されたか分かりますか?』と聞かれて。あぁ、見方によってはイエローじゃなかったんだ、と。それも仕方ないです。
試合中に何度も『後頭部を殴るな』と言われているからこそ、もっとスタンドの打撃を出していかないといけなかったと思います。試合が終わり、ケージを下りて控室に戻る間もセコンドの2人は『ダメだ。何だよ』みたいな感じで不機嫌な顔をしていました。控室でバンテージを取っている間も『セコンドの話を聞けないの?』『はい、すみません……』『今日の試合は2点だよ』と言われていましたね(苦笑)」
――2点とは厳しい!
「それも自分の中では納得がいくんです。試合中にセコンドの声を聞いていないわけではなく、聞こえているのに自分のやりたいことを選択してしまったことは、私が一番分かっているので。試合後に2人の言葉を聞きながら、スタンドの打撃という部分に挑戦しなかった私がよくないと考えていました」
――平田戦の前に、7月にはマカレナ・アラゴンを腕十字で仕留めています。アラゴン戦は、少なくとも平田戦よりはセコンドの指示を聞くことができていたのでしょうか。
「はい。セコンドがコントローラーのように、私はセコンドの声を聞かないと動けない体になっています(笑)。平田戦については日本大会で、ONEでは初めてケージで戦う。さらに対戦相手は日本人の女子選手の中でもフューチャーされているファイターで。だから絶対に勝ちたい、勝たないといけない、差を見せなきゃいけない。そういう気持ちが、自分の中にどこかあったと思うんです。その気持ちが先走って、前に前にと出すぎている。集中していない、というのは試合をしながら自分でも感じていました」
――セコンド陣の評価は2点という話がありましたが、興味深い点も多々ありました。特に開始早々、左インロー→右フック→テイクダウンという対角線の動きです。以前から澤田選手が目指していた重心を大切にした打撃からテイクダウンへの繋がり。その点については以前よりも精度が増していたように感じられました。
「そうですね。アラゴン戦は打撃にフォーカスしすぎたというか、練習したことを出したいという気持ちが強すぎたんです。だから打撃を出した瞬間に重心が浮いちゃって、そのタイミングでテイクダウンを奪われてしまいました。アラゴン戦のあとは、パンチを打った後も蹴りを出した後も重心が浮かないように練習してきたんですよね。
だから平田戦でも――喧嘩四つならインローは使えるし、私の動きにもマッチしているので。インローからパンチを見せてテイクダウンに繋げる動きがマッチして、綺麗に倒すことができました。だからレスリングに頼ってしまったんですよね(苦笑)」
――なるほど。重心が浮かないように練習してきたからこそ、左ミドルを蹴ってから、相手に蹴り足をキャッチされる前にスタンドの状態でバックに飛び乗るような動きができていたという面もあります。
「良い意味で言うと、全身を使って試合ができたことは良かったと思うんです。でも反省ばかり言って申し訳ないんですけど……」
――いえいえ、どうぞ。
「悪い部分を言うと、いつか何かでポカして自分が下のポジションになってもおかしくない動きもありました。それは試合後に映像を確認しながら『これはフィジカルで押し通していたな』とか『テクニックというより強引だったな』と反省して」
――分かります。ベルトを目指す澤田選手にとって重要なのは、ONE女子アトム級のチャンピオンやランカークラスを相手に、同じ動きができるかどうかですよね。
「そうなんです。もちろん、できる自信はあります。そのためにももっと丁寧に、かつ一打でインパクトのある攻撃や極め技を見せていかないといけないですね。今後ONEで試合をしていくうえで、特にベルトを目指していくうえで必要なスキルなんじゃないのかなって、身に染みて感じていました」
まだ自分がベルトに挑戦するには決定打が欠けている。この試合で勢いをつけたい。
――つまり、その平田戦の次が大切になってくる。日本大会が終わった時点で、すぐ今回の試合の話があったのでしょうか。
「いえ、日本大会の1カ月後に『来年の1月にどうですか』という連絡がありました」
――日本大会が11月16日で、今回の試合が発表されたのは12月17日。ちょうど1カ月後ですね。その試合スパンは自身にとってありがたいか、あるいはもう少し期間を置いたほうが良かったですか。
「試合ができること自体ありがたいです。ただ、自分の中で試合間隔が狂っているいるというか(笑)」
――というと?
「日本大会はショートノーティスだったので、そこから2カ月後に試合というのは、結構時間があるなとか思っちゃったりしました(笑)。でも実際は期間的に短いほうで、11月の時点より自分がすごく強くなっているかといえば、そうではない。いきなり体力や技術がつくとか、そういうことはなくて。
でもその期間の中で、次の試合に向けてもっと自分を研いでいくか。とにかく自分がやるべきことをやって、『タイトルマッチどうですか?』と言える試合をする。今回の試合は、そういう部分がONEから課されていると思うので、その期待には応えたいと思ってオファーを受けたんです。試合間隔が短い分、疲労や怪我がないようコンディションのコントロールをしながら、試合が決まってからここまで過ごしてきました」
――今回はONE2戦目のファイターが相手です。澤田選手として、誰と対戦したいという希望はありましたか。
「どうしてもONEの女子アトム級は選手が少ないので……。ただ、ONE FFを視ていて『この選手と対戦する可能性はあるだろうな』と思っていたのがナタリー選手でした。
まだ自分がベルトに挑戦するには決定打が欠けている。それは自分でも分かっているところで、この試合で勢いをつけたい。そのためには良い相手かなと思っています」
――前回のラズワン戦は下から三角を極めているサルチェードですが、過去の試合を視るとムエタイ+柔術というスタイルかと思われます。
「そうですね。パンチや蹴りは変則的な感じですけど、ガンガン前に出て来きます。そこでビビッてしまったら負けなので、私は最初から自分がやるべきことを出していきたいです」
――100パーセント同じ形ではないですが、同じアラゴンを相手に下からのサブミッションで勝利している。自身とサルチェードの試合を比較して、自身のほうが精度は高いと思いますか。
「それはタイミングの問題もあるので、何とも言えないところはありますよね。私もアラゴンにテイクダウンされてしまっていますし。ただスタンドの打撃、グラウンドのポジション取りについては負けていないというか」
――……と、ここまでインタビューをしていて、澤田選手の圧倒的な落ち着きを感じます。
「アハハハ、本当ですか。相手はここまで4戦無敗、今まで負けたことがないというのは、一つの肩書ですよね。それが不安要素というわけではないですけど、一つ警戒しておかなくてはいけない点だと思います。私もすごくメンタルが強いわけじゃない。そんなことを言っていると、またセコンドの2人に怒られると思いますけど(笑)」
――アハハハ。
「ここはしっかりと勝たないといけないし、舞い上がっていけないというのは前回の試合から考えていることでもあって。舞い上がらず冷静にセコンドの話を聞いて戦う。そこは自制しながら、試合まで残りの時間を過ごしていこうと思っています」
――そのバランスを保ってくれるチームがあるというのは、とても重要なことだと思います。
「はい。お互いに気を遣うところもあるし、気を遣わないで良いところもあります。なおかつ客観的にサポートしてくれる、良いチームにしてもらっているなと思います。私はここでしっかりと勝ち、タイトルに近づける戦いっぷりで注目してもらえるように頑張ります!」
■放送予定
1月24日(土・日本時間)
午前10時45分~U-NEXT
■ONE FN39対戦カード
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョー・アッジャラブーン(タイ)
アブドゥラ・ダカヤエフ(ロシア)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
アサドゥーラ・イマンガザリエフ(ロシア)
<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
イシ・フィティケク(豪州)
チェイス・マン(米国)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
ナタリー・サルチェード(米国)
<キックボクシング・フェザー級/3分3R>
モハメド・シアサラニ(イラン)
ペドロ・ダンタス(ブラジル)
<サブミッショングラップリング女子バンタム級(※65.8キロ)/10分1R>
ヘレナ・クレバー(米国)
デシャ・ノエラニ・アロ(米国)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
黒澤亮平(日本)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ウラジミール・グズミン(ロシア)
モハナド・バットブーティー(イラク)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)
マルコ・アウレリオ(ブラジル)














