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【RTU ASIA2022】福岡から世界へ。野瀬翔平─01─「そう簡単にいかないということを想定をして」

【写真】インタビューにも徐々に慣れてきた感がある野瀬(C)MMAPLANET

6月10日(金・現地時間)、シンガポールはカレンのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるRoad to UFC ASIA Episode04で元UFCファイター=ウリジブレンと戦う野瀬翔平。

Road to UFC出場が正式発表された2日後に、野瀬は闘裸男27で修斗公式戦を戦った。なぜ、何かあったら取り返しがつかない試合に臨んだのか。今回の出場選手で、唯一の地方在住ファイターにRoad to UFC出場に向けて、どのような心境でいるのかを訊いた。


(C)TORAO

──Road to UFC出場の野瀬選手、UFC契約を賭けた戦いに挑みます。

出場が正式発表されてから2日後に闘裸男に出場し、藤川智史選手と試合をしましたね。

「僕が先生からRoad to UFCに出場できると聞いたのは、1カ月前ぐらいでした(※取材は5月25日に行われた)。その前から話はあったようですが、弘中(邦佳)先生からは聞いていなかったです
弘中 UFCの方のリストには入れてもらっている感じで、その間は伝えていなかったです。4週間ぐらい前に出場できることが決まったので伝えました。

──では藤川選手との試合、どのような気持ちで戦っていたのですか。

「絶対に勝たないといけないのは当たり前で。打撃でダウンでもしたら、脳のダメージでRoad to UFCに出られなくなるので……。それに判定でギリギリで勝っても、誰もが『行っても無駄だろう』って思うので、しっかりと差を見せて勝たないといけないと思っていました」

──UFC行きのチャンスを考えると、欠場させてほしいという風に主催者に伝えることはできなかったのでしょうか。

「先生とも相談をしたのですが、この試合に出ることでトーナメントがなくなるなら欠場したいという気持ちはありました」

──選手としては当然です。闘裸男の福岡大会、コロナで2年連続中止になりようやく開催されることになった。関係者の努力は相当のモノだったとしても、選手個人の将来を考えると……。弘中さん、その辺りはどのように考えておられたのですか。

弘中 野瀬の試合はこの話の前から決まっていて、出られるかどうか分からない状況の時に多くの会員さんがチケットを買ってくれていました。そして出られることが決まっても正式発表がないから、コレを理由に欠場とも言えない状況で。僕もケガなら、試合に出させることは絶対にしないですが、ここまで山本(陽一TNS代表)さんが努力してきた初の福岡大会で『デカい大会に出ることが決まったので、ハイ、サヨナラ』なんて人間的に……自分も義理があるので言えないです。

もう一つは野瀬の目の前で言うコトじゃないかもしれないですけど、野瀬がUFCに進むのであれば、これから2、3年掛けて修斗のチャンピオンになってからだという腹積もりでいました。だから今回は当然、試合は勝つつもりで挑みますが、現状の日本においてアジアの将来性のある選手と戦う経験ができる。そういう貴重な経験を詰めるという目的もあります。ここで転んでも彼は将来的にUFCに行く力をつけて、契約する機会に恵まれると信じているので。

それに藤川選手に負けているようでは、Road to UFCに出て勝てるわけがない。だから普通に勝ってからシンガポールへ行こうと。そうでないとUFCで戦える力なんてないという風に僕は思っていました。

──師匠との信頼関係にヒビが入ることはなかったですか(笑)。

「全然、そんなことないです。その通りだと思いました」

──近しい人もその判断を支持してくれましたか。

「誰も知らなかったです。正式発表がないから、伝えることもできなくて。会員さんやチームメイトが知ったのも試合の2日前だったので」

弘中 僕と荒牧(誠マスタージャパン福岡メインインストラクター)、本人の3人しか知らなかったです。

──なるほどぉ。しかし、色々と考える期間になり……結果として75秒の秒殺でミッションクリア。晴れてRoad to UFCに集中できたわけですね。

「試合に勝った時は『ヨッシャー』って喜ぶんですけど、今回は『良かったぁ』というホッとした気持ちしかなかったです。どこもケガがないかとか、そこばかり気になって」

──試合に勝っても、気を抜く暇もなかったのではないですか。

「ハイ。次の日、月曜日から普通に追い込み練習を始めました」

──とはいえ『ここで負けても、まだこれからがある』という言葉が弘中さんから聞かれましたか、野瀬選手のなかにも良い経験になるという考えがあるのでしょうか。

「もちろん、今までやってきた選手より強いので良い経験になるとは思います。でも、優勝するつもりで出ます。優勝してUFCに行きます」

──対戦相手は中国人元UFCファイターのウリジブレンです。どのような印象を持っていますか。

「う~ん……勝てない相手ではないです。でも楽に勝てる相手でもない。ピンチもあるけど、極めるチャンスもあると思います」

──正直、もっと自信のある言葉が聞かれるかと思っていました。

「フフフ。そんなに甘くないです。ここ最近はポンポンと極めることができていて、そうなったらそうなるかと思います。でも、そうはならない。そう簡単にいかないということを想定をして練習をしています」

──UFCの3試合を視る限り、この選手に負けていてはUFC云々ではないということになる。そのようなパフォーマンスだと自分は感じています。

「その通りだと思います。あの選手に負けるようでは『お前はUFCレベルじゃない』と言われたようなモノなので、しっかりと勝たないといけない相手です。ここで負けるとUFCという言葉を口に出すこともできないと思っています」

──チート・ヴェラに負けるのは致し方ない。そしてジョナサン・マルチネスも今は3連勝中でオクタゴン7勝3敗の選手です。ただロランド・ディに負けた試合にしても、核となる武器がないというか。掴みどころがない。中国人ファイター特有のパワフルさや空振りでも怖いパンチというモノが見られない選手かと。

「ハイ。コレが強いというのはないです。どうなんだろうなぁっていう感じの選手です。瞬発力もあまり感じられないです。ただUFC以後の試合を視ることができなくて、最近の3年間の試合をチェックできていないので──あの時より強いと思って戦います。

とにかく相手に合わせずに自分のやるべきことをやり続けます。組みは自分の方が絶対に強いと思いますし、打撃も怖がることなく組める時に組んで、極める時に極める。相手に合わせないで戦いたいです」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
6月9日(木・日本時間)
午後3時30分~ABEMA格闘Ch

Episode01
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode02
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

6月10日(金・日本時間)
午後3時30分~ABEMA格闘Ch

Episode03
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode01
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode01対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
SASUKE(日本)
イー・チャア(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
パラチン(中国)
キ・ウォンビン(韓国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
クルムアリ・マイマイティトゥハティ(中国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
ラマ・スパンディ(インドネシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
チャン・ミンヤン(中国)
トゥコ・タクコス(ウクライナ)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode02対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
キム・ミンウ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ホン・ジュンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
ウォーレン・デルロサリオ(フィリピン)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アイリヤ・ムラトベク(中国)
パワン・マーン・シン(インド)

<フライ級/5分3R>
ショーン・エチェル(豪州)
内田タケル(日本)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode03対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
シェ・ビン(中国)
イ・ジョンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
堀内佑馬(日本)
トップノイ・キウラム(タイ)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
宇佐美正パトリック(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
ググン・グスマン(インドネシア)

<女子ストロー級/5分3R>
ソ・イェダム(韓国)
ジョセフィン・クヌトゥソン(スウェーデン)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode04対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
野瀬翔平(日本)
ウリジブレン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
アスクルバイ(中国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ルー・カイ(中国)
アンガ・ハンス(インドネシア)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
パク・ヒョンソン(韓国)
ジェレミア・シレガー(インドネシア)

<ウェルター級/5分3R>
ジョン・アダハー(フィリピン)
キム・ハンソル(韓国)

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