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【RIZIN TRIGGER02】アキラと対戦、鈴木琢仁─01─「自分を信じろ? ボコボコにするのはあなたです」

【写真】取材中 “あなた”の話も多く、絆が感じられる鈴木だった(C)SHOJIRO KAMEIKE

23日(水・祝)、静岡県袋井市のエコパアリーナで開催されるRIZIN TRIGER02で、鈴木琢仁がアキラと対戦する。
Text by Shojro Kameike

参戦発表の記者会見では、「今をときめくボンサイ柔術所属で、地元開催だから出られる」という旨の言葉を発した鈴木。しかし昨年10月、北岡悟にKO勝ちした戦績は、今大会の出場者の中でもひと際大きく見える。

あれから4カ月――TRIGGER出場を控えた鈴木が、ボンサイ柔術と自身のステップアップについて語った。


――今回はRIZIN TRIGGERに初参戦し、アキラ選手と戦います。その前に、4カ月前の話にはなりますが、前回の北岡悟戦について聞かせてください。

「はい、大丈夫です」

――まず北岡選手に勝利したという試合結果については、どのように感じていますか。

「そうですね……一つ壁を超えることができたのかなって思います。自分の殻を破って、選手としてワンランク上がることができたというか」

――試合は、ダブルレッグにカウンターで右ヒザを合わせてKO勝ちしました。あの右ヒザは狙っていたものなのでしょうか。

「これでKOしようとか狙っていたわけではなくて、体が勝手に動きました。本当に流れの中で出たヒザ蹴りです」

――では、試合の中で自分にとって不利だった点はありますか。

「結果はKO勝ちで良かったんですけど、1Rと2Rは取られているかもしれない、と思っていました。あのヒザ蹴りがなければ、自分が判定で負けていたかもしれないですよね。あの試合を振り返ると、もっと自分から攻めていったほうが良かったと考えています」

――1Rから攻めていくことができなかった理由は何だったのでしょうか。

「北岡選手の寝技や組みに臆していたというか、自分の寝技や組みを信じ切れていなかったんです。試合も自分から組みにいくことは考えていなくて」

――とにかく組みの展開を避けて、スタンドで勝負しようと。

「でも終わってみれば、もっと寝技でも組みでも行けたのかなと思いました。北岡選手がどうということではなく、僕の組みの実力が自分で思っているより上なんじゃないかと。‥…ボンサイで練習していると、分からなくなるんですよね。自分の実力が」

――どういうことでしょうか。

「サトシ先生、クレベル、関根(シュレック秀樹)さん――あのメンバーと一緒に練習しているから、技術的にも強くなることができます。でも練習でボコボコにされて、たまに不安になるんですよ。あれ? この調子で自分は次の試合に勝てるのかな、って」

――練習相手が強すぎて、今の自分の実力が分からなくなるということですか。

「はい。試合前とか、クレベルには『もっと自分を信じろ』と言われるんです。でも自分をボコボコにしているのはクレベルですから。あなたのせいで自分を信じられなくなっているんだよ、と思っています(笑)」

――アハハハ。サトシ選手やクレベル選手だけでなく、関根選手ともスパーをするのですか。

「はい、普通にスパーしています。階級差があるので、さすがに関根さんも考えてはくれているし、たまに自分のほうが動きが良い時もありますけど……やられていますね(苦笑)」

――同じ大会に出場する吉野光選手はインタビューで、柔道時代に練習で100キロの選手に抑え込まれ続けた結果、返し技を考えてきたと言っていました。

「それは分かります。おかげでディフェンスは上手くなるかもしれないですね。でも攻めることができないから、自分の攻めを信じることができなくなるんです。相手を仕留める攻撃の練習ができないので」

――ボンサイでの練習はスパーが中心なのでしょうか。たとえば鈴木選手が攻める展開のシチュエーションスパーなどは……。

「もちろん、そういう練習もあります。でもスパーでやられてしまいますからね(苦笑)」

――そんななかで、自分の攻め方を身につけてきたのですか。

「はい。いろいろ試行錯誤してやってきたなかで、自分が一番得意な部分はボンサイの中でも通じるものが出てきました。トータルで見たら、自分のほうが劣っているかもしれない。でもこの展開だったら通用する、一矢報いることができるというものがあって」

――鈴木選手といえば、いろいろな競技や武道の技術を身につけ、ミックスさせてきましたよね。たとえば、どのような展開なのでしょうか。

「それは言えません(笑)。でも、やっぱりいろんな技術をミックスした展開ではあります。そうやって自分の得意なものを出せるようになってきたのは、最近の話なんです。ここ1、2年ぐらいですね」

――それまでは苦しい時代が続いていたのですか。

「ちょっと前までは、練習で何をやっても通用しなかったんです。これ練習になっているのかな? ずっとそう思っていました。何をやっても敵わないので。強い人と練習して強くなる、ってよく言うじゃないですか。でもレベルが違いすぎると、自分にとって良い練習にはならないと思うんですよ」

――確かに。その状態を解消できたのは、何かキッカケがあったのでしょうか。

「キッカケというか、積み重ねですね。あの強すぎるメンバーに通用するようになったのは……あっ、通用するといっても、互角にやれているという意味ではないですよ」

――はい、それは分かりますが……急に言い直しましたね。

「それはもう、互角とか思われると……」

――クレベル選手たちにイジられますか。

「僕たちは互角なの? とか言われてしまいますから(笑)」

<この項、続く

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