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【GRACHAN52】伊藤空也に挑戦、タイトル奪還を狙う手塚基伸─01─「まぁ、眼中に無かったので」

【写真】手塚も今や絶滅危惧MMAファイターといえるスタイルの持ち主だ(C)MMAPLANET

19日(日)、千葉市美浜区の幕張ベイパークアリーナで開催されるGrachan52で、手塚基伸が伊藤空也の持つバンタム級のベルトに挑む。

Grachanバンタム級のベルトは2014年から2016年にかけて、手塚がその腰に巻いていた。しかし2016年7月、グラジエイターの舞台で同フェザー級王者の大道翔貴に敗れたことで、手塚は同王座を返上した。

その彼が今年8月、3年ぶりにGrachanへ参戦し当時のグラジエイター・バンタム級王者である竹本啓哉を判定で下し、今回の伊藤への挑戦に至った。タイトル奪回に向けた一戦の前に、竹本戦を振り返ってもらうとグラップラーとしての新たな自信を得ていることが分かった。


――Grachan復帰2戦目にして、伊藤空也選手の持つバンタム級王座挑戦が決まりました。今年8月、3年ぶりにGrachanで戦ううえでベルトに挑むことは、当初から念頭に置かれていたことだったのでしょうか。

「やっぱり出るからにはベルトを獲りたいですよね。3年前、堀(友彦)選手と対戦した時に獲れなかったので」

――手塚選手は2014年7月、中村謙作戦で判定勝ちしてGrachanバンタム級王座を獲得しました。そのベルトは一度防衛後に返上しましたが、2018年9月には当時の王者・堀友彦選手に挑戦するも再びベルトを腰に巻くことはできませんでした。

「あれから、自分の中でもいろいろ変わりましたからね」

――ずいぶん前の話になりますが、2016年1月のGrachanとWardogの合同興行で青木孝明選手に勝利したあと、「いろんな団体のベルトを集めたい」という言葉がありました。これまではGrachanとHEATのベルトを腰に巻いています。

「そんなこと言っていましたね(笑)。今は、そこまでの気持ちは無くなってきています。それやったら今の日本で一番デカい団体――RIZINとかに出たいとは思いますけど」

――今年はRIZINでバンタム級トーナメントも開催されていました。

「RIZINのトーナメントは、正直出たかったです。『これぐらいの戦績で出られるんや』と思ったところもありますけど、それなりにメンツも揃って良い感じやったんで」

――では、今の目標はRIZIN出場なのですか。

「大きいところで試合をしたいということもありますけど、強い相手と試合したいんです。ここまで続けてきて、今はモチベーションを維持するのも難しいというか。ファイターとして強い選手と試合をしないと、“こなし”になってしまうんで」

――ただ試合をこなしていくだけになる、ということですね。

「今は自分の成績が上がってきたから、そう思うのかもしれないですけど……」

――堀選手に敗れて以降は、2019年から現在まで5連勝中です。

「最近は『この試合、ヤバいんちゃう?』って感じることがないんです。そう感じられる試合をしたいですね。それもあって修斗に出たところはあったんですけどね」

――修斗は2019年から3試合で全勝しました。ただ、2020年1月の試合後、新型コロナウィルスによるパンデミックが起こってしまい……。

「まぁ、そういうことですね」

――ではまず前回の竹本啓哉戦についてお聞きしたいのですが、3年ぶりのGrachanの試合は、何か感じるものはありましたか。

「あの試合は大阪なので、そんなにGrachan感は強くなかったと思うんですよ。次、関東の大会に出た時、どう感じるかじゃないですか。これだけ試合をしてきているので、どの大会に出ても同じっちゃ同じです。でも自分の中でGrachanはホームやと思っているんで」

――竹本戦前のインタビューでは「塩になるのか、結構動かされる展開になるのか、やっぱり塩ですかね」と仰っていました。

「アハハハ。まぁ、一般受けする試合だったかといえば、そうじゃないと思います。だから、塩だったかもしれないです(笑)。でも自分の中では、まあまあの出来だったかなと思うんですけどね」

――1Rは竹本選手がグラウンドで固めてきました。しかし2R以降は完全に手塚選手のペースとなりましたが、あれは1Rで相手のやってくることが見えたのでしょうか。

「そうですね。1Rも焦ることはなかったです。これ(クルスフィックス)を凌いだらイケるわっていうのと、極められることはないと思って。そこから相手が出してきたものには全部対処したので。相手がやることは読めたし、何より1Rで持っている技を使い果たした感があって、それなら2Rと3Rで行こうと思いました」

――では、試合内容は満足していますか。

「フィニッシュしていないので、満足しているかといえば、そうでもないです。でも最近、グラップラーとの対戦が続いたじゃないですか」

――2021年は4月に、聖帝・土肥潤選手に判定勝ち。続く竹本選手もグラップラーでしたね。

「グラップラー同士の試合で凌いでいけたのは、自信になりました。俺も寝技は弱くないんやなぁって(笑)。自分のスタイル的には、打撃の選手と試合をしたほうが、見ている側は面白いかもしれないですけど」

――そことで、次の対戦相手の伊藤空也選手は、RIZINの金太郎戦で激しい打ち合いを見せたファイターです。Grachanに出場していた頃、伊藤選手のことを意識したことはありましたか。

「世代が違いますからね。Grachanでも一緒の大会に出たこともあるとは思いますけど、そこまで見てもいなかったです。まぁ、眼中に無かったので」

<この項、続く

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