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【WJJC2021】ムンジアルへ、嶋田裕太─02─「マルセリーニョの前で、教えてもらったことを実践」

【写真】このパッチも嶋田の人間性を表している。群れがあるのが社会だが、群れない繋がりも存在している(C)YUTA SHIMADA

9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターで開催中のIBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権の黒帯ライトフェザー級に出場する嶋田裕太インタビュー後編。

切磋琢磨する練習仲間がいなくなったMGで、嶋田が強くなり続けていると実感できるのは全てマルセリーニョ・ガウッシアの存在だった。マルセリーニョ・メソッドをもってムンジアウに挑む嶋田が自らの階級を第3者的に観察、そして自身の立ち位置を語った。

<嶋田裕太インタビューPart.01はコチラから>


──ムンジアル直前、NYを離れた昨年4月、NYに戻った今年の9月、そして今。嶋田選手自身の技量は、どのような力関係でしょうか。

「全然、今の方が強いです。2020年の4月より、今の方が全然強いです。試合をした感じ、問題はなかったです。コンペクラスの強い選手がいなくなったので、体格と実力の近い選手と切磋琢磨できる機会は減ってしまったのですが、試合に出てみた感じで自分が思っていた以上に動けました。

2試合目で負けたのですが、マルセリーニョに凄く褒められました。マルセリーニョって戦い方がシンプルじゃないですか?  引き込んだらスイープして、パスしてバック取って絞めるというような。王道の横綱相撲で戦うのですが、実は凄い戦略家なんです。

2年前にソレを教わってMGに合流してからは、そう戦うように心掛けています。その戦略という部分でミスらしいミスはなくて褒められました。マルセリーニョが重要視しているのは、平常心で戦うこと。言ってみれば、それだけなんです。でも、平常心で戦うために必要なことが色々とあります。それをほぼ守ることができていました。

ただ残り1分になった時点で、ポイント0-0でアドバンもなかった。レフェリー判定になると負けるなっていう感じで、アタックするしかないというマインドになった時に、リスクを背負って攻めないといけないのですが、そこで隙ができてアドバンテージを与えてしまいました。残り1分になってからも、無暗に感情的になって攻めたわけではなくて、自分なりに状況を理解してアグレッシブになったので──自分が招いた結果ではありますが、思った以上に褒められました」

──嶋田選手は同じ技を食らう時が過去にありました。あれはムキになって、同じ仕掛けをして同じカウンターを受けるということだったのでしょうか。

「この間も同じ技を何度か食らっています(笑)。でも試合中にムキになるわけでなく、気付いてないことが多いです。試合中に気付けることもあるのですが、同じ技が来ているけど気付かないこともある。だから対処できる時と、できない時があるんだと思います」

──ではムンジアルではマルセリーニョが見て気付いてくれることも十分にあるのでは?

「今回、初めて見てもらえます。ムンジアルに来るみたいで」

──チームメイトなしで、戦ったこともあったことを振り返ると百人力ですね。

「マルセリーニョの前で、教えてもらったことを実践しようと思っていることも本人には伝えています。口にしたことと違うことはできないです。目の前で、しっかりと有言実行しマルセリーニョの教えを守って戦いたいです。それができれば、誰と戦ってもチャンスがあると思っているので」

──そういうなかでトーナメント枠も発表されています。見慣れない名前が増えた。そう感じました。

「ミヤオが2人ともいないですからね(笑)。それでも最初の相手、ATOSのジョアオ・ペドロはメッチャ強いですよ。フェザー級で戦ってきた人で、パンやムンジを取ってはいないですけど、優勝者と良い試合ができる選手です。組み合わせ次第では表彰台レベルの選手なので、いきなり山です。凄くアグレッシブな選手で、どう戦うのかで自分の幅が試されるなと思います」

──目指すところは一番で、山がいきなりあると。

「僕も年を取ったからか、何度も挑戦しているからか──自分の立ち位置は分かっています。優勝すると口で言っても、現実味はない。でも、誰と戦っても勝つチャンスはある。それを1試合ずつ繰り返して、上手くやることができれば結果として優勝になる。でも茶帯の時のように『絶対優勝します』とか口にする勢いはないです」

──第3者としてみれば、優勝候補は誰になりますか。

「シセロ・コスタのジエゴ・パト(オリヴェイラ)、アリアンシから抜けたイザッキ・バイエンスがいるドリーム・アート所属のメイラン・マキニ・アウベスですかね。アウベスはかなり攻撃的な選手です」

──どちらも後半の山で準決勝までに当たる可能性があります。

「確かに反対の山って、メチャクチャ落ちますね」

──それででも誰とやっても勝つチャンスはある、と。

「ハイ。そうです。僕も毎年、取材してもらって──いつも自信満々なことを言っていても、前回の2019年とか1回戦負けでした。でも、試合を視てもらった人にはこれからも期待してもらえるような動きを……柔術を見せたいです。自分では見せられると思っています。時差もありますが、僕の試合を見てもらえると嬉しいです」

■視聴方法(予定)
12月9日(金・日本時間)~13日(月・同)
午前2時30分~Flo Grappling

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