【ONE Empower】アトム級GP、アンダーソン戦前の平田樹─01─「常に練習して動ける体でいるのが当然」
【写真】心身ともに充実した空気感があった平田樹(C)MMAPLANET
9月3日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムONE「Empower」が開催され、平田樹が女子アトム級ワールドGP1回戦でアリス・アンダーソンと戦う。
デビュー1年目を3連勝で終え、パンデミックが起こり1年振りのファイトとなったRoad to ONEの中村未来戦では、TKO勝ちしながらも試合内容に納得できず、涙した。直後に決まったGP出場もコロナ禍で大会が延期され、3カ月を経てようやくシンガポールに向かうことができた。
フリーになり、練習環境を自ら意志と責任で選択して挑むアンダーソン戦に向け、平田の現状をKrazy Beeで尋ねた。
──あとどれぐらいでシンガポールへ?
「5日後ですね(※取材は8月24日に行われた)。ようやくですね」
──ようやく試合が、しかも海外でできます。待望の時ではないでしょうか。
「海外で試合ができることは凄く嬉しいです。ただ会場にお客さんがいないことは、寂しいですね」
──ファンと共に盛り上がることが、ファイトの一部になっているのですか。
「どうなんだろう。無観客で戦ったことがないので、どういう心境になるのか分からないです。でも、ファンと一緒に盛り上がりたいという気持ちはあります。Road to ONEの時も、お客さんを入れることができた大会だったのですが、『うわぁ少ないなぁ』って思ったんです。でも、次はあの大きな会場にお客がいないので……寂しいですよね。どうなるか分からないのですが、お客さんがいないことは何か自分のなかに影響することがあるかもしれないです」
──昨年2月のシンガポール大会、現地にいるのに会場に行けなかった。平田樹すら入れないということを考えると、今の情勢では客入りはないと考えて良いですよね。
「あの時、ホテルにいて携帯でABEMAを視たんですよ(笑)」
──私自身、1万人収容の会場にファンがいない。どれだけパウンドで殴る音や、選手の息吹が聞こえるのかと思って撮影に挑んだことが思い出されます。
「どうでした?」
──3人いるオフィシャルカメラマンのシャッター連射の音が、館内に響き渡っていました(笑)。
「そうなんだぁ!! 選手も、それって聞こえますよね。寂しいなぁ……ジャカルタがめっちゃ凄かったじゃないですか。あのイメージがあって……無音は全く、想像がつかないです。やっぱりお客さんと一体化した方が気持ちも盛り上がるので」
──では、2月の試合はお客さんが少ないからパフォーマンスが落ちた?
「そうですね(笑)。いえ、そんなことないです。あの試合は本当にダメでした。でも、アレを経験して拘り過ぎないこととか、勉強できました。研究される分、その上の技術を身につけないといけないと感じましたし。自分、MMAだけど近距離の方が好きなんです。
でも青木さんが自分の出したい技を出すには、その距離を創ることが大切だと言ってくれたことや、神村エリカさんのところでも色々と教わりましたし……相手のリーチを考えると、どう得意な距離にいけるのか。得意でないところで、どう戦うのか。今回はよく考えてきました。そうやって考えていると、立ち技だけって難しいって実感して。組むまでが大変になる、そんな試合になることは覚悟しています。
でもエリカさんと練習させてもらうと、打撃の人の指導って凄く参考になって。毎週金曜日に練習に行って、アンダーソンのことも凄く研究してくれて、対策練習をしてくれましたし」
──参考になりましたか。練習を取材させてもらった時に、神村さんが平田選手を見る空気が良くて。良い練習になっているなと感じました。神村さんは勝つ論理を持っていますよね。
「ハイ。今回はとにかく前手を出して、前蹴りとかの距離に気を付ける。『そうしたら組んでいけるよ』って。打撃を習いに行っているのですが、『打撃の練習をしているから、試合で使えるってもんじゃないから。打撃に拘らないで良い』って言っていただいて。内山さんにも『打撃やって自信がついても、組みや寝技の方が得意だということを忘れないこと』というのは言ってもらっていました。試合前はあまり内山さんのところはいけなかったのですが」
──真理ですね。本当に。
「こないだの試合もあったし(苦笑)。でも打撃使いたいんですよね」
──結局、そこですか!!
「組むまでの立ち技、そこだとは思うようになりましたけど」
──では試合前の練習は神村さんのところが週1で、あとはKRAZYBEEですか。
「ハイ。男子の細くて背の高い相手や、プロになる前の選手と練習をしていて。時々女子と組むと、パワーの差があるから『軽っ』って思えるよになりました。フィジカルもやってきたので、変わったかなという気はしています。でも自分より、背の高い相手と戦うのは初めてで、どういう試合になるのか興味があります」
──やってきたことが出せるのかという不安と、出したいという期待。どちらが大きいですか。
「期待です。不安はこれまで通りないです。どうあろうが、トーナメントだし勝てば良いので」
──練習環境を変え、その選択が正解だったと周囲に分かってもらうにも勝利が絶対ですが、そのプレッシャーっていうのは?
「負けたら、何か言われますよね。でも、それが今の自分の実力であって環境のせいではないです。負けるのは、自分の責任です。自分を貫いた結果の練習環境ですし、とにかく試合をするまでは練習だけじゃないって実感しています。
──練習だけじゃない……どういうことでしょうか。
「フリーになって自分でやることも増えたので、試合に向けては練習だけでなく、やってきた全てのことが関係してくるって今は思っています。これまで、そういう部分を助けてもらっていたこともよく分かりました」
──このシェイプの良さげ感じは、その責任感の表れでしょうか。
「もうリミットまで1キロです。フリーになった時から、自分で全てをやらないといけないっていう覚悟のようなモノを持てるようになって。誰かに任せることができないということは、誰かの責任にデキるわけじゃない。自分が変わらないといけないという気持ちにはなったかと思います。
ただ体重に関しては2月の終わりに試合が終わって、次は5月の終わり、そこが延期になって早くて7月の終わりと言われていたのが、ここまで来て。その間、ずっと試合を睨んで練習してきたので、体重が増える時間がなかったというのもあります」
──太る暇もないと(笑)。
「またぁ、太るって……太らないです(笑)。でも、今年1年ずっと試合があると思ってきたのでホント、太る時間なんてなかったです。2月の試合前から、ずっと減量状態で。でも、これが普通なんだなって。MMAファイターなんだから、ずっと練習するのが当たり前だし。試合が終わったから練習休んで、体重が増えるとかホントは違うって思えます」
──普段通りでしぼれているから、肌の艶も良いのですね。
「試合が決まった、気合入れる──みたいな気持ちになるっていうことを青木さんに話すと、『そんなこと考えたことない』って言われて。『試合が決まったからやるって、それはないでしょ』みたいに。これまでの自分はそうでした。
でも、常に練習して動ける体でいるのが当然で。そうでないと集中力も切れて、ケガをしてしまうので。同じことの繰り返しだけど、気を抜くとケガをする。そういう気持ちでやっていると、精神的に強化されたように感じます。結果、ここまでケガなくやってこられたので、自分のなかでは成長できたかなって思います」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
9月3日(金・日本時間)
午後8時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後8時30分~ONE Super App
■ONE Empower 対戦カード
<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者] ミッシェル・ニコリニ(ブラジル)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)
スタンプ・フェアテックス(タイ)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
モン・ボー(中国)
リトゥ・フォーガット(インド)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
平田樹(日本)
アリス・アンダーソン(米国)
<キックボクシング女子アトム級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)
<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
ダニエラ・ロペス(アルゼンチン)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP補欠戦/5分3R>
VV.Mei(日本)
ジュリー・メザバルバ(ブラジル)