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【DEEP101】米田奈央と対戦、世田谷在住・住村竜市朗─01─「あぁ、あのクソ試合ですね」

【写真】試行錯誤を続け、進化の過程にある住村竜市朗 (C)MMAPLANET

20日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP101のメインイベントで、DEEPウェルター級チャンピオン住村竜市朗が米田奈央と対戦する。

緊急事態宣言で40日間スライドされた大会のメインを任された住村は、2018年にRIZINで敗北を喫した後、神戸から東京に練習の拠点を移した。そして、打撃を中心とした自身のスタイルも進化しているという。

2度の敗戦を経て、住村はいかに進化し続けているのか。東京での練習について聞いた。


――住村選手は、もともと兵庫県淡路島でMMAを始めて、現在は東京に拠点を置いているのですよね。

「ロータス世田谷さんとパンクラス・イズムさん、それとIGLOO柔術さんでグラップリングの練習をやらせてもらっています」

――拠点を東京に移して、変わったところはありますか。

「毎日しっかり、強い選手と練習できているところですね。寝技も強い選手と練習できているので、レスリングなり、グラップリングは進化したと思います。周りの選手が強すぎて、本当に自分が進化しているのかどうかは分からないですけど(笑)。

それと昔から一緒に練習していた皇治が東京で『TEAM ONE』というジムを開いたので、そこで打撃とフィジカルトレーニングを見てもらっています。他にも、元K-1選手の左右田泰臣さんのジム、『LIBELTA』(リベルタ)のプロ練習に参加させていただいています」

――そうした環境の変化と練習の内容は、実際の試合にフィードバックできているのでしょうか。

「はい。東京に来た当初は、それほどでもなかったんですけど、最近は試合でもちょっとずつ出せていると思います。東京に来てから少しファイトスタイルが変わってしまった部分があったので、少しずつ戻していっているところですね」

――ファイトスタイルの変化とは?

「自分から組みに行けるようになったことです。もともと自分の得意な打撃と、組み技がうまく噛み合っていなかったんですけど、最近は噛み合ってきた感触があるんですね。でも、そのために組みに行こうとしすぎていたというか」

――住村選手が優勝した2009年の全日本アマ修斗では、テイクダウンポイントが重視され始めて、とにかくテイクダウンを狙う試合が増えていました。そんななかで、住村選手が一番、打撃も効果的でMMAとしてのバランスが良いと思っていました。

「おぉ、ありがとうございます」

――ただ、それは当時から、あまりテイクダウンが得意ではなかったのでしょうか。

「テイクダウンは弱かったです。自分は打撃が中心で、保険で寝技をやっていたような感じでした。だからテイクダウンはそれほどやっていなくて。するとプロになってから、自分が打撃で行くとグラウンドに持ち込まれて、抑え込まれて負けるという試合があったんです」

――なるほど。

「そこで僕は『だったら打撃で突き抜けよう』と思って練習してきたんですけど、RIZINでストラッサー起一選手に負けて、いろいろ考え直しました」

――2018年8月12日に、ストラッサー起一選手に三角絞めで一本負けを喫しました。

「あの試合後、東京に拠点を移しました。その前に、佐藤洋一郎選手との試合で前十字靭帯を負傷していたんですけど、直後にRIZINの試合が決まって。手術しようかどうか迷いました。でも前十字靭帯を負傷しても続けている人の話も聞いていたし、手術して1年を棒に振る前に、RIZINでやってみたいと思ったんですけど……」

――しかし、結果は敗れてしまった。

「練習していてもヒザが抜けることもあって、思うように練習できないまま試合を迎えたら、あんな負け方をしてしまいました。でも今考えたら、あの時に負けてよかったです。その後ちゃんと手術して、今はヒザの状態も戻ったので」

――Bellator日本大会(2019年12月29日)で、ジョン・タックにKO負けした試合については、どのように考えていますか。

「あの試合はショックでした。勝てると思っていたので。自分のペースになってきたかな、と思っていたら、一発もらってしまいました。あの時は、どうしても上体だけで相手のパンチを避けてしまうクセがあったんですよ。足がしっかり付いてきていなかった。あの負けは世界との差を感じましたね」

――足が付いてこなかったというのは、打撃とMMAのスタンスの違いなのでしょうか。

「ちゃんとステップが踏めていませんでした。それは大きなミスです」

――2つの敗戦を経て、昨年11月にはRIZINではレッツ豪太選手に勝利しました。

「あぁ、あのクソ試合ですね」

――クソ試合、ですか……。

「クソ試合ですよ。DEEP以外の試合で2連敗していたので、勝ちに行っちゃったというか。3連敗はマズイなと思って、思いっきり行くことができなかったんです。それはファイトスタイルが変わったこともあって」

――先ほど、「組みに行こうとしすぎる」と言われましたね。

「もともと自分には打撃しかないと思っていたんですが、組み技もしっかりできるようになったので、悪い言い方ですけど組み技で休むことができる。そんな考えが試合中でも脳裏をよぎってしまって、打撃で思い切り行けなくなったんだと思います。だから今は考え直して、前向きに打撃の時間を増やすようにしています」

――組み技で休むことができる、それだけ組み技の部分は進化したということですか。

「そうですね。日本のウェルター級なら、誰とやっても組み負けないし、寝技も勝負できると思います」

<この項、続く

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