【Grachan48】長岡弘樹戦へ、桜井隆多─02─「まだ燃え尽きていない」&有紀夫人「覚悟して見守りたい」
【写真】プライスレス。この感覚があるからこそ、桜井は戦い続け──有紀夫人も見守り続けているのだろう(C)MMAPLANET
20日(日)、東京都大田区の大田区産業プラザPIOで開催されるGRACHANで、長岡弘樹とのGRANDウェルター級王座統一戦に挑む桜井隆多のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
プロキャリア23年の大ベテランが語る、試合との向き合い方と今後について。そして、長岡弘樹といかに戦うのか。
さらに、そんな桜井の戦いを見守る妻・有紀さんの話も訊いた。
<桜井隆多インタビューPart.01はコチラから>
――ルクク・ダリ戦は、序盤から打撃をもらってしまいました。
「1Rの左フックは、食らった瞬間に顔の一部が吹っ飛んだような感じでした。1Rが終わって、『自分の顔は血が出ているのかな? 腫れているかな?』と思って」
――その両方でしたね。
「ハハハ、でもそれで気合いが入りましたよ」
――桜井選手の試合では、これまでも大逆転劇が多々ありました。ダリ戦もそうですが、試合中に「これはヤバい」と思うことはないのですか。
「ヤバいと思うことはありますけど、そんな時こそ何かしら返していかないといけないって考えています。試合は最後まで諦めちゃいけない。そういう気持ちが、たまたま良い方向になっているのでしょうけど」
――次の対戦相手、長岡選手も桜井選手と同様、決して諦めることのない、粘り強い選手です。
「ウィル・チョープ戦とか、本当にそうですよね。だから次の試合は相手の土俵に入ってしまうと、我慢比べになるし、そんな展開はシンドイなと思っています。なるべくそんな展開にならないよう、ノラリクラリ行ってやろうかな、と」
――それはそれで、競り合いが続くでしょう。
「はい。あるいは、僕が早い段階で仕留めることもあるかもしれないですよ」
――桜井選手が現役を続けるうえで、「その先」という言葉がありました。今「その先」はどのように考えているのでしょうか。
「自分の中では毎試合、『これが最後かな』と思ってやっています。でもベルトを持っていて、ケガも回復してきているので、ベルトがあるうちに違う舞台にも上がってみたい、という欲も出てきました」
――GRACHANでベルトを獲得したことにより、その先を見てみたくなったのですか。
「はい。僕の中では、ベルトを持っていることが大きなモチベーションになっています。それと、周りの環境もありますね。僕が頑張っていることに対して、喜んでくれている人もいるので」
――これまでずっと一緒に練習してきた方も、引退したり、一線を退くことも多くなったと思います。
「仕方ないですね。みんな、それぞれの立ち位置があるから。ただ、僕はまだ燃え尽きていない。みんなのほうが、僕のことを『バカだなぁ』と思って見ているかもしれないけど(笑)」
――そうした桜井選手の言葉を聞いたり、試合を見たりして、周囲の人たちも「自分もまだ何かできる」と思うかもしれません。
「ハハハ、そうですね。僕が一生懸命やっているところを見て、何かを感じてもらえたら嬉しいです」
――最後に、そんなファンの方へメッセージをお願いします。
「若い選手みたいに『相手をぶっ倒す』とか言いたいところもありますけど、取り敢えずは勝たせてもらえれば(笑)。まぁ、そう簡単にいくわけもないので、まず絶対に諦めない。そして、みんなが『凄いな』って感じてもらえるような試合ができるよう、自分にも期待しています」
桜井隆多が現役を続けられている理由の一つに、妻・有紀さんの存在がある。現在もハードな試合を続ける夫の姿を、有紀さんはどのように見ているのか。
常に桜井をケージサイドで見守る夫人に話を訊いた。
――いつも桜井選手の試合を、どのように見ていらっしゃるのでしょうか。
有紀さん ジムで練習を見ていても、若い選手を相手に負けていないんですよね。忖度していない、というのか(苦笑)。
今でもまだ伸びしろがあるんじゃないか、というぐらいの強さを見せてくれているので、現役でいけるのだろうなと思います。ただ、毎試合ケガをしているので、それだけが心配です。あとは身体が動くかぎり、思うようにやってもらいたいです。
(隣にいた)桜井「ハハハ!」
――前回のダリ戦は、見ていて不安になるシーンもあったかと思います。
有紀さん とても心臓に悪い試合でした。最初にもらったパンチで、右目のあたりが陥没してしまったようでした。それで右目が見えなくなったと思うんですけど、1Rが終わった後、夫と目が合った時、『これはマズイぞ』という顔をしているように見えました。それで私も不安だったのですが、2Rで逆転して。結果は良かったんですけど……。
――心配になりますよね。
有紀さん はい。でも、それが良いかどうかは分からないですけど毎試合、名勝負を見させていただいています。次もハードな試合になると思いますが、それを覚悟して、夫の試合を見守りたいと思います。